ゴールドマン・サックス(GS)と三井住友信託銀行グループが運営する投資ファンドのジャパン・コインベストは、クラウド名刺管理サービスを提供するSansanに資本参加した。Sansanは今後、事業のグローバル化を加速させる。
「名刺文化が根づくアジアを中心に海外事業を展開していきたい」とSansan・広報担当者。
SansanのHP
Sansanは、運営する法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」と個人向け名刺アプリ「Eight」をビジネス・インフラとして育て上げ、グローバルネットワークを持つGSとジャパン・コインベストを株主に迎えることで、国内外で事業をさらに拡大していく。Sansanが11月8日、明らかにした。今回の株式譲渡額を公表していないが、関係者によると数十億円規模だという。
2007年の創業以来、約6000社の企業・官公庁が法人向けの有料サービス「Sansan」を導入しているが、Sansanは2019年頃までに導入企業社数を1万社まで拡大させる。個人向けの「Eight」の利用者は現在、180万人。Sansanは今年2017年、「Eight」の英語版をリリース。シンガポールやインドネシア、フィリピン、インドをターゲットにユーザー数を伸ばしていくという。
「名刺文化が根づくアジアを中心に海外事業を展開していきたい」とSansan広報担当者は述べた。
Sansanは2017年8月、Salesforce Venturesと未来創生ファンド、DCM Venturesから42億円を調達している。アジアでのマーケティング活動に資金を投下し、アジア域内でのユーザーを獲得していく。8月の調達ラウンドで、Sansanの調達累計額は84億円となった。
今回の株式譲渡額を非公表しているが、関係者によると数十億円規模だという。
REUTERS/Brendan McDermid
Sansanは2016年にデータサイエンティストが所属するR&D部門を有する「Data Strategy & Operation Center(DSOC)」を設置。蓄積された数億の名刺データを人工知能(AI)で分析し、新たな名刺の可能性を探るという。
市場では、Sansanの早期の株式上場を期待する声が聞かれる。同社広報担当者は、「資金調達を目的とした上場を急いで行う必要はないと考えている」と話し、詳細に関するコメントは控えた。
(文・佐藤茂)