教育レベルで見た住民の分布図(ニューヨークシティ)。
Kyle Walker
近所の住民の名前は分からなくても、彼らの教育レベルを知ることは可能だ。
アメリカのテキサスクリスチャン大学で地理学の助教を務めるカイル・ウォーカー(Kyle Walker)氏は、インタラクティブ・ドット・マップを作成することで、各都市の住民の教育レベルを可視化した。
それぞれのドットは25歳以上の25人~500人の住民を表していて、ドットの色は彼らの最終学歴を示している。青色のドットは大学院卒、緑は大卒、黄色は大学中退、オレンジ色は高卒、赤色は高卒以下だ。
この地図は、多くの人にとって抽象的であろう概念を明確にする手掛かりとなる。例えば、右上に示したニューヨークのマップでは、学歴が比較的低い人はマンハッタン以外のブロンクス、クイーンズ、ブルックリンといったアウターボローで暮らしている傾向があること、そして一本の高速道路によって富裕層と貧困層が分断されていることが分かる。
アメリカ国内の各都市の状況を見てみよう。
カリフォルニア州サンフランシスコのベイエリアでは、バークレーからオークランドへ南下するにつれ、教育レベルが少しずつ低下していくのが特徴的だ。湾の反対側のサンフランシスコは、チャイナタウンの一部に赤が集中していることを除けば、おおむね大学院卒で占められている。
Kyle Walker
ニューヨークシティの住民の分布を見ると、マンハッタンとブルックリンの一部エリアに青が集中している。だが、アウターボローへ進むにつれ、教育レベルは低下する。マンハッタン島内でも、100thストリートを越えたあたり、ハーレムに入るあたりから、ドットの色は青色から、緑色、黄色へと変わっていく。
Kyle Walker
ウォーカー氏のマップは、ロサンゼルス市内の教育レベルの違いを明らかにした。ビバリーヒルズや西ハリウッドは緑もしくは青で埋め尽くされているが、ロサンゼルスの中心部や東ロサンゼルスには高校中退者が集中している。
Kyle Walker
イリノイ州シカゴでは、ミシガン湖に近付くにつれ、教育レベルが高くなる。大学院卒が最も多いのは、サウスループ地区だ。ロサンゼルス同様、シカゴも地域による差が明らかだ。
Kyle Walker
ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)といったエリート校のあるマサチューセッツ州ボストンやケンブリッジには、予想通り、教育レベルの最も高い住民が集中している。南下するにつれ、教育レベルも下がっていく。
Kyle Walker
テキサス州ダラスも教育レベルによる分離が顕著だが、都市全体としてはそれなりに混在している。ガーランドやアーリントンといった都市では、教育レベルによる偏りはあまり見られない。
Kyle Walker
コロラド州デンバーは学歴の高い住民が多い。だが、国道25号線を越えた途端、その教育レベルは劇的に変わり、高卒や高校中退者が増加する。
Kyle Walker
ワシントン州シアトルの人口密集地では、大卒者と高卒者がほぼ同程度に入り混じっている。赤色のドットが集中し始めるのは、チャイナタウンの南側だ。
Kyle Walker
ジョージア州アトランタ北部では、青色と緑色のドットの海をさえぎるように、学歴の比較的低い住民が集中する帯状の地域がある。最も教育レベルの高い住民は、街の中心部で生活しているが、その数は街の南側や東側で暮らす比較的教育レベルの低い住民の方が圧倒的に多い。
Kyle Walker
ペンシルベニア州フィラデルフィアでは、北部と南部に低学歴の住民が最も集中しており、センター・シティ地区はそれに挟まれる形で、ほぼ大卒の住民のみという構成になっている。
Kyle Walker
ダウンタウンのすぐ西のエリアを除き、アリゾナ州フェニックスは街の中心部に向かってさまざまな教育レベルの住民が混在している。最も学歴の高い住民は、準郊外のスコッツデールやテンペに集中している。
Kyle Walker
[原文:Mesmerizing maps show where the most educated Americans live]
(翻訳:まいるす・ゑびす/編集:山口佳美)