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- EquBotは新しいタイプの上場投資信託「AI Powered Equity ETF(AIEQ)」を発表。IBMの AI「Watson」を使ってポートフォリオを構成するETFだ。
- AIEQは、これまでのところS&P500指数を上回っている。だが、実際にマーケットを上回るリターンをもたらすかどうかを評価するには、もっと長期間の実績が必要だ。
待ち望まれていた —— 少なくとも株式市場においては —— AIがいよいよ登場した。
AIが運用する新しい上場投資信託(ETF)が10月18日(現地時間)に登場した。AI Powered Equity ETF(AIEQ)は、IBMのAI「Watson」を使い、人間の能力を超える大量のデータを分析し、30〜70の株式で完璧なポートフォリオを追い求める。
直近のリリースによると、AIEQは「現在の経済状況、経済トレンド、世界中および企業固有の出来事などから利益を得る確率」をベースに投資先を順位付けし、高い業績を上げる可能性が高い投資先を選択する。
AIEQは、アメリカの上場企業6000社の情報を絶えず分析しながら、こうした作業を行う。ちなみに、20日の上位3社はCITグループ、ペナンブラ(Penumbra) 、ジェンワースファイナンシャル(Genworth Financial)だった。
世界初と発表されたAIEQはEquBotが組成。同社はIBMのグローバル・アントレプレナー・プログラムの支援を受け、AIEQはETF Managers Groupと提携して投資家に提供されている。EquBotはもともと、カリフォルニア大学バークレー校ハース・ビジネススクールのMBA教室での共同創業者同士の議論から生まれた。
AIEQはパッシブ運用が過去に例を見ないほど盛り上がっている時期に登場した。アメリカの投資信託協会(Investment Company Institute)のデータによると、上場投資信託(ETF)の純資産残高は8月に3兆1000億ドル(約350兆円)に達し、1年で約7000億ドル増加した。そして、ETFの多くはすでにコンピューターを活用した定量分析をベースに運用されている。
では、AIEQは何が違うのか? EquBotのCEO兼共同創業者、Chida Khatua氏は、同社の技術はより先進的であり、大きなアドバンテージがあると述べた。
「定量分析をベースとした、高額なヘッジファンドなどが使っている多くのアルゴリズムが同じくらい強力になったとしても、AIや機械学習が正しく使われていなければ、ミスは広がり、高い成果を上げる機会を逃すことになる」と同氏は18日、リリースで述べた。
3日間の取り引きでAIEQは0.8%上昇、同期間のS&P500指標の2倍の上昇となった。そのうえ、AIQEは1日あたり平均19万3000回の取り引きを行い、新たな種類のファンドとして大きな存在感を示した。20日午後、純資産残高は約320万ドルに達した。
もちろん、AIEQが実際に巨大なAIパワーを市場を上回るリターンに変えることができるかどうかを評価するには、もっと長い期間が必要だ。だが今のところ、かなり順調だ。
[原題:The stock market's robot revolution is here]
(翻訳:一柳優心)