1987年、人々はタブレットやAIアシスタントのアイデアを拒絶した

元アップルCEOジョン・スカリー氏

Brad Barket / Stringer / Getty Images

  • 1987年、アップルはコンピューターの未来を予測したコンセプトビデオを公開した。
  • ビデオは、将来実現するであろう数多くの技術革新について触れていた。いくつか例をあげると、音声認識、タブレット、ビデオカンファレンスなどだ。
  • しかし、世の中には受け入れられなかった。「人々は『こんなものは馬鹿げている』と言った」と当時アップルのCEOだったジョン・スカリー(John Sculley)氏はBusiness Insiderに語った。

ビデオは未来を垣間見せたが、早すぎた。

元アップルCEOジョン・スカリー氏は1987年、自伝『Odyssey(邦題:スカリー―世界を動かす経営哲学)』の中で初めて、未来のコンピューターの使い方に触れた。そして同じ年、アップルは「ナレッジナビゲーター(Knowledge Navigator)」というアイデアについてのコンセプトビデオを発表した。ナレッジナビゲーターは、人々が広大なハイパーテキストネットワークを検索することをサポートしてくれるソフトウエア・エージェントだ。

ナレッジナビゲーターは1985年、故スティーブ・ジョブズ氏が自身が創業したアップルから追われたことを受けて発表された。ジョブズ氏の後、CEOとなったスカリー氏は、アップルはコンピューターの未来を示し続ける必要があることを認識していた。

スカリー氏がBusiness Insiderに語ったところによると、当時、アップルのフェローだったアラン・ケイ氏がスカリー氏に、MITメディア・ラボの見学を勧めた。

スカリー氏はこのアドバイスに従った。そして、MITとのコラボレーションからパーソナルコンピューターが数十年後にはどのような姿になるのかを表現したビデオが生まれた。

ナレッジナビゲーターの画面

ビデオはAppleの将来のAIアシスタント「Siri」を予測していた。

Mac History/Youtube

1987年に作られたビデオの舞台は2007年、カリフォルニア大学バークレー校の環境科学の教授が、授業の準備から父親のバースデーケーキを買うまでの様子が描かれている。

すべての作業について、教授は蝶ネクタイをつけた“デジタルパーソナル執事”に頼っていた。アップルのSiri、マイクロソフトのCortana、アマゾンのAlexa、サムスンのBixby、グーグルのGoogle Assistantといった現代のAIアシスタントの先祖にあたるような存在だ。

約6分間のビデオでは、教授はタッチスクリーンを搭載したタブレット端末で同僚とビデオカンファレンスを行い、アマゾンの森林減少に関する論文を検索し、忙しいスケジュールを調整した。

「当時、我々がこうしたアイデアを提示すると、大きな議論を巻き起こした」とスカリー氏は語った。

「人々は『こんなものは、馬鹿げている』と言った」

スカリー氏は現在、ヘルスケア分野の革新を目指してスタートアップRxAdvanceの会長を務めている。同氏は当時を振り返り、自分がエンジニアリングの学位を持っていないことは関係なかったと語った。

「エンジニアでない人間が、テクノロジーが数年後にどう変化するかについて、どうやって語るというのか?」とスカリー氏。

「しかし、それは私の仕事ではない。アラン・ケイ氏とMITの才能豊かな人たちの仕事だ」

スカリー氏は、ビデオで取り上げた多くの要素が現実になったという事実は、テック業界が経験した「指数関数的な変化」の影響だと語った。

さらに、今、皆が当たり前だと思っているものは全て、我々が“これが未来の姿だ”と提示して批判されたものだと述べた。

ナレッジナビゲーターのビデオは以下

[原文:In 1987, former Apple CEO John Sculley launched a video depicting the computer of the future — and people were furious

(翻訳:塚本直樹/編集:増田隆幸)

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