LINE Pay普及に本腰、セブン銀行ATMから「現金チャージ」可能に

セブン銀行 河田久尚常務(左)とLINE Payの舛田淳社長

セブン銀行 河田久尚常務(左)とLINE Payの舛田淳社長。着想から実現まで1年以上に及ぶ時間をかけて実現した。

LINEの電子マネー運営会社であるLINE Pay社とセブン銀行は10月23日、ATMの利用提携を発表。セブン銀行ATMとLINE Payの間で直接、入出金が可能になった。サービスは即日開始され、すでに利用可能だ。

東京都新宿区歌舞伎町のセブン銀行ATMで行われた発表会見に出席したセブン銀行の常務執行役員 河田久尚氏は、LINE Payは以前から日頃の買い物でチャージして使っている、と個人的にも親しんできたと説明。

「ATMでできることは、どこの銀行でもそれほど違いがない。そこで、数年前からセブン銀行だけでできること(体験)を増やしていこうと取り組んできた。今回の提携はその大きな一歩」と、既存の銀行業務から一歩踏み出した提携に期待を寄せた。

歌舞伎町のセブン銀行ATM

会場となった東京都新宿・歌舞伎町のセブン銀行ATM。中には……。


歌舞伎町のセブン銀行ATM

内部はLINE Pay提携開始を記念した特別仕様に。LINE Payラッピング仕様になっているのは、全国のセブン銀行ATMの中でもココだけとのこと。11月末までの期間限定だ。

LINE Pay社の社長 舛田淳氏によると、そもそもこの提携の始まりは、1年以上前に河田氏と面会して、互いのビジネスの成長と、ユーザーのために必要なことを率直に話し合ったことからスタートしたのだと言う。舛田氏は、

「シンプルに言えばLINE Payはスマートフォンのお財布。個人間送金もでき、オンライン/オフラインの決済も可能。最近ではコード決済と言われる、(中国のWeChat PayやAliPayで標準的に使われる)QRコードのようなものを読み込んだ決済方法もあるが、日本ではまだそこまでで(普及して)はないが、今回の提携はその推進の1つになっていくと思っている。

LINE Payの国内3000万アカウントを、我々(LINEのサービス内)だけではなく、いかにさまざまなパートナーの皆様に使ってもらうかが非常に大事。今回セブン銀行様とはまずATMの取り組みからスタートさせていただき、今後もさまざまな協議を進め、新しい価値、新しいサービス、新しい体験を作っていきたい」

と、セブン銀行との提携を通じ、決済インフラとしての影響力拡大を進める考えを示した。

「LINE Payカードの店頭販売終了はオペレーション上の理由」(舛田社長)

LINE Payは現在、アカウント数が全世界3800万ユーザー。うち、3000万が日本国内のユーザーだ。今年1月から開始したローソン店頭でのスマホを見せるだけの決済(QRコード決済)など加盟店拡大を進める一方で、今月初旬には、クレジットカードのように使えるプリペイドカード「LINE Payカード」(JCBとの協業)の店頭取り扱いを終了するなど、事業としての選択と集中をするような動きもしている。

 関連記事:なぜLINE Payカードは「店頭販売中止」なのか?LINE広報の回答


セブン銀行のATM

LINE Payラッピングは歌舞伎町店舗だけだが、ATMの画面上での告知は全国のセブン銀行ATMで行っていく。このほか、LINE PayのLINE公式アカウントなどでの情報提供も実施していくという。

舛田氏はBusiness Insider Japanの取材に対し、

「オペレーション上の問題もあったので(終了した)。LINE Payカード自体は、通常通りLINE Payを登録いただいたユーザーに発行すると言う形で今は進めようとしている。すでに3000万ユーザーがいるので、今後このユーザーをどうアクティブにしていくかが我々の課題。今、そちらの方に計画をシフトさせている」と、語った。

日本全国には約20万台のATMがあると言われ、そのうちセブン銀行は「2万3800台強」(セブン銀行河田氏)。セブン銀行の1日の利用者は約200万人。コンビニという一等地の中にあることを考えると、影響力は台数ベースで全国1割強という以上のものがあるとも言える。

現状、セブン銀行で入出金はできてもセブン-イレブンでの決済はできない、という道半ばという状況。LINEとしては今回の提携をきっかけに、まだ店頭決済に使っていないような幅広い潜在利用者層の活性化も早々に図っていきたいということだろう。

(文、写真・伊藤有)

Popular

あわせて読みたい

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み