Russian Ministry of Defense
イスラエルの人工衛星は2月24日(現地時間)、2機のスホイ57(Su-57)がシリアにあるロシアのフメイミム(Hmeimim)空軍基地に配備されていることを確認した。
ロシア当局は、スホイ57は「周辺地域から定期的にシリア空域に侵入してくる航空機」への抑止力として配備したと語った。
2017年7月に撮影された衛星写真によると、ロシアはスホイ57に加えて10タイプ、33機の航空機を同基地に配備している。
ただし、出撃中あるいは他のエリアを飛行中の機体もあり、実際の数はもっと多いだろう。
ロシアは同国から大量の兵器を購入しているアサド政権を支援するために、2015年、初めてシリアに戦闘機を送った。ここ数カ月、ロシアおよびシリアの政府は北西部のイドリブ県、首都ダマスカス近郊の東グータ地区への爆撃を重ね、多くの民間人が犠牲となった。
現在、ロシアがシリアに展開している11タイプの航空機を見てみよう。
1. スホイ57
United Aircraft Corporation
スホイ57(SU-57)はロシア初の第5世代ステルス戦闘機。だが、まだスホイ35と同じAL-41F1エンジンを搭載している。搭載予定の、新しいIzdelie-30エンジンはまだテスト中。
2. スホイ24
Russian Ministry of Defense
スホイ24(Su-24)フェンサー、11機。ただし10月、1機が墜落し、現在は10機になっていると思われる。
スホイ24はロシアの旧型の航空機。いずれはスホイ34に代替される予定だが、空対空、空対地ミサイル、さらにレーザー誘導爆弾を搭載可能。
3. スホイ25
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フロッグフットも旧型の攻撃機。低空での攻撃が可能で、アメリカ空軍の伝説の攻撃機A-10ウォートホッグと同様の任務を担う。
スホイ25はシリア配備後、2016年3月までのわずか6カ月間に1600回以上出撃し、6000発以上の爆弾を投下した。
3機のうち1機は、2018年2月はじめ、シリアの武装勢力によって撃墜され、パイロットは手榴弾で自爆したと伝えられた。
フメイミム空軍基地の近くで撮影、2015年。強力な破砕爆弾OFAB-250を搭載している。
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出典:シム・タック(Sim Tack)氏、フォース・アナリシス(Force Analysis)チーフアナリスト
スホイ25にRBK-500 クラスター爆弾を装着するロシア空軍兵。2015年。
Russian Ministry of Defense
出典:シム・タック(Sim Tack)氏、フォース・アナリシス(Force Analysis)チーフアナリスト
4. スホイ27SM3
Wikimedia Commons
スホイ27(Su-27)SM3 フランカー、3機。2015年11月、シリアに派遣された。
スホイ27の発展型。マルチロール機である同機は、他の攻撃機を護衛するなど、シリアでさまざまな任務にあたっている。
5. ミグ29SMT
Wikimedia Commons
ロシアは2017年9月、ミグ29(Mig-29)SMT フルクラムを初めてシリアに派遣した。だがその数は不明、衛星写真には写っていない。
ミグ29はさまざまな種類の空対空、空対地ミサイルやレーザー誘導爆弾を搭載可能。以下はシリアで撮影されたミグ29SMTの動画。
詳細:北朝鮮も運用するミグ29、最新型のミグ29SMTの性能は?
6. スホイ30SM
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スホイ30(Su-39)SM、4機。
スホイ30(Su-30)SMは、スホイ27をもとに開発されたマルチロール機。さまざまな空対空、空対地ミサイル、レーザー誘導爆弾を搭載可能。
7. スホイ34
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スホイ34は2015年9月、初めてシリアに配備され、1年以上任務にあたってきたロシアの最新鋭戦闘機。
短距離空対空ミサイルR-73、レーダー誘導型長距離空対空ミサイルR-77を搭載可能。その他、Kh-59ME、Kh-31A、Kh-31P、Kh-29T、Kh-29L、S-25LDといった空対地ミサイルも搭載可能。
スホイ34に搭載されたKAB-1500 クラスター爆弾を確認するロシア空軍兵。
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出典:シム・タック(Sim Tack)氏、フォース・アナリシス(Force Analysis)チーフアナリスト
精密誘導爆弾 KAB-500の搭載作業をするロシア空軍兵。1人は保管時や搭載時にセンサーを保護する赤いキャップを取り外している。手前の白いミサイルは空対空ミサイル。
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2015年、シリアでKAB-500を投下する様子を捉えた動画。
出典:シム・タック(Sim Tack)氏、フォース・アナリシス(Force Analysis)チーフアナリスト
8. スホイ35S
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スホイ(Su-35)35S フランカーE、6機。
同機は2016年1月、シリアに配備されたロシアの最新鋭戦闘機。スホイ27の発展型。単独で地上や空中の敵を攻撃できる。
9. A-50U
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A-50U メインステイ、1機。
A-50Uはいわば「空飛ぶ巨大なデータ処理センター」。ロシアの政府系報道機関スプートニク(Sputnik)によると、「空中(戦闘機、爆撃機、弾道ミサイル、巡行ミサイル)、地上(車列)、海上(艦船)の数多くのターゲット」を探索、追跡する。
10. イリューシン IL-20 クート 電子戦偵察機
Wikimedia Commons
The Aviationistによると、IL-20 クートは「さまざまなアンテナ、赤外線センサー、光学センサー、SLAR(側方監視レーダー)、そしてリアルタイムにデータ共有を行うための衛星通信システムを備えている」。
ロシアの最も洗練された偵察機。
11. アントノフ24 コーク
Wikimedia Commons
アントノフ24(An-24)コークは、旧型の輸送機。
7月に撮影された衛星写真。数多くのロシアの戦闘機が並んでいる。
Screenshot/Twitter via obreta
2015年以降、ロシアは空爆によって、数多くのISISの戦闘員を殺害してきた(数は誇張されていることが多い)。だが同時に、何千人もの民間人が犠牲になっている。
シリア人権監視団は、2015年9月から2016年3月だけでも、ロシアの空爆によって約5800人の民間人が犠牲になったと発表した。
ここ数カ月、ロシアおよびシリアの政府は北西部のイドリブ県、首都ダマスカス近郊の東グータ地区への爆撃を重ね、多くの民間人が犠牲となった。
「どんな言葉も、殺された子どもたち、その母親、父親、彼らの大切な人々のことを表現することはできません」と国連は「白紙」の声明を出した。「苦しみを与えている人々には、その残忍な行為を正当化する言葉があるのでしょうか?」
多くの監視団体が、ロシアが意図的に病院や民間人をターゲットにしていると批判している。だがロシアは民間人の犠牲を全く認めておらず、しばしば否定している。
※2017年12月10日の記事「ロシアがシリアに配備している10タイプの航空機」を更新しました。
[原文:These are the 10 types of Russian military aircraft known to be stationed in Syria]
(翻訳:Conyac/編集:増田隆幸)