アメリカにおけるAlexaのスキルの新規インストール状況。新規インストールをしていないと答えたユーザーは全体の65%。
BI Intelligence
「音声」は、インターネットにアクセスしたり、対応デバイスを操作する方法として、中心的な役割を担い始めている。そして、スマートスピーカーは、アマゾン、グーグル、サムスンのようなテック企業にとって、自社の音声アシスタントを各家庭に潜り込ませ、普及させる「トロイの木馬」だ —— 。コンサルティング会社アクティベート(Activate)の共同創業者マイケル・ウルフ(Michael Wolf)氏は10月17日(現地時間)、ウォールストリート・ジャーナル紙のイベント「D.Live Global Technology Conference」でそう語った。
音声アシスタントの現在の主な使い道は、スマートスピーカーだ。しかし、音声アシスタントが(今後必要性が減るであろう)テキストや動画と並ぶデバイスの主要インターフェースになるにつれ、その使い道も変わってくるだろう。
アメリカでは、音声操作を中心としたアプリを利用するスマートフォンユーザーが増えていることから、「音声」がスマートフォンやコネクテッドカー(インターネットに接続されている車)といった別のプラットフォームへ広まる可能性もある。2016年9月から2017年8月までの1年間で、全米のiOSとアンドロイドで最もダウンロードされたアプリ・トップ100の半数以上は、音声もしくは動画を主軸としたアプリだ。
しかし、消費者の理解不足が、より高度な音声アシスタントの利用の妨げとなるかもしれない。その主な課題の1つとして、ユーザーが音楽を再生したり、天気予報を確認するといったシンプルなコマンド以上の使い方を単純に知らないことが挙げられる。例えば、アマゾンの音声アシスタント「Alexa」は2万5000個以上のスキル(音声操作アプリ)にアクセスできるが、アクティベートの調査によると、ユーザーの65%は第三者が開発したスキルをインストールしたことがない。音声アシスタントを普及させるためには、テック企業が第三者の開発した音声アプリをユーザーにとって見つけやすくする必要があるだろう。これにより、音声アシスタントの利便性が増し、好循環が生まれるはずだ。
BI Intelligenceのリサーチアナリスト、ピーター・ニューマン(Peter Newman)氏は「Smart Speaker report(スマートスピーカーに関する報告書)」の中で、アマゾンの「Echo Look(エコー・ルック)」と「Echo Show(エコー・ショー)」、アップルの「Home Pod(ホーム・ポッド)」の市場潜在力を分析した。独自のデータを使って、それぞれのデバイスが購入される可能性を、認知度、ワクワク感、利便性、購入の意図の4つの観点に基づき評価。収集したデータをもとに、今後のスマートスピーカー市場の方向性を検討した。
主なポイントは以下のとおり:
- アマゾンの新しいEcho Showが圧倒的な評価を得た。大衆市場を引きつける魅力があり、ヒットが見込まれる。Echo Showの利便性とワクワク感の組み合わせは、消費者を購入へと駆り立てるだろう。一方でEcho Lookは、消費者から同様の関心を集めるのに苦戦を強いられそうだ。
- アップルのHome Podは、スマートスピーカー市場である程度のシェアを確保するだろう。しかし、iPhoneやiPadのような独占的なポジションを獲得することはないだろう。
- スマートスピーカー市場は今後数年で急速に進化するだろう。ディスプレイを搭載したデバイスが増え、より特化した機能を備えた様々な製品が登場、最終的に音声アシスタントはスマートスピーカーという枠を超えて進化するだろう。
[原文:Smart speakers are the trojan horse for consumer AI (AMZN, GOOGL, GOOG)]
(翻訳:Yuta Machida)