ジェフ・ベゾス氏は小さな子どもにナイフや電動工具を使わせる —— その理由とは?

ジェフ・ベゾス、マッケンジー・ベゾス夫妻

Kevork Djansezian/Getty Images

  • アマゾンのCEOジェフ・べゾス氏によると、べゾス夫妻は子どもに幼い頃からナイフや電動工具を使わせている。
  • 科学的な研究の結果、リスクを取る自由があることは、子どもにとって大きなメリットになる。
  • 過保護な親に育てられた子どもは、成長してから自分が大人になるのはふさわしくない、準備ができていないと感じるようになる。

多くの裕福な親が子どもを守ろうとする中、世界で最もリッチな夫婦はその逆を行く。

ロサンゼルスで開催された「サミット LA17」で、アマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏は妻のマッケンジー・ベゾス氏に「私は何もできない子どもより、9本指の子どもの方がいい」と言われたと語った。

この発言はベゾス夫婦の教育方針をよく表している。夫婦は4人の子どもたちによく切れるナイフを4歳から使わせ、そのすぐ後に電動工具も使わせていることを、イベントのモデレーターで同氏の実の弟でもあるマーク・べゾス氏に明かした。

リスクを伴う行為は、失敗に対処する方法を子どもに教えてくれる

ベゾス夫婦のアプローチが子どもにとって健全であることを示す報告は、相次いでいる。自分の体をひどく切ったり突き刺したりしない限り、でたらめで多少無茶な遊びは、子どもに精神的なメリットがあると考えられている。一方で、過保護は子どもを失敗に導くこともある。

リスクを伴う遊びのメリットに関する研究では、こうした遊びが身体的な健康やソーシャルスキルを向上させ、子どもにリスクの見極め方を学ばせる助けになることが分かった。子どもの自信や打たれ強さを伸ばすことにもつながる。

「重要なのは、子どもにとって何がリスクを伴う遊びかを決めるのは、親でも専門家でもないということだ」ブリティッシュコロンビア大学の小児科准教授マリアナ・ブルッソーニ(Mariana Brussoni)氏は、学術ニュースサイト「ザ・カンバセーション(The Conversation)」で指摘した。「それよりも、子どもたちが自分にとって適切なリスクのレベル、つまり刺激的だが怖すぎないレベルを見つけ出せるような精神的、身体的機会を与える必要がある」

ベゾス夫婦のような教育方針を取る親は少ないと、ブルッソーニ氏は指摘する。「わたしたちは子どもを安全な環境に置き過ぎている」

過保護の影響は何年も

How to Raise an Adult(大人の育て方)』の著者ジュリー・リスコット・へイムズ(Julie Lythcott-Haims)氏は、TEDトークやその著書で同様の意見を示している。同氏はスタンフォード大学で2002年から2012年まで、新入生担当の学生部長を務めた中で、自信を失い、うつになった学生を数多く見てきたという。優秀で能力もある学生たちが、自分が大人の生活を始める準備が全くできていないと感じていた。

多くの調査で同様の結果が出ている。過保護な親に育てられた子どもは、過保護でない親に育てられた子どもよりも、その後の人生でメンタルヘルスの問題に直面する確率が高い。

ベゾス氏がイベントで語ったように、親が少しだけ手を出さないようにすると、子どもが自らを傷つけてしまうことは避けられないが、その瞬間が子どもにとって学びの機会になる。これがリスコット・へイムズ氏の言う「自己効力感(self-efficacy)」、つまり自分の人生は自分でコントロールするという考え方を育てる。

結局のところ、指を1本失った子どもは指が全て揃っている子どもよりも、人生から多くのことを得ることもある。

[原文:Jeff Bezos let his kids use knives and power tools from an early age — and experts say that could be a good thing]

(翻訳:まいるす・ゑびす/編集:山口玲子・山口佳美)

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