フィンテック関連のユニコーン、注目の11社

モノポリーをする人たち

Lisa Maree Williams/Getty

皆、お金が好きだ。

このところ、お金を扱うテクノロジーの人気が非常に高まっている。

フィンテック、すなわちファイナンシャル・テクノロジーの盛り上がりは、買い物の支払い、ローンの借入れ、年金管理などをより簡単に、よりやりやすくする新しいタイプのアプリやサイト、サービスを生み出した。

フィンテックは数十億ドル規模の産業だ。調査会社PitchBookによると、2015年以降、アメリカのスタートアップは約180億ドル(約2兆500億円)を調達し、1400人近いベンチャーキャピタリストが出資している。アメリカで最も企業価値の高いスタートアップ2社、ストライプ(Stripe)とソーファイ(SoFi)はフィンテック関連。さらに11社のフィンテック関連スタートアップは、企業価値が10億ドルを超える。そう、ユニコーンだ。

フィンテックが今、なぜこれほど熱いのか。PitchBookがまとめた企業価値の高いフィンテック系スタートアップ、11社を調べてみた。

急成長分野の常で、フィンテックも紆余曲折と無縁ではない。11社の中でも、レイオフを実施したり、当初の成功から一転して規模を縮小しているスタートアップもある。特にソーファイは今年の夏、社内でのセクハラの訴えを受けてCEOを追い出した。

だが、これらスタートアップ11社は、業界での地位を確立し、すぐに消えてなくなる存在ではなく、数十億ドルを投資してもいいとベンチャーキャピタルが確信できるほどの信用を得ている。その理由を見てみよう。



11位 クローバー・ヘルス:企業価値12億ドル(以下同)

クローバーヘルスの共同創業者クリス・ゲール(Chris Gale)氏とヴィヴェック・ガリパッリ(Vivek Garipalli)氏

共同創業者クリス・ゲール(Chris Gale)氏とヴィヴェック・ガリパッリ(Vivek Garipalli)氏。

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クローバー・ヘルス(Clover Health)は2017年6月に1億3000万ドルを調達し、企業価値は12億ドルとなった。

健康保険を扱う同社は、グーグルの親会社アルファベットの投資会社GVから資金提供を受けており、メディケア・アドバンテージ(高齢者および障がい者向けの公的医療保険プログラムの一部)の加入者をターゲットにしている。

顧客にとって、同社は健康保険会社の1つに過ぎない。だがクローバー・ヘルスは、顧客の健康促進を図るためにデータを活用する。同社は保険会社に、より大きな費用負担を強いる可能性がある緊急事態を予防するために、患者のデータを分析し、治療状況と治療方針の間のギャップを特定する。

同社は2013年の創業以来、4億2500万ドルの資金を調達している

10位 カベッジ:13億ドル

カベッジの従業員たち

カベッジの従業員たち。

Glassdoor/Kabbage

PitchBookの推定によると、カベッジ(Kabbage)の企業価値は13億ドルに上る。2017年8月に2億5000万ドルの調達に成功したためだ。

創業は2009年、中小企業向けに自動融資サービスを提供している。投資と借入によって13億5000万ドルを調達し、ジョージア州で最も調達額の多いスタートアップとなった

同社は現在、10万以上のクライアントを抱え、創業からの融資額は、中小企業を対象に35億ドルを超えた。

9位 ロビンフッド:13億ドル

ロビンフッド共同創業者兼CEOブラッド・テネフ(Vlad Tenev)氏

共同創業者兼CEOブラッド・テネフ(Vlad Tenev)氏。

Robinhood

“ロビンフッド”は貧しい人の味方と言ったのは誰だ?

アメリカ株に特化した手数料無料の株取引アプリを提供するロビンフッドは、2017年4月に1億1000万ドルを調達し、企業価値は13億ドルに達した。

合計で、同社の資金調達額は1億7600万ドルに上る。創業者たちが75人のベンチャーキャピタリストに資金提供を断られたことを考えるとかなりの額だ。

創業は2012年、手数料無料に魅力を感じるミレニアル世代に人気だ。チャールズ・シュワブやイー・トレードといった旧来の競合企業と同じような手数数モデルを取らなかったにもかかわらず、ロビンフッドは収益を上げている。ロビンフッド・ゴールドと呼ぶ有料プランでは、取り引き時間の延長といった追加サービスを月6ドルで利用できる。

8位 アビッドエクスチェンジ:14億ドル

おもちゃで遊ぶ Avidxchangeの従業員

同社はウェブサイトのキャリアのページで「遊び」をコアバリューに掲げている。

Avidxchange

アビッドエクスチェンジ(Avidxchange)も2017年6月、3億ドルの資金調達によって企業価値が14億ドルに達し、ユニコーンに仲間入りした。

アビッドエクスチェンジは一般的な買掛金やオンデマンドの請求書管理などのサービスの提供をする法人向けのテック企業。従来のベンチャーキャピタルによる投資とプライベートエクイティによる投資で、2000年の創業以来の資金調達額は5億4500万ドルに上る。

同社はいくつかの点で興味深い。1つは直近の資金調達ラウンドで、創業して20年近く経つ企業としては極めて高額な資金を獲得したことだ。またノースカロライナ州のスタートアップで最も調達額が多い企業でもある。

7位 コインベース:16億ドル

コインベースCEOブライアン・アームストロング (Brian Armstrong)氏

CEOブライアン・アームストロング (Brian Armstrong)氏。

Anthony Harvey/Getty Images for TechCrunch

この夏、コインベース(Coinbase)の企業価値は16億ドルに達し、ユニコーンとなった。8月に1億800万ドルの資金調達に成功したためだ。

創業は2012年、同社はビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨の売買ができる世界最大の仮想通貨取引所だ。これまでに2億1700万ドルの資金を調達した

