「悪いニュース」の影響を受けないテスラ、その理由とは?

イーロン・マスク氏

テスラのCEOイーロン・マスク氏。

Reuters/Mike Blake

  • テスラは昨年、1年を通じて悪いニュースを量産し続けた。
  • しかし、投資家は全く気にしていないか、長くは気にしないようだ。
  • このパターンは今後も恐らく続くだろう。テスラが倒産の危機にでも瀕しない限りは。

テスラは他の企業とは違う。良くも悪くも。

良い面としては、テスラのビジネス手法は独創的で、著名な投資家デビッド・アインホーン(David Einhorn)氏が指摘するように、同社の業績が低迷している時でも、600億ドルの時価総額に影響はない。

悪い面は来週、同社が第3四半期の決算を発表した時に再び明らかになるだろう。アナリストらはテスラが大きな損失を出すと見ていて、1株あたり3ドル以上にのぼる可能性もあると言う。なかなか利益の上がらないテスラだが、それにしても2017年の第3四半期は厳しい結果になりそうだ。

損失が予測を下回ったとしても、その規模は小さくない。

テスラの株価はここ1カ月ほど、下落している。2017年の前半は非常に好調だったが、フォードやフィアット・クライスラー・オートモービルズが非常に高い時価総額を付ける中、テスラの株価は400ドルを下回っている。しかし、2016年の販売台数が10万台以下であるにもかかわらず、テスラはその時価総額でゼネラル・モーターズを追い抜いたこともある。

では、テスラ株は今回の大規模損失も笑い飛ばせるのだろうか?

過去には第4四半期の結果を受けて、テスラのモメンタムが弱まり始めたこともあることから、今年50%以上伸びた同社の株価が今後2、3カ月で下落しても、驚きはしない。

だが、テスラの株価が値下がりしなくても、やはり驚きはしないだろう。同社は似たような苦しい状況でも、持ちこたえてきた。そのいくつかを紹介しよう。


2008年、テスラは倒産寸前を体験

イーロン・マスク氏

Asa Mathat | D: All Things Digital

テスラの企業価値は現在570億ドルだ。しかし2008年の後半には、ほぼゼロになった。唯一の希望は、4000万ドルの資金調達ラウンドのみだった。当時、手元にあった現金は1000万ドル以下だったと言う。

モデルX SUVの発売は、3年遅れ

モデルX SUV

REUTERS/Stephen Lam

モデルX SUVは2012年、ロサンゼルスで初お目見えした。テスラはほぼ同時期にモデルX セダンの販売を開始した。

しかしモデルXの誕生までの道のりは平たんではなかった。同社CEOイーロン・マスク氏のファルコンウィングドアのデザインに対するこだわりは強く、自動車を組み立てることができなかった。大幅な延期の末、モデルX SUVが発売されたのは2015年も後半になってからのことだ。

2014年、2015年に続き、2016年も納入予定台数を下回る

イーロン・マスク氏

Reuters/Bobby Yip; Business Insider/Dave Smith

テスラは納入予定台数(事実上の販売台数)を公表しており、同社はそれを大幅に下回ることはないものの、達成したこともない。

テスラ側の言い分としては、納入台数は2014年には3万5000台弱だったが、2015年には約5万台に、2016年には約7万5000台に、年々増加している。これは大きな飛躍であり、販売は常に生産ペースを上回る。同社は今年、既存の工場でモデルSとモデルXの生産を最大化するだろう。

モデル3の生産台数は大幅に計画を下回る

モデル3

YouTube/Motor Trend

残念ながら、販売価格3万5000ドルの大衆向けセダン「モデル3」も、モデルSやモデルX同様、テスラを「生産地獄(production hell)」に追い込んでいる。

理論的にはモデルSやモデルXよりも組み立てがシンプルなモデル3だが、2017年第3四半期の生産台数は、その計画を大幅に下回っている。計画では9月単月で1500台の生産を見込んでいたが、実際は260台にとどまっており、同社は12月までに月産2万台を目指すとしている。

結論:テスラに関しては、全ての悪いニュース(差し迫った倒産の危機以外)は、織り込み済み

テスラの株価チャート

Markets Insider

チャートを見てわかるように、テスラの株価は2013年に急伸して以来、ボラティリティは非常に高いものの、忍耐強い投資家にはしっかり報いている。したがって、自動車メーカーとしてのテスラのファンダメンタルズには疑問の余地があったとしても —— 「自動車を作る」という部分では、まだその発展途上にある —— 投資対象としては、そのリスクに賭けることで利益をもたらす可能性を証明した。

投資家は株価のワイルドな変動や鼻血が出そうな損失、涙が出そうなキャッシュ・バーン、頻繁に公表される胸が躍るようなニュースに非常に慣れていて、彼らのポジションには、悪いニュースも織り込み済みだ。

その投資姿勢が極端に偏っていない限り、投資家はテスラが1週間で1株あたり100ドルを失っても、いずれかのタイミングでそれを取り戻すだろうと考えられる。アナリストの目標価格はさまざまだが、150ドル以下と考える者は少ない。もしそうなった場合は、倒産の可能性があるということだろう。

事実、テスラに関してマーケットが嫌がる唯一の悪いニュースは、倒産だろう。同社は株や社債を通じて現金を調達することもできるが、約1年分の経営資金は銀行にある。

テスラにとって肝心なのは、悪いニュースがその意味を失うほど、良いニュースが更なるビジネスチャンスを生むことだ。

[原文:Tesla is immune to bad news — here's why (TSLA)

(翻訳:編集部)

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