FCC委員長のアジット・パイ氏。
Thomson Reuters
アメリカのトランプ大統領が先週、その報道内容は「フェイクニュースだ」として、NBCテレビの放送免許剥奪をほのめかしたことについて、米連邦通信委員会(FCC)委員長のアジット・パイ(Ajit Pai)氏は17日(現地時間)、これを強く非難した。
同氏は、ジョージ・ワシントン大学で開催された講演会で、大統領が報道内容に同意できないからといって、FCCにNBCの放送免許を取り消す法的権限はないと話した。
「コンテンツによって、放送局の免許を取り消す権限はFCCにはない」とパイ氏は言う。「私が舵をとる限り、FCCは合衆国憲法修正第1条(言論の自由など)を尊重する」
ほとんどのオブザーバーやアナリストは、トランプ大統領のNBCに対する脅しには、実効性がないと話している。テレビ局の放送免許は、全国放送を行う放送局とその系列局に個別に付与されたもので、連邦政府によって剥奪されることは稀だ。通常、放送局がFCCの規定したルールを逸脱するか、犯罪行為を行った場合に、地域住民からの苦情を受けて初めて、免許が取り消される。
パイ氏は以前、ケーブル局の放送免許取り消しを求める、FCCに寄せられた苦情の数を嘆いていた。
「例えば、Twitter上では毎日のように、視聴者がその報道内容に同意できないとして、FCCにMSNBCやFox News、CNNなどの放送免許を取り消すよう求めている」と同氏は述べた。
パイ氏は言う。「FCCがこれらのケーブル局に免許を与えている訳ではないという事実は別にしても —— こうした問題(放送免許の剥奪)を考える時には重要な技術的観点だが —— こういった要求は根本的にアメリカの文化的、法的伝統にそぐわないものだ」
[原文:FCC chair rebukes Trump after broadcast 'license' threats]
(翻訳:忍足 亜輝)