同社の成功は、仮想通貨がハッカーたちの趣味から主要な投資手段の1つとなる過渡期に実現した。ビットコインは最近、6000ドルの最高値を記録した。だが多くのユーザーはまだ仮想通貨とそれを支えるブロックチェーン技術に腰が引けている。そのためユーザーは、投資に認証を与え、西部開拓時代のような仮想通貨に、古い、従来のやり方を少しばかり持ち込むコインベースのような企業を頼りにしている。

6位 アプタス:19億ドル

アプタスCEOカーク・クラッペ氏

CEOカーク・クラッペ氏。

Apttus

アプタス(Apttus)は2017年9月、5500万ドルに上る投資を受け、企業価値が19億ドルとなった。

創業は2006年、アプタスは「Quote-to-Cash(見積りから現金まで)のソフトウエア」と呼ぶサービスに特化している。基本的に同社は、売買契約のプロセスをよりスムーズに進めるためにAI(人工知能)を使用する。

同社が面白いのは、創業から7年間は資金調達を行わなかったことだろう。2013年まで資金調達は行わなかった。それ以来の資金調達額は3億2900億ドルに上る。

5位 アヴァント:20億ドル

アヴァントの従業員たち

アヴァントの従業員たち。

Ramzi Dreessen/Avant

アヴァント(Avant)は、2015年9月に3億2500万ドルを調達し、企業価値は20億ドルとなった。

個人向け融資を手がける同社は、AI(人工知能)と顧客データを組み合わせて、顧客の貸し出し金利を設定する。創業は2012年、以来、投資と借入を合わせて17億7900万ドルを調達した。

アメリカのフィンテック系スタートアップの企業価値ランキングでは5位に入っているが、ここ数年は困難に直面している。2016年6月、同社は従業員を解雇し、月間の融資額を半減させたと報じられた。

4位 オスカー:27億ドル

オスカーの広告の前で演奏するミュージシャン

NY地下鉄駅のオスカーの広告。非正規雇用が増えた経済状況下での同社の役割を強調している。

Jill Lin and Greg Nance, creative directors from Untitled Worldwide

オスカー(Oscar)は2016年2月に4億ドルを資金調達し、企業価値は27億ドルとなった。

オスカーは、個人向け医療保険をユーザーフレンドリーなデジタルインターフェースで販売している。同社は従来の保険会社のような、万一のためにという古くさいイメージではなく、ライフスタイルブランドのようなブランディングを行っている。

創業は2013年、オバマケアや非正規雇用の増加により、多くの人が手軽で便利な医療保険を求めたことで勢いを得た。医療保険のクオリティが全米で議論の的となった時期に登場したことで、顧客サービスや保障内容の透明性などの業界慣習を劇的に変える絶好の機会を手にした。

3位 クレジット・カルマ:35億ドル

クレジット・カルマのCEOケネス・リム氏

CEOケネス・リム氏。

Goldman Sachs

クレジット・カルマ(Credit Karma)の企業価値は35億ドル。2015年の資金調達で1億7500万ドルを集め、調達総額は3億6800万ドルとなった。

創業は2007年、同社はクレジットスコア(信用偏差値)の照会を無料で提供している。創業以来、ネット上の信用情報提供を独占している。これはエクイファクス(Equifax)の大規模な個人データ流出により、消費者が信用情報を使った不正行為に対して不安を抱いたためでもある。

2位 ソーファイ:44億ドル

SoFiの従業員

ロサンゼルスのイベントでPRをするソーファイの従業員。

SoFi

ソーファイ(SoFi)の企業価値は44億ドル。2017年2月の直近の資金調達ラウンドでは5億ドルを調達した。同社の資金調達額は合計で20億ドルに上り、これには2015年にソフトバンクが出資した10億ドルが含まれる。

ソーファイの社名は、Social Financeを短くしたもの。学生ローンの借り換えと低リスクの借り手向けの住宅ローンに特化したオンライン融資を手がけている。従来の銀行とは異なる、新しいタイプの貸し手としてファイナンシャルサービス分野で地位を確立した。

だが、同社は問題を抱えている。共同創業者兼CEOマイク・キャグニー(Mike Cagney)氏が、現および元従業員から社内でのセクハラ行為で訴えられ、9月に辞任した。

1位 ストライプ:92億ドル

ストライプの共同創業者パトリック・コリソン氏とジョン・コリソン氏

共同創業者パトリック・コリソン(Patrick Collison)氏とジョン・コリソン(John Collison)氏。

Stripe

ストライプ(Stripe)は2016年11月に1億5000万ドル(約170億1640万円)を調達し、企業価値は92億ドルとなった。2010年の創業以来、同社は4億4000万ドルの資金調達を行った

同社はモバイル決済のスタートアップ。同社のサービスを使えば、どんな企業でもクレジットカードやアップルペイ、その他の類似サービスによる支払いが可能。大手顧客にはリフト(Lyft)、セールスフォース、アマゾンがいる。

ストライプは瞬く間にモバイル決済の標準となったが、依然としてブレインツリー(Braintree)といったスタートアップや大手老舗ペイパルなどと競い合っている。

[原文: These 11 startups are re-inventing how money works and they’re worth more than $1 billion

(翻訳:まいるす・ゑびす/編集:山口玲子、増田隆幸)

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