2050年には毎年1000万人の命を奪うかもしれない耐性菌、その正体は?

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耐性を持つカンピロバクターは消化管に感染し、毎年31万もの感染症を発症させている。

Centers for Disease Control and Prevention

  • 抗生物質に耐性を持つ菌、いわゆる「耐性菌」は全世界で拡大しており、2050年までには毎年1000万人もの命を奪うと予想される。
  • どのように耐性を持つかについて誤解が広がっている —— 菌自体が耐性を持つのであって、人が耐性を持つわけではない。言い換えれば、あなたが抗生物質を使用していなくても、耐性菌に感染する可能性がある。
  • バイオ薬品企業Nabriva TherapeuticsのCEOは、この誤解が原因で、地球の気候変動を無視するのと同じように、人々はこの問題を無視していると語る。

ほとんどの人は、抗生物質を使用したことがあるだろう。中耳炎や喉の炎症、タチの悪い咳などを治すためなどに使われる。

しかし、耐性菌が世界中で大きな問題となっている中でも、耐性菌とわれわれがどのように関わっているのかを理解するのは難しい。

「もし人が一般的な感染症に対する耐性を持ってしまったら、大きな問題です。しかし、わたしたちは地球温暖化と似たような形で、この問題を無視している」。細菌性肺炎を治療する新しい抗生物質の開発に取り組むバイオテック会社、Nabriva TherapeuticsのCEO コリン・ブルーム(Colin Broom)博士はそう語る。同社の「lefamulin」と呼ばれる薬は、試験段階にあり、結果は年内にわかる予定だ。

耐性菌は、2050年までには毎年1000万人の命を奪うようになると予想されている。また、この問題の解決策となる新薬の開発は難しい。ここ数年間で多くの主要な製薬会社が新しい抗生物質の開発をやめている。一方、開発を続けている製薬会社は、薬の認可を得ることに苦労している

気候変動と耐性菌への反応に類似点がある理由は、耐性菌とそれがどう蔓延するかに対して、人々は誤解を持っているからだ、とブルーム博士は語る。

「自分には関係ない」と言うのは簡単だ。もしあなたが現在、細菌感染症の治療を受けていないなら、特にそう思うだろう。世界保健機関(WHO)が2015年に行なった調査によれば、回答者の76%は、「抗生物質への耐性は、人体が薬に対して耐性を持つからだ」と考えている。そのため、抗生物質を摂取していなければ、耐性菌に感染する心配はないと思っている。しかし、現実は甘くない。

「耐性菌はあなたの行動とはまったく関係ない。あなたが感染するのは、すでに他の誰かに感染した細菌です」

もし今、あなたが耐性菌に感染していなくても、状況はより深刻化している。

「国家レベルで見れば、新しい抗生物質の必要性は明らか」

同社の最高医療責任者 エリス・セルツァー(Elyse Seltzer)博士はBusiness Insiderにそう語った。

アメリカ疾病予防管理センターなどの政府機関は、近い将来「ポスト抗生物質の時代」へ突入するとし、耐性菌問題への警戒を呼びかけている。

だが、セルツァー博士によると、それは必ずしも病院での日常業務に支障をきたすわけではないと言う。医師は患者に抗生物質を処方するだけで済むかもしれない —— つまるところ、薬が効くかもしれないし、患者は他の場所に助けを求めるかもしれないということだ。

その人々の「断絶」は、地球温暖化で起こっていることと似ている。その影響を毎日目で見ることはないかもしれないが、地球レベルでは温暖化は進んでいるのだ。

[原文:There's a growing threat that could kill 10 million people a year by 2050

(翻訳:Wizr)

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