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アメリカのCIA(中央情報局)高官は、ワシントンD.C.で開催された「CIA Ethos & Profession of Intelligence conference」で、北朝鮮の指導者・金正恩氏について、「狂人」ではなく「非常に理性的なアクター」だと述べた。
トランプ大統領の「狂人」発言とは矛盾するものだが、これはテクニカルな評価というより、主観的な発言といえよう。
「(朝鮮半島での)紛争を最も望んでいないのは、金正恩氏だ」CIAに今年新たに設立された朝鮮ミッションセンター(Korea Mission Center)のヨンソク・リ(Yong Suk Lee)氏はそう述べた。ワシントン・タイムズが報じた。
また、金正恩氏はアメリカと「実際に対決」するつもりはなく、好戦的なレトリックでその動機を曖昧にする一方、「全ての独裁者と同じこと…… 長期間にわたって支配者として君臨し、自分のベッドの上で穏やかに死にたいと考えている」と付け加えた。
リ氏による金正恩氏の人物評は、Business Insiderがこれまでにインタビュー取材をしたり、引用した他の専門家の見解とも一致する。アメリカとの戦争は、金正恩体制にとって自殺行為であり、権力の座にとどまりたいとの金氏の望みにも反する。
金正恩氏は狂人からはほど遠く、「ギリギリのところでどう行動すべきか理解している」とBusiness Insiderに語ったのは、国務省の情報調査局北東アジア部門の元チーフ、ロバート・カーリン(Robert Carlin)氏だ。
カーリン氏によると、金氏は経験豊富もしくは「周囲に経験豊かな人材がおり、行動すべきタイミングについてアドバイスを受けている」という。
しかし、核をめぐる危機は北朝鮮が単独で招いたわけではない。アメリカの声明や政策も、外交的解決策の欠如と軍事的緊張の高まりに貢献している。
トランプ大統領は、北朝鮮の脅威には「炎と怒り」で対応すると発言したが、これには理性的なアクターでさえ、どう反応すべきか苦闘するだろう。
事実、多くの報道が、北朝鮮はトランプ大統領を理解するのに非常に苦労しており、それが危険な方向へ向かわせかねないと指摘している。
「問題は、刻一刻と変化するアメリカと北朝鮮のダイナミクスだ」とカーリン氏は言う。「北朝鮮の特異性ではない。非常に危険なのは、アメリカと北朝鮮の相性、誤解、間違った認識だ」
[原文:Top CIA official contradicts Trump's 'madman' rhetoric, says Kim Jong Un is a 'very rational actor']
(翻訳:仲田文子)