Reidar Hahn/Fermilab
大学生にとって、大学で何を専攻するかは、頭を悩ませる大きな問題だ。その延長にある職業によっては、4年後の卒業時に、さほど需要がない可能性があるからだ。
アメリカの求人情報サイトZippiaは、国勢調査のデータを使って、22歳~25歳の業種別失業率を推計、就職につながりやすい専攻分野があることを明らかにした。その大半は、教育や科学に関連する専攻分野で、その先にはより専門的で、人材が不足しがちな職業が待っている。
失業率が最も低いのは、次の11の専攻分野だ。
11位:物理学 —— 失業率4.49%
Reidar Hahn/Fermilab
物理学を専攻する学生の一般的な就職先は、大学や独立系研究機関だ。
科学、技術、工学、数学の4分野(STEM)の学位取得者をめぐっては、労働市場に需給ギャップがあるが、ハードサイエンスの1つである物理学専攻は、雇用が保証されやすい。だが、それでも失業率は、全国平均より高い。
10位:土木工学 —— 失業率4.29%
U.S. Army Corps of Engineers/flickr
工学系の専攻分野は、今回のランキングにいくつか入っている。
機械工学、化学工学、一般工学など、6つの工学系専攻分野のうち、最も失業率が低かったのが、橋や道路といった構造物の設計、維持を手掛ける土木工学だった。
9位:生化学 —— 失業率4.22%
Thomson Reuters
より職を得やすいのが、STEM分野の1つである生化学専攻だ。研究所に所属し、医薬品の開発や試験に携わることが多い。
公衆衛生の向上に役立つ、新しい技術の開発を手掛けることもある。
8位:語学教育、演劇教育 —— 失業率4.11%
Eric Gaillard/Reuters
教育は、専門的な分野に特化すれば、さまざまな就職機会が得られる。Zippiaの調査によると、対象者146人のうち、外国語もしくは演劇教育を専攻した学生で就業していなかったのは、わずか6人だった。失業率は全国平均と同程度だ。
7位:動物科学 —— 失業率3.97%
Joe Raedle/Getty Images
動物科学を専攻した場合、動物の保護やその行動研究に加え、治療法の開発や向上を手掛けることになる。
畜産も動物科学に含まれる。
6位:看護学 —— 失業率3.81%
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看護学を専攻した卒業生が就職に困ることはほとんどない。病院やその他の医療機関では常に、患者にきちんと対処できるたくましい人材を必要としているからだ。
2013年、アメリカで最も失業率が低かったのは、看護学専攻者だった。
5位:初等教育学 —— 失業率3.63%
Joe Raedle/Getty Images
専門的でなくても就職率の高い例外的な専攻分野が、初等教育学だ。調査対象となった799人のうち、職についていないのはわずか29人だった。
4位:コミュニケーション障害とその関連サービス学 —— 失業率3.48%
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専攻科目の名称としてはあまり知られていないが、この専攻の卒業生は言語療法士になったり、その他の聴覚・言語障害を持つ人の支援に携わることが多い。
障害に関する研究を続け、現場で役立つ治療法を開発する人もいる。
3位:特別支援教育学 —— 失業率3.11%
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特別な支援を必要とする子どもたちのために働く、この要件を満たした人材に対する需要は高い。一部の専門家によると、現場で働く教師の多くが、正式な資格を持っていないと言う。
「これは全国的に必要とされているものだ」と、アイダホ州にあるボイシ州立大学の特別支援教育部門の責任者マイケル・ハンフリー(Michael Humphrey)氏は2015年、USA Today紙に語っている。
2位:天然資源管理学 —— 失業率2%
Stefano Boeri Architetti
気候変動に対する人々の意識が高まる中で、自然環境の保護や天然資源の管理に対する需要も増えている。調査対象となった100人のうち、天然資源管理学を専攻して、仕事に就いていないのは、わずか2人だった。
1位:社会科学もしくは歴史を専門とする教師教育学 —— 失業率1%
Flickr / Strelka Institute for Media, Architecture and Design
専門的な教育分野の中でも需要が高いのは、成人教育だ。雇用も保証されている。
教職への就き方、中でも社会科学や歴史を専門とする人々を教えるこの分野を専攻した人は、その99%が仕事に就いているという。
[原文:The 11 college majors with the lowest unemployment rates]
(翻訳:Tomoko A./編集:山口佳美)