実は民主党も歓迎 —— トランプ大統領の7つの政策

トランプ大統領とヒラリー氏

ヒラリー氏とトランプ大統領。

Spencer Platt/Getty Images

トランプ大統領と、その政策に強く反対する民主党は、あらゆる問題で激しく対立しているように見える。

だが、トランプ大統領が推進している政策の中には、数少ないが民主党の多くが支持している政策もある。大規模なインフラ投資や、有給の育児休暇制度の導入などだ。

さらに最近になって、与党共和党との間で不協和音が目立つトランプ大統領は、民主党とも積極的に交渉に応じる姿勢を見せている。

トランプ大統領の公約の中から、民主党も支持している7つの政策を紹介しよう。



TPPからの離脱

トランプ大統領

TPPからの離脱を指示する大統領令に署名するトランプ大統領。

Getty Images

トランプ大統領は選挙公約を守り環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱を実行に移した。大統領はTPPを強く批判していた。

北米自由貿易協定(NAFTA)の拡大版として、オバマ前大統領が推進してきたTPPだったが、民主党の多くは冷ややかな目で見ていた。例えば、バーニー・サンダース氏とエリザベス・ウォーレン氏の両上院議員はTPP反対派で、TPPが導入されればアメリカ労働者の職は失われ、賃金は下がり、一般市民を犠牲にしてアメリカ内外の大企業の懐を豊かにするだけだと批判していた。

TPPに関しては左右両方の陣営からの反対が強く、2016年の大統領選では、ヒラリー・クリントン候補(当時)が運動期間中に、TPPへの賛成取り下げを余儀なくされるほどだった。

1兆ドル(112兆円)のインフラ投資計画

トランプ大統領

労働組合幹部との面談に臨むトランプ大統領。

Getty Images

トランプ大統領は選挙期間中、巨額の予算を国内のインフラ整備に注ぎ込むという公約を掲げた。こうした政策は、従来の共和党の方針にはなかったものだ。

大統領は2月末、上下両院合同会議で行った初の連邦議会向け演説でも、インフラ整備を優先課題に掲げる方針を打ち出し、1兆ドルにのぼる投資は「国家再建の新たなプログラムだ」と胸を張った。

トランプ大統領はこの時の演説で「崩壊寸前のインフラは今後、新たな道路や橋、トンネル、空港、鉄道によって置き換えられる。これらのインフラが、われわれの美しい国土を輝かせるだろう」と述べた。

与党共和党はこうした大統領の政策に対して非常に懐疑的だが、民主党はインフラ投資の増額を長年にわたって推進してきた。1月には、上院で民主党が総額1兆ドルのインフラ再建計画を提案し、これにより今後10年間に1500万件の雇用が生まれるとの見通しを示していた。

有給育児休暇の導入

イバンカ・トランプ氏

イバンカ・トランプ氏。

Mark Wilson/Getty Images

アメリカは、世界の先進国で唯一、国の制度として家庭の事情を理由とした有給休暇制度を持たない国だ。

共和党は長い間、民主党からの提案をすべてはねつけてきた。マイク・ペンス副大統領も反対派の1人だ。だが、トランプ大統領は選挙期間中、これまでの共和党の方針を覆し、子どもを産んだ母親に対し、6週間の出産休暇を保障すると公約した。この公約が打ち出された背景には、大統領の長女で女性活躍の推進役を名乗るイバンカ・トランプ氏の後押しが大きかったとされている。

大統領は、上下両院合同会議での演説の中で、有給の育児休暇制度を推進する意志を改めて示した。だがこの演説では「母親」ではなく「新しく親になった人たち」という表現を使い、若干の軌道修正を図ったようだ

「私の政権は、共和・民主両党の議員と協力し、使いやすく手頃なコストの保育を実現し、なおかつ、新しく親になった人たちが有給で育児休暇を取得できるようにする」

最近になって、共和党派のシンクタンク、アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(AEI)で経済政策を担当する研究員がワシントン・ポストの取材に応じ、現政権はこの制度を父親、母親のどちらも取得可能にすることを検討していると語った。

