牛乳パックが置きっぱなし —— CEOナデラ氏はいかにしてマイクロソフトを変革したのか

サティア・ナデラ氏

サティア・ナデラ氏はマイクロソフトの社風の改善に取り組んだ。

Reuters-Robert Galbraith/Business Insider

2015年、牛乳に関する奇妙な習慣が、世界中のマイクロソフトのオフィスで広がっていた

マイクロソフトの社員は、冷蔵庫から8オンス(約240ml)の牛乳パックを取り出して開封すると、ほんの少しの牛乳をコーヒーに注ぎ、次の人がすぐ使えるようにと、開封した牛乳パックをそのまま置きっぱなしにした。

だが、いつ開封されたのか分からない、安全かどうかも分からない牛乳を使いたい人はいなかった。次の人は新しい牛乳パックを開け、同じように置きっぱなしにした。

このサイクルは続いた。

「開封した牛乳パックを置きっぱなしにするカルチャーは、いつしか世界中のマイクロソフトに深く根を張ってしまった」と当時、Redditにマイクロソフトの社員が記している。

マイクロソフトのCEOサティア・ナデラ氏は、新著『Hit Refresh』の中で、当時を振り返り、同氏がいかにしてその機会を利用し、当時のいがみ合ったカルチャーを改善しようとしたかを語っている。

ナデラ氏は、社内のコミュニケーションツール、Yammerのあるグループでこの問題が盛り上がったため、自分の耳にも入ったと著書に記している。著書では触れられていないが、そのグループは「太平洋岸北西部の牛乳パック」という名称で、オフィスの至るところに置きっぱなしにされた牛乳パックの画像が投稿されていた。

一方、ナデラ氏のリーダーシップのスタイルは「グロース・マインドセット(成長思考)」と呼ばれるものだ。つまり、何事も当たり前だと思わず、入手した新しいデータに基づいて考え方を変えていくというもの。対義語は、自分のやり方に過度にこだわる「フィックスド・マインドセット(固定思考)」。

「私は牛乳パックの問題を1つの笑い話としてビデオメッセージで発信した。これはフィックスド・マインドセットの極めてユーモラスな例だと」

牛乳パック

マイクロソフトの牛乳パックはかつてこのくらいの大きさだった。その後、変更された。

Damian Dovarganes/AP

ナデラ氏は著書では具体的な解決策について言及していない。だが、同社はこのサイズの牛乳パックの使用をやめ、代わりに1リットルパックを導入して、この問題を解決したようだ。社員はコーヒーに牛乳を入れると、次の人のためにパックを冷蔵庫に戻す。問題は無事、解決だ。

これはナデラ氏がCEOに就任した時に、同社にまん延していた重大な問題のちょっとした一例に過ぎない。

「どうすれば、社員が足の引っ張り合いをやめ、会社を良い方向に進めるために、責任を持って行動するようになるのか」

それが大問題だった。

それについては、ナデラ氏は著書で何度も言及している。同氏は経営幹部たちが自分たちよりも等級の低い社員たちと協力するように仕向けたり、最終的には「弱音を吐くな」「マイクロソフトのリーダーであれば、あなたの仕事は巨大なゴミの山の中から、バラの花びらを見つけることだ」と言わなければならなかったと記している。

[原文:Microsoft CEO Satya Nadella explains what happened when employees struggled with a gross milk situation

(翻訳:まいるす・ゑびす)

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