100年後の地球はどうなる? ただし人類がラッキーならば……

リサイクルされたアルミを検査する男性

リサイクルされたアルミを検査する男性

Paulo Whitaker/Reuters

アメリカは11月15日を「アメリカ・リサイクル・デー」と定めている。環境に配慮した日が設けられたことには理由がある。

リサイクルは道路からゴミをなくし、地球を傷つける採掘のニーズを削減し、雇用を促進する。

またリサイクルは地球温暖化の原因となる二酸化酸素の排出を抑えることができる。ポピュラー・メカニクス(Popular Mechanics)によると、アルミ缶1トン(約6万4000個)のリサイクルは大気中への二酸化炭素の排出量を10トン削減することにつながる。

だが、リサイクルは気候変動への万能薬ではない。

気候変動がもたらす破壊的な影響を抑えたいのであれば、我々は電力生産、交通、工業、農業、そして他の産業が生み出す温室効果ガスをドラスティックに、かつ今すぐ、削減しなければならない。

「地球温暖化を止めることはできない」

NASAのゴダード宇宙科学研究所の気象学者ギャビン・シュミット(Gavin Schmidt)氏は以前、Business Insiderに語った。

「これまでに起こったことは、すべてシステムに織り込み済みのこと」

つまりもし、二酸化炭素の排出量が明日「ゼロ」になったとしても、人類が引き起こした気候変動の影響は何世紀にもわたって続く。そして残念ながら、二酸化炭素の排出はすぐには止められない。

今、重要なことは、可能な限り痛みを伴わずに我々が適応できるくらいにまで気候変動のスピードを落とすこととシュミット氏は語った。

2016年、地球の平均気温は産業革命前に比べて平均1.26℃高くなった。パリ協定で国際的な努力目標として掲げられた1.5℃のリミットに危険なほど近づいた。

このリミットを超えないようにすることは大きなチャレンジだが、かつて気候変動を「でっちあげ」と呼んだトランプ大統領は2017年、協定から離脱を表明した。

だがもし、我々が地球の一員として協力し合い、二酸化炭素の排出を抑えることができたら、100年後の地球はどのような姿になっているのだろう。楽観的な予測かもしれないが考えてみよう。

シュミット氏は、2100年の地球は「今より少し暖かいと今よりかなり暖かい」の間ぐらいだろうと述べている。地球規模で考えると、この差は数百万人の命が救われるかどうかを意味する。

エッフェル塔前の人文字:ピース・マークと「100% RENEWABLE」

Benoit Tessier/ Reuters


「1.5℃という目標は長期的には達成できない」とシュミット氏は語った。同氏は2030年頃までには目標を超えてしまうと予測している。

地球の平均気温の図

地球の平均気温の図を見る人たち、2014年。

Stephane Mahe/Reuters


だがシュミット氏は、気温が2℃以上上昇することはないと楽観視している。2℃は国連が避けたいとしている数値。

フランス・ストラスブールの欧州議会の様子(2016年)

Vincent Kessler/Reuters


2℃は回復不可能な数値。研究者は、気温上昇が2℃を超えると、地球の気候システムのバランスが崩れると懸念している。バランスが崩れると、気温が4〜5℃上昇する「ホットハウス・アース(温室化した地球)」を招く。

宇宙から見た地球

アポロ8号から見た地球。

NASA


楽観的に考えて、気温上昇を1.5〜2℃の間に収めることができたしよう。21世紀末には、世界の平均気温は今より約1.7℃上昇しているだろう。

地球温暖化のイメージ

NASA


だが、平均気温だけで全体像はつかめない。気温の平年差、つまりあるエリアの気温が、そのエリアの「通常の」気温からどれくらい離れているかを表す数値は、大きくなるだろう。

ロンドン・ブリッジとホッキョクグマの親子の彫刻

Oli Scarff/Getty

出典:Business Insider

例えば2016年、北極圏の気温はある日、海水が凍る温度を上回った。これは北極としては異常な暑さ。このような異常気候はより多くなるだろう。

グリーンランド、クルスクの港に浮かぶ氷山

Bob Strong/Reuters

出典:Washington Post

つまり、海氷面積が史上最小を記録した2016年のような年は珍しくなくなる。2050年までに、グリーンランドでは夏、氷が溶けるだろう。

溶けた海氷

NASA Goddard Flickr

出典:Journal of Advances in Modeling Earth Systems

2012年の夏、グリーンランドを覆う氷床の表面の97%が溶け始めた。これは1世紀に1度の現象だが、今世紀末までには、6年ごとに発生するようになる可能性がある。

グリーンランド、クルスクの流氷

Flickr/Ville Miettinen

出典:Climate CentralNational Snow & Ice Data Center

明るい面を見ると、南極大陸の氷は比較的安定し、海面上昇への影響は最小限にとどまるだろう。

南極のジェンツーペンギン

Andreas Kambanis on Flickr

出典:Nature

だが、予期せぬ氷棚の崩壊で海面が上昇し、研究者を驚かせるかもしれない。

ラーセン棚氷の亀裂

南極ラーセンC棚氷の幅300フィート(約91メートル)、長さ70マイル(約113キロメートル)の亀裂。2016年11月に確認された。

John Sonntag/IceBridge/NASA Goddard Space Flight Center

出典:Business Insider

最良のシナリオでも、海面は2100年までに2~3フィート(約61~91cm)上昇する。最大400万人が移住を迫られる可能性がある(より恐ろしいシナリオでは2050年までに最大300万人が住む場所を失う)。

