自動運転テクノロジーによる安全性とEVのメンテナンスコストを踏まえて、安価なプランを提供している。
Tesla
- テスラは、オーナー専用の自動車保険「InsureMyTesla」を開始。自動運転車の安全性とEVのメンテナンスコストを踏まえ、従来の保険より安価。
- 現在、20カ国で展開。アメリカではリバティ・ミューチュアル(Liberty Mutual)と提携した。
- 自動運転テクノロジーによって車の安全性が向上すれば、自動車保険業界は大きな変革に迫られる。
テスラは、オーナー専用の自動車保険を作るためにリバティ・ミューチュアルと提携した。この動きは、EVメーカーが自動車保険に大きな変革をもたらすことを示している。
InsureMyTeslaは、テスラ車オーナー専用の自動車保険。購入から1年以内であれば、修理できないダメージを受けた場合は車を交換してくれる。テスラは、10月13日から全米50州で取り扱いを開始、同社によるとすでにアメリカ以外にも20カ国でスタートしている。EVのニュースを扱うElectrekが伝えた。
テスラは2月、香港とオーストラリアでInsureMyTeslaを密かにスタートさせた。同社は世界中でInsureMyTeslaを提供するためにさまざまな保険会社と提携、自動運転テクノロジーによる安全性とEVのメンテナンスコストを踏まえて、安価なプランを提供している。
同社CEOイーロン・マスク氏は、テスラ車は自動運転テクノロジーを搭載しているのだから、保険会社はテスラ車の保険料を調整すべきだと述べていた。
アメリカ運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、自動運転テクノロジーの搭載によりテスラ車の事故率は40%低減したことを明らかにした。またEVは、従来のガソリンエンジン車に比べて、メンテナンスコストも低い。
「保険会社が保険料をテスラ車のリスクに合わせないのであれば、我々は必要に応じて、自ら保険を手がける」と2月、マスク氏は語った。
リバティ・ミューチュアルとの提携で、InsureMyTeslaはアメリカでも提供されることになった。数カ月前には、モデルSとモデルXでクレームが頻出したため、テスラ車のオーナーに全米自動車協会(AAA)は保険料を上げると伝えていた。
AAAの決定は、ハイウェイ・ロス・データ・インステイテュート(HLDI)のデータに基づいたもので、テスラの広報担当者が語った分析には「大きな問題」があるとしていた。
だがリバティ・ミューチュアルの取り組みは、保険会社が自動運転テクノロジーを搭載し、より安全性が向上した自動車については、保険料を調整しなければならないと認識し始めたことを表している。
2015年のバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのレポートによると、シンシナティ・ファイナンシャル、マーキュリー・ジェネラル、トラベラーズなどの保険会社は、SECへの提出書類の中で、自動運転車は自社のビジネスモデルを脅かす可能性があると記した。
個人向けの自動車保険マーケットは、自動運転テクノロジーの出現により、25年以内に現在の40%規模まで縮小するだろうと、世界的なコンサルティング会社KPMGはレポートしている。
テスラはいずれ、自動車の価格に保険料やメンテナンスコストも一体化させるつもりだ。
「自動運転の安全性のみならず、メンテナンスコストも考慮する」とテスラのセールス&サービス担当バイズプレジデント、ジョン・マクニール(Jon McNeill)氏は、InsureMyTeslaについて語った。
「将来、車の価格、メンテナンス、保険をまとめて1つの価格で提供することが我々のビジョンだ」
[原文:Tesla strikes another deal that shows it's about to turn the car insurance world upside down]
(翻訳:増田隆幸)