ISISとの戦いは終わらない —— 「首都」ラッカの陥落で形を変える過激派組織

喜ぶ兵士たち

勝利を喜ぶシリア民主軍。

Erik de Castro/Reuters

  • アメリカが支援する合同部隊は、ISIS(イスラム国)が事実上の「首都」としていたシリア北部の都市ラッカを制圧した。
  • しかし、戦いに終わりは見えない。ISISは一定の地域を統治する「疑似国家」から反乱へとその形を変えている。
  • 戦闘員は、西側諸国で爆弾を使った自爆攻撃やローンウルフ(一匹狼)スタイルの攻撃を続けていくだろう。

アメリカが支援する合同部隊は17日(現地時間)、シリア北部の都市ラッカを制圧した

ラッカとシリア国内にある支配地域の半数以上を奪還したことで、合同部隊にとっては大きな勝利となった。しかし、これでISISが終わったわけではない。むしろ「疑似国家(quasi-state)」から反乱(insurgency)へとその形を変えようとしていると指摘するのは、長きにわたりISISの取材を続けるジャーナリスト、ハッサン・ハッサン(Hassan Hassan)氏だ。18日、The Nationalに書いた

イラクのモスルとシリアのラッカを統治していた最盛期には、ISISはより強大な力を持ち、アメリカや西側諸国にとって大きな脅威だった。だが、今は銃撃戦や奇襲攻撃、自爆攻撃といったゲリラ戦術に頼る、反乱のような戦い方をしていると、ハッサン氏は指摘する。

「こうした戦術は、支配地域が縮小するにつれ、多用されるようになった」ハッサン氏は言う。「ラッカや、デリゾール(Deir Ezzor)の多くを失い、ISISは今や地方や砂漠地域に拠点を置く反乱組織のようになっている」

地図

ISISの勢力図。黒色がISISの統治する地域。

LiveUAMap.com

シリアを追われ、イラクの主要都市を奪われたISISの現在の支配地域は、国境周辺のいくつかの村と砂漠地域に限られる。

支配地域を失うにつれ、ISISは戦闘員の採用にも苦労するようになった。

「彼らの脅威は3年前とは違う」ハッサン氏は言う。「かつてのようにイラクのバグダッドやクルド人自治区のアルビル、その周辺諸国の脅威にはなり得ない」

だが、戦いは終わらない。ラッカの街は長期にわたる戦闘の結果、大きく破壊され、ISISはインターネットを通じてプロパガンダを拡散、ローンウルフ(一匹狼)スタイルの攻撃を支配地域の内外で呼びかけ続けている。

ISISのゲリラ戦への回帰は、その指導者らが以前から温めていた計画の一部だ。彼らは2016年の早い段階から、支配地域を失った後に備えていた。

ラッカ

ラッカの市街地。大きく破壊されている。

Thomson Reuters

「ISISはまだ終わっていない」ワシントン近東政策研究所(WINEP)のアーロン・ゼリン(Aaron Zelin)氏は、ニューヨーク・タイムズに語った。「彼らには計画がある。相手が出ていくのを待って、ISISのネットワークを立て直す。同時に、彼らの思想に共感し、遠く離れた場所で戦ってくれる者たちを確保する」

ハッサン氏はThe Netionalの記事の中で、アメリカが支援する合同部隊は、彼らが戦う土地で誰と誰が同盟関係にあるかといった「ローカル・コンテクスト」を無視することで、更なる対立を生む可能性があると指摘している。

「過激派勢力に勝つためには、爆弾を落とすだけでは不十分だ」ハッサン氏は言う。「アメリカが2014年にシリアへ入った時、ISISが生まれた環境やより大きなコンクストを無視した」

これは「ある種の先見の明のなさ」だ。ハッサン氏は、これが米軍を「前回、きちんと終わらせていなかった脅威と戦う」ために、この地へ引き戻したのだと加えた。

同氏の指摘は当を得ている。ISISの報道担当で、2016年のドローンによる攻撃で死亡したアブ・ムハンマド・アル・アドナニ(Abu Muhammed al-Adnani)氏は昨年、ISISの戦闘員に対し、戦い続けることを呼びかけていた。

「真の敗北とは、戦う意欲や意思を失うことだ」アドナニ氏はThe Timesで語った。「我々が敗北し、あなたたちが勝利するのは、イスラム教徒の心からコーランを追い出すことができた時だ」

[原文:ISIS' loss of its caliphate signals the end of one type of ISIS — and the beginning of a new one

(翻訳:編集部)

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