11月3日(金)に発売される「iPhone X」。すでに予約合戦で悲喜こもごものようだが、発売を前に実機を手に入れたため、まずは「開封の儀」とファーストインプレッションをお伝えしたい。使い込んでの考察を含めた本格レビューは、発売日にお伝えする予定なので、少々お待ちいただきたい。
iPhone X(シルバー)。この他スペースグレーのバリエーションがある。
ハードは変わっても変わらない「iPhone」らしさ
iPhoneのデザインは、2014年秋に発売された「iPhone 6」以降、大きくは変更されていない。だからiPhone Xは久々の「デザイン変更を伴ったiPhone」だ。そういう意味では、持ってみるとやはり新鮮な印象はある。一方で、箱を開けるとやはり「iPhone」。内容物もパッケージの方法も、これまでのiPhoneと大きく変わらない。操作体系に若干の変化はあるものの、意外なほどすぐに慣れる。「やはりこれはiPhoneなのだな」と、いい意味で納得する。アップルはハードウェアを変更しつつも、あえて「iPhoneであることのアイデンティティには手をつけなかった」ように思える。
iPhone Xの外箱。サイズ的にもモチーフ的にも、これまでのiPhoneと大きくは変わらない。
iPhone Xの外箱を開いたところ。美しい仕上げ。
内容物。マニュアルやSIMピン、ヘッドホンとアナログ音声接続用アダプターにUSB・ACアダプター、Lightningケーブルと、こちらもお馴染みの内容。
ただし、電源が切れている時の佇まいはやはり、今までのiPhoneとは異なる。ホームボタンがないために「漆黒」であり、まさに一枚の板だ。フレームレスであることがウリのひとつだが、ボディ周囲のステンレススチールが目立つため、意外と「フレームがない」という印象は薄い。フレームを黒くした他機種の方が「フレームレス」感はある。ただ、ディスプレイの「黒さ」はiPhone Xの方が上である。これは画質にも影響しているが、その辺の評価は後日の記事をお待ちいただきたい。
本体の電源がきれていると、表面はまさに「漆黒の一枚板」。ディスプレイとガラスの継ぎ目がほとんど判別できない。
左から、iPhone 8 Plus、iPhone X、サムスンのGalaxy Note 8。「フレームレスさ」ではGalaxy Note 8の方が優っている印象だが、iPhone 8 Plusと比較すると「凝縮感」がある。
サイズはiPhone 8とほぼ同じ、ディスプレイ品質が良好
iPhone Xを持って感じたのは「やっぱり小さい」ということ。筆者は普段iPhone 8 Plusを使っているため、特に小さく感じる。iPhone 8・iPhone 8 Plusと比較すると、ボディのサイズ自体はiPhone 8とほとんど変わらない。「Plus系は片手では持ちづらい」と感じていた人にはかなりの朗報といえる。
左から、iPhone 8 Plus(ゴールド)、iPhone X(シルバー)、iPhone 8(シルバー)。iPhone 8とサイズがほとんど変わらないことに注目。
ボディ背面は、iPhone 8同様ガラスになっていて、かなり高級感のある仕上げだ。サイドのステンレスチール部とガラスの継ぎ目の処理が凝っていて、そこも高級感の演出に一役買っている。カメラはiPhone 8 Plus同様、望遠と広角の2眼。内部に顔認証のためのTrueDepthカメラを搭載した結果、並べる方向は変更されている。
背面。ボディの色は後ろから見るとよくわかる。仕上げや色味は、iPhone 8のシルバーに近い。
カメラ部。広角・望遠の2眼式で、そこはiPhone 8 Plusと同等。センサーも同じだが、レンズユニットが変更されており、望遠側にも光学手ブレ補正が搭載されている。
サイド。ボタンの数や配置に大きな変更はないが、右側にある「電源ボタン」を使う頻度が増えるため、サイズが大きくなっている。
電源ボタンの大きさに注目。iPhone 8より大きく、押しやすくなっている。
では肝心の使い勝手は?
顔認証のFace IDは、これまでの顔認証とはかなり趣が異なる。動作が速く正確で、操作面でも利便性がかなり高い。他機種での顔認証にあった認識までの一瞬の間が、かなり短い。そして、操作方法も、きちんと使ってみるとなるほどよく練られている。
なにより大きいのは、ディスプレイの美しさだ。コントラストだけでなく発色がきわめて良い。スマートフォン向けのOLEDは色温度が高めになる傾向にあり、どこか「青白い」印象のものが多いのだが、iPhone Xは、iPhone 8のディスプレイを「そのまま高コントラストにした」ような、素直な発色になっている。映画や写真で大きな威力を発揮しそうだ。
(文、写真・西田宗千佳)