アメリカでは違うアプローチを採用している。
Brendan McDermid/Reuters
- ベゾス夫妻は「シンガポール式算数」という学習法で、子どもに算数を教えている。
- これは南アジアでは主流の学習法だ。
- シンガポールは2015年の学習到達度で他国を抑え、最も優秀な成績を収めた。
アマゾンCEOで、世界で最もリッチな人物、ジェフ・ベゾス氏は独創的かつ型破りな方法で問題解決に取り組み、巨額の富を築き上げた。
同氏とマッケンジー・ベゾス氏の夫妻は、子どもの教育にも同じアプローチを用いている。
「私たちはあらゆることを試してきました。中国語のレッスンを受けさせたり、シンガポール式算数のプログラムに参加させたり、近所の子どもたちとのさまざまなクラブ活動やスポーツ活動にも参加させました」とマッケンジー氏はVogueに語った。
第2言語の習得には教育面でのメリットが認められており、チーム活動は子どもの適応能力を伸ばすとされている。だが「シンガポール式算数」とはどのようなものだろうか?
シンガポール式算数は「マスタリー・アプローチ」とも呼ばれ、中国の上海、シンガポールで特に普及している算数の教育方法だ。
マスタリー・アプローチでは、生徒はより複雑な問題に取り組む前に、ある特別な解き方を学ぶとエセックス大学の講師、アレクセイ・ベルニツスキー(Alexei Vernitski)氏はThe Conversationで述べている。
この学習法を採用している上海の学校では、生徒を学力別にグループ分けしない。その代わり、全員が同時に同じ問題に取り組み、全員が理解した後で一緒に次の問題に取り組む。
対照的にアメリカの学校では「マインドセット・アプローチ」を使って算数を教えている。これは問題を特別な方法で解く前に、より幅広い概念を学ぶことで算数の考え方をより直感的に生徒に理解させようというものだ。
例えば「マインドセット・アプローチでは、先生は2枚のカードに書いた数字(あるいは他の小道具)をひとつに合わせるというやり方で足し算を教え、実演を通して算数の考え方を教える。その後、数字を足すというやり方に進んでいく」とベルニツスキー氏。
2015年、イギリスの140校を対象にロンドン大学教育研究所とケンブリッジ大学が行った調査では、マスタリー・アプローチは生徒が算数を学ぶ時間を短縮することが分かった。
また2015年の国際学習到達度調査(PISA) —— 世界各国の15歳児を対象に数学、科学、読解力の3分野を評価 —— では、3分野全てでシンガポールが1位となっている。
(翻訳:まいるす・ゑびす/編集:増田隆幸)