マック「¥490バーガー」でわかる景気回復 —— 高級バーガー戦争を尻目に狙う客

2014年の使用期限切れ鶏肉問題、2015年の異物混入スキャンダルで失墜した信用とブランド力の回復に努めてきた日本マクドナルド。この間、ファストフードの需要は増し、シェイクシャックUMAMI BURGERCarl’s Jr.(カールスジュニア)が日本市場に参入。値が1000円近くするグルメ・高級路線の「バーガー戦争」は激化してきた。

「デラックスチーズ ビーフ」と「デラックスチーズ チキン」

11月1日に発売されるるマクドナルドの新商品「デラックスチーズ ビーフ」と「デラックスチーズ チキン」。チェダーチーズソース、チェダースライスチーズ、特製粉チーズバンズの3つのチーズを使用している。

景気回復に伴い株式市場が歴史的な高騰に湧く10月、日本マクドナルドは定価「490円」の商品「アメリカン・デラックス・チーズ・ビーフ及びチキン」を11月から期間限定で販売を開始すると発表した。本場・アメリカの味わいを強調した「アメリカンデラックス」キャンペーンの主軸商品だ。

1000円バーガーの苦い経験

日本マクドナルドは4年ほど前に1000円バーガーを試験的に市場投入したことがある。高級バーガーの需要増加を探知していたものの販売拡大には至らず、代わりにシェイクシャックがブームを起こした。売り上げを伸ばしたシェイクシャックは2015年、ニューヨーク証券取引所に上場し、客離れに苦しむアメリカのマクドナルドの新たなライバルとして注目を集めた。

記者発表会には、アメリカ出身のお笑い芸人・厚切りジェイソンさんと「チーズプロフェッショナル」の資格も持つタレントの眞鍋かをりさんも出席した。

記者発表会には、アメリカ出身のお笑い芸人・厚切りジェイソンさんと「チーズプロフェッショナル」の資格も持つタレントの眞鍋かをりさんも出席した。

新商品の発表を受け、「財布の紐は緩んできている。今まで比較的に安い商品を買い求め続け、節約に疲れた消費者が手を出しやすい価格だ」と話すのは、ニッセイ基礎研究所で消費者行動を研究するシニア・マーケティングリサーチャーの井上智紀氏。

「490円というプライスは、シェイクシャックなどが販売する700円以上の高級路線の価格レンジと、100円〜300円の低価格帯のハンバーガーのちょうど中間に位置する。統計データは国内の景気回復を示しており、今後の消費者動向を見る上でも、(マクドナルドの新商品の)売れ行きは気になる」と井上氏。

国内のファストフードの需要は2016年、前年比で6.0%増え、2年連続で増加した。日本フードサービス協会のデータによると、平均客単価でもファストフードは約4%上昇。日本マクドナルドが発表した9月の既存店売上高は、前年同月比7.3%増加し、22カ月連続のプラスとなった。同社は8月、2017年12月期の純利益予想を前期比3.7倍の200億円に上方修正した。

株式売却計画を取り下げた米マクドナルド

一連のスキャンダルに揺れた日本事業から手をひくため、米マクドナルドは2016年1月、保有する日本マクドナルドの5割の株式のうち最大33%を売却する計画を明らかにした。しかし、日本マクドナルドの業績が回復すると、2017年1月に売却計画の中止を決定。 日本マクドナルドの株価は今年、年初から約60%上昇している。

マクドナルドの新商品

「3つのチーズでチーズ濃すぎ!」をキャッチコピーに、4商品を揃える。

10月25日に開かれた新シリーズ発表会では、「アメリカン・デラックス・チーズ・ビーフ/チキン」(490円)のほか、同時に発売される「デラックスチーズ マフィン」(330円)「アメリカンチェダーポテト」(190円)も発表された。

広報部の長谷川崇氏によると「(3年半ぶりの復活となる)アメリカンシリーズで何を投入するかと考えたとき、パティとチーズの組み合わせという王道の食べ方がイメージとして一番最初に来た」と話す。

同発表会に出席したマーケティング本部・上席部長の河野辺孝則氏は、マクドナルドの躍進について、「マクドナルドらしく、カジュアル・お得だという位置に立ち続けている。また、店舗に来ていただくため、キャンペーンに力を入れているところが功を奏している」と話した。

アメリカンデラックス・キャンペーンの第1弾は、11月1日から11月下旬までの間、全国の店舗で予定されている。

(文・西山里緒、佐藤茂 写真・西山里緒)

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