ソニーの対話ロボ「Xperia Hello!」に疑問、なぜ“独自技術”の挑戦を続けるのか?

ソニーモバイルコミュニケーションズは10月17日、コミュニケーションロボット「Xperia Hello!(エクスペリア ハロー)」を発表した。発売日は11月18日、価格はオープン価格でソニーストアでの価格は149,880円(税別)。

主な特長は?

  • 「家族の一員」としてユーザーの顔を認識し、自ら動き話すコミュニケーション機能
  • LINE・Skype・ビデオ伝言を使った、ユーザー同士のメッセージの送受信機能
  • ニュース・交通情報・天気予報・リマインダー・メッセージを能動的に届けてくれる機能

ソニーモバイルコミュニケーションズ社の伊藤博史氏。

Xperia Hello!の発売を発表するソニーモバイルコミュニケーションズ社の伊藤博史氏。

同製品はソニーが1999年に発売したペットロボット「AIBO」以来取り組んできたAI×ロボティクス製品の一つ。音声認識・画像認識をするソニー独自の技術「ソニーエージェントテクノロジー」による「統合型アーキテクチャ」をうたう。

気になるのは、Google Home、Amazon Echoなどの先行するAIスピーカーとの機能の違いだ。同社の伊藤博史氏によると「本製品のコンセプトは"新しいコミュニケーションを創造する"こと。そのため画面での操作、発話機能、センシングなども取り入れており、一問一答形式・音声のみで動かす従来のAIスピーカーとは棲み分けができている」という。

この点はソニーの技術へのこだわりを感じさせるとともに、一抹の不安も抱く。Xperia Hello!はAIスピーカーではないが、使い方には重なる部分がある。日本語認識精度という点で考えると、アマゾンはまだ未知数ながら、少なくともグーグルの音声認識が相当高いレベルであることは、GoogleアシスタントやGoogleホームを見れば明らかだ。AIスピーカーで追いかけるLINEは、残念ながら現時点では認識精度で大きく差をつけられているという事実がある。

デモ機は開発中ということもあるのか、まだ音声認識での操作は、何度か言い直す必要があった。グーグルら強力な比較対象がいる中で、ソニーは独自開発で完成度を磨き上げる必要がある。ハードルは決して低くない。

同社の松本英志郎氏は「今後サービスロボットの市場は伸びていくため、期待は大きい」と自信を見せながらも「具体的な販売目標の数字は控えさせていただく」とした。税込みで15万円を超える値段は高すぎるのでは? との声も上がったが「さまざまなご意見をいただいているが、今後BtoBも含めた製品展開を考えていく中で、あらゆる可能性を残したくこの値段になった」と語った。

(文・撮影:西山里緒)

「部屋に溶け込む新しいコミュニケーション体験」を目指したという同製品。想定しているターゲット層は、共働きの父・母・子の家族や離れて暮らす家族だ。


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背面の様子。ボタンは底面にある電源とボリュームキーのみ。「(家庭に)いて嫌じゃないもの」を考え、人形のような形ではなくシンプルなボディになった。

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ユーザー情報として登録できるのは、LINE ID・Skype IDのほか、誕生日、通勤路線、関心のあるニュースカテゴリなど。登録しておくと、各種情報が自動で入手できる。

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音声認識での検索も可能。「●●について教えて」と話しかけると、Wikipediaの検索結果を返してくれる。

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音声認識ではクラウド処理、顔認識では内蔵の画像認識エンジンで処理を行う。顔認識に内蔵エンジンを採用した理由については「家庭で使ってもらう際の(プライバシー面での)安心感を重視した」とのこと。どちらもソニー独自の技術だ。

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LINEと連動した「見守り機能」を使うと、Xperia Hello!が周囲の様子を360度(8枚)撮影し、その画像をLINEに送る。

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BtoBのサービスとして、QRコードを用いた受付サービスも2018年から試験レベルで導入予定だ。

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伊藤氏は「さまざまなパートナーとの声掛けをいただいて協業の検討をしたい」と語った。サードパーティや開発者に向けての機能やAPIの公開は、企業からの要望を考慮しつつ検討していくそうだ。

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