iPhone 8の発売がはじまって2週間あまり、街中で見かける機会も増えてきた。そろそろ様子見からこの週末にも本格検討という人も多いハズ。今年のiPhone 8/8 Plus向け新料金は、いわゆる「半額サポート」(分割払い代金の半額を、機種変更時に免除するオプション)が話題だ。auが口火を切ったのを皮切りに、3キャリアとも割引方法や度合いは違うが、近しいオプションを用意してきた。
今後、auとソフトバンクの端末価格が発表される「iPhone Xの最安キャリア選び」の際にも、今の料金プラン体系でどこが安いのかは気になる。そこで、「2年で機種変」「1年で機種変」という2つのパターンで徹底比較してみた。
「端末価格」単体はNTTドコモが最安。でも……
まずはiPhone 8/8 Plusの本体価格を比較してみる。公式オンラインサイトの本体価格が最も安いのはNTTドコモ。続いてau、そしてソフトバンクと続く。NTTドコモとソフトバンクの価格差はiPhone 8 Plusが最も大きく約6000円もある。
ただし、このキャリアごとの本体価格の「差」は、月額料金まで含めて計算すると、必ずしもこの順序にはならない。実際には、購入サポートによる月額の割引や、auやソフトバンクが用意する機種変更を前提とした買い替えプランで吸収されてしまう。詳しくは以下に解説する。
2年間使う人には:ソフトバンクが安い、最大約2万3000円の差
それでは、2年間のランニングコスト総額を比較してみよう。まず、最安料金プランを比較したのが下の表の上段だ。この場合、データ容量1GBのプランがあるauが安い。
個別に解説すると、auの料金プランでは分割支払金の残債は大きいものの(48回払いを2年=24回分支払って、残債4万5720円)、残債を免除するオプション「アップグレードプログラムEX」があるので、機種変する際に残債ゼロにできる。ソフトバンクは「ワンキュッパ割」を利用することで2年間のトータルコストは12万円台に抑えられるが、ワンキュッパ割を適用すると半額サポートが使えないため、auと違って残債がそのまま残る。
なお、au、ソフトバンクともに最安プランは1GBプランなので、「ほとんどWiFiでしか使わない」という人にしかメリットがない。
通信データ容量をより実用的な5GBのプランに統一してみたのが下段の表だ。
2年利用時で最安は新料金を追従したソフトバンクだった。48回払いの新規契約/MNPのプランで、最も高いNTTドコモと比べて、2年間で約2万3000円安くなった。ただし、このソフトバンクのプランは25カ月間以降で機種変更することにより、残債ゼロにする「半額サポート for iPhone」を適用した場合だ。また、これは半額サポートを用意するauとソフトバンク両者に言えることだが、機種変更時には端末が回収される(実質的な下取り)になる点も注意したい。
毎年最新iPhoneを買う人には:auが圧倒的に安い
毎年iPhoneを新しく機種変更するような人は、ソフトバンクではなくauがおトクだ。評価のポイントは、auがiPhone 8の登場に合わせて開始した「アップグレードプログラムEX(a)」。これは「24回払い契約で購入した端末を、12回の支払い(=1年)が経過した時点で機種変しても残債が免除される」というもの。iPhone 8(64GB)の場合、最大4万5700円の支払いが免除される(機種変時には同アップグレードプログラムへの加入が条件で、iPhone 8 の下取り必須など注意点もある)。このプランを利用すれば、1GBのデータ通信と5分までの通話込みで年間7万7856円で1年間、iPhone 8(64GB)が利用できるわけだ。
ソフトバンクの「半額サポート for iPhone」は、名称からauと同じようなものと思いがちだが、実はサポートの内容が違う。免除額は約4万5000円とauとほぼ変わらないが、auが24回払いベースなのに対してソフトバンクは48回払いベース。つまり、端末の月額負担が小さいぶん残債も大きいのだ。また、1年で機種変更はできるものの、2年目は分割支払金が残り、26カ月以降(=約3年目以降)の支払いが免除される仕組み。総額では約3万4000円ほどの差がついてしまう(ただし、ソフトバンクはデータ容量2GB、通話無制限で、auと料金プラン詳細は共通ではない)。
なお、NTTドコモも2社に対抗して「機種変更応援プログラムプラス」を発表した。これはiPhone 8 シリーズを購入した場合13カ月目以降で機種変更するときに利用できる「ポイント」を還元するというもの。ポイントは新しい機種の購入時に使える(厳密に言うと残債の免除には使えない)。注意したいのは、最も高いiPhone 8 Plus 256GBでも還元されるポイントは同じということ。つまり、高価な大容量モデルほど、お得感を感じづらくなる。
au、ソフトバンクが筆頭に始めた半額サポートプログラムは定期的なMNPを考えているユーザーには不向きだが、同じキャリアを使い続ける前提なら、非常に魅力的だ。またauは「auひかり」などと組み合わせて使う「auスマートバリュー」による割引(月額500円引き)も受けられる。
まとめ:毎年最新iPhoneを使うならau、2年使って大容量通信もするならソフトバンク
メイン回線としてバリバリ使うならソフトバンクだ。2年利用前提なら総額がもっとも安く、またデータ容量5GBのプランに、月額1500円プラスするだけで、データ容量が50GBになる「ウルトラギガモンスター データ定額50」があるのも良い。自宅にWi-Fiがない人やテザリングを多用する人は便利に使えるだろう。
一方で、他にはないランニングコストの点で魅力に感じるのは、auの「auピタットプラン」と「アップグレードプログラムEX(a)」の組み合わせだ。「1年で機種変する前提」かつ「データ通信をほぼ使わない」なら、ランニングコストが安い。今年は成熟したiPhone 8 シリーズを選び、来年期待される次世代iPhone Xに買い換えるつもりなら、これはかなり有望なプランと言える。
(編集部より:初出時、表2の残債金額の一部に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。2017年10月26日 0:30)
コヤマタカヒロ:デジタル&家電ジャーナリスト。デジタル関連やシロモノ家電を対象に、製品、サービス、ビジネスまで幅広いジャンルで執筆活動を展開。モノ雑誌やWebメディアでの連載も多数。