女性の科学界への進出を促す法律の制定

トランプ大統領

女性の科学界への進出を促す法案に署名するトランプ大統領。

Zach Gibson/Getty Images

トランプ大統領は2月、科学・技術・工学・数学(4つの頭文字を取ってSTEMと呼ばれる)分野における女性の進出を促す2つの法案に署名した。

1つ目の法案は「INSPIRE法」と呼ばれ、アメリカ航空宇宙局(NASA)に対し、科学・数学・工学分野の専門職を目指す女性を支援するよう命じるものだ。

もう1つは「女性の起業促進法」で、女性科学者が民間セクターで働けるよう採用そして支援するプログラムを、全米科学財団(National Science Foundation)が創設できるようにするものだ。

さらに9月最終週にトランプ大統領は、科学分野に興味を持つ女性やマイノリティーを対象とした奨学金に、年間2億ドル規模の資金を投入すると発表した。

シリア空軍基地の爆撃

シリア空軍基地の爆撃

2017年4月7日、地中海からトマホーク巡航ミサイルを発射するアメリカ海軍のミサイル駆逐艦「ポーター」。米海軍提供の動画を画像化。

Mass Communication Specialist 3rd Class Ford Williams/U.S. Navy via AP

2017年4月、シリア政府が民間人に化学兵器を使用したことを受け、トランプ大統領はシリアの空軍基地に対して59発の巡航ミサイルを発射した

民主党の一部はこの行動を無謀だと非難したが、多くの有力な民主党議員(民主党の上院議員30名とヒラリー・クリントン氏を含む)は、この爆撃を称賛した。

民主党との協議で、債務上限の適用を一時停止し、政府運営資金を確保

トランプ大統領

大統領執務室で協議するトランプ大統領とチャック・シューマー上院院内総務。

Alex Wong/Getty Images

トランプ大統領は9月初旬、民主党幹部と協議し、連邦債務上限の適用停止期間延長と連邦政府の運営資金確保(どちらも期限は3カ月)、さらにはハリケーン「ハービー」の被害救済に関して、同意を取り付けた。この合意は、共和党の議会指導部が強硬に反対する中で結ばれたものだった。

この債務上限案可決はそれほど大きな意味を持つわけではないが、民主党側はこれを大いに歓迎した。

DACAでの妥協の可能性も

チャック・シューマー上院院内総務とナンシー・ペロシ下院院内総務

9月6日、トランプ大統領によるDACAの廃止決定を受け、記者会見を行うチャック・シューマー上院院内総務とナンシー・ペロシ下院院内総務。

Aaron P. Bernstein/Getty

政府予算に関して民主党の合意を取り付けた1週間後、トランプ大統領は、下院と上院でそれぞれ院内総務を務めるナンシー・ペロシ、チャック・シューマーの両氏をホワイトハウスに招き、新たな問題について協議を行った。議題は直前にトランプ政権が撤廃を正式表明した「幼少期にアメリカに到着した移民への延期措置(DACA)」だった。

会合の翌日、ペロシ氏とシューマー氏は、トランプ大統領と合意に達したと述べた。両氏は合意内容について、「DACAによる保護を迅速に法制化し、壁建設を除く国境警備パッケージを実施するという、両党にとって受け入れ可能なものだ」と説明した。

トランプ大統領は、合意したという点については否定したものの、かねてから主張してきたメキシコとの国境に壁を建設するための予算確保は「後回しになる」と述べ、アメリカに滞在する80万人の「ドリーマー(夢見る人)」と呼ばれる若年層移民は「何も心配することはない」と強調した。

[原文:7 things Trump is doing that liberals probably actually like

(翻訳:長谷 睦/ガリレオ)

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