浸水した街で自転車を押す人々

Thomson Reuters

出典:NASA,Time,The Conversation

世界の海岸線は、たとえ二酸化炭素の排出を中程度に抑えることができても、今とは違うものになるだろう。

2100年の南フロリダの海岸線

Skye Gould/Business Insider

2100年の南フロリダの海岸線。左は気温が2℃上昇した場合、右は4℃上昇した場合。

アマゾンがニューヨーク・クイーンズ区ロングアイランドシティに計画している第2本社(HQ2)はおそらく、2050年までに水浸しになる。もし気温が2℃以上上昇し、ホットハウス・アース化が進展すれば、2100年までに水中に沈む。

ロングアイランドシティ

Google Earth/Climate Central

出典 : Business Insider (1,2)

海は大気中の二酸化炭素の3分の1以上を吸収し、水温と酸性度の上昇を引き起こす。つまり気温上昇は世界の海の酸性化を招く。

熱帯魚

Brandi Mueller for Argunners Magazine

出典:International Geosphere-Biosphere Program

つまり熱帯地域では、ほぼすべてのサンゴ礁の生息域が死滅する。最良のシナリオでも、熱帯のサンゴ礁の半分が脅威にさらされる。すでに現在でも影響は現れている。

珊瑚礁

Matt Kieffer/flickr

出典:International Geosphere-Biosphere Program,Business Insider

さらに二酸化炭素の排出を減らすことができたとしても、2050年までに熱帯では夏、猛暑日が50%増加する可能性がある。より北の地域では1年の10~20%の日が今よりも暑くなる。

噴水の水で遊ぶ少女

Lionel Cironneau/AP

出典:Environmental Research Letters

サンディエゴのような地域は気候変動の恩恵を受けるだろう。「過ごしやすい」日が増える。だが海岸に近い地域は、海面上昇の影響を受けやすく、影響は予測できない。

サンディエゴ

Lucky-photographer/Shutterstock

出典 :Business Insider

二酸化炭素の排出をコントロールしなければ(現状のままならば)、熱帯では夏じゅう、異常な暑さが続くことになる。温帯では、現在では異常とされる気温の日が30%かそれ以上多くなる。

リスザル

AP Photo/Matt York

出典:Environmental Research Letters

わずかな温暖化でも水資源は影響を受ける。2013年の論文で、科学者は世界中でより深刻な干ばつが、よりも頻ぱんに発生するようになると予測した。このまま放置すれば、気候変動は地表の40%に深刻な干ばつを引き起こす可能性がある。これは現在の2倍の広さ。

干ばつでひび割れた地面

Reuters

出典:PNAS

もちろん天候も温暖化の影響を受ける。高潮、山火事、熱波などの自然災害はすでに大型化し、頻度を増している。2070年以降にはより常態化するだろう。

高い気温を示す人

REUTERS/Steve Marcus

出典 :Environment360

ハリケーンはすでに、海水温の上昇および緩やかな海面の上昇によって、より壊滅的なものとなっている。高潮もより内陸部まで及んでいる。人類の二酸化炭素排出がもたらす気候変動は、嵐の雨量を増やし、洪水を悪化させている。

水浸しのゴルフコース

水浸しのゴルフコース。かろうじて水面に顔を出している場所に整備機材が並べられている。2018年9月24日。

Jason Lee/The Sun News via AP

出典 : Business Insider (1,2)

気候変動はまた、カリフォルニアのような温暖で乾燥した地域での山火事のリスクを増加させた。山火事が急速に広がるリスクも大きくなった。2018年11月、カリフォルニア州史上、最悪の山火事「キャンプ・ファイア」が燃え広がった。通常なら雨のシーズンだ。

山火事キャンプ・ファイア

山火事キャンプ・ファイア。2018年11月10日。

出典 : Business Insider (1,2)

まさに今、人類は危機の瀬戸際。警告のサインを無視すれば、地球はシュミット氏が思い描く「変わり果てた惑星」になってしまうだろう。その姿は、現在の気候と直近の氷河期ほどの違いだ。

切り立った崖の上の道を歩く人々

Reuters


現状を変えることもできる。最良のシナリオの多くは、2100年までに二酸化炭素の排出はマイナスになると想定している。つまり、二酸化炭素回収技術を通して、排出量以上の二酸化炭素を回収できるようになる。

煙突から上がる煙

Reuters/Aly Song

出典:The Guardian

解決策は、世界中をソーラーパネルと風力タービンで覆うという過激なものではない。1960年代に開発され、今は使われなくなった核技術が、気候変動と戦うための技術になるかもしれない。

溶融塩原子炉の実験

溶融塩原子炉の実験、1964年。

Oak Ridge National Laboratory


シュミット氏は、2100年の地球は「現在より少し暑いか、かなり暑いか」の間のどこかと語った。地球規模で見ると、この違いは数百万の命を左右する。

リサイクルの促進をアピールする人々

Benoit Tessier/ Reuters



[原文:Here's what Earth might look like in 100 years — if we're lucky

(翻訳:Ito Yasuko/編集:山口玲子、増田隆幸)

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