Cabin
いつか、ロサンゼルスとサンフランシスコ間の約600キロの移動に、ウーバーの空飛ぶタクシーを拾ったり、超高速輸送システム「ハイパーループ」に乗る日がくるかもしれない。だが今は、夜行バスが便利だ。
2016年に創業したキャビン(Cabin、旧スリープバス)はロサンゼルスとサンフランシスコを結ぶ夜行バスの運行を開始した。料金は片道約100ドル(約1万1000円)。利用方法は非常に簡単、乗車してベッドを確保し、眠るだけ。目が覚めたら、目的地に到着している。
料金は飛行機よりも安く、車を運転するよりも便利。だがスペースが狭いことと、23人が乗っていることは我慢しなければならない。
ロサンゼルスからサンフランシスコに戻る際、キャビンを利用した。その時の様子を紹介しよう。
ロサンゼルスは私にとって、ドライブゲーム「カーマゲドン」のような場所。ストレスがたまるので、ここではなるべく運転しないようにしている。それに車だとサンフランシスコから6時間もかかる。
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もちろん飛行機でも行ける。だが、安くないうえ、手続きなどで時間がかかることも多い。往復チケットを1カ月前に予約すれば、100ドルくらいは安くなるが。
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キャビンは起業家トム・カリアー(Tom Currier)氏とガエターノ・クルーピ(Gaetano Crupi)氏が2016年に創業。両都市間の低価格な移動手段への需要を狙った。
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キャビンのバスは、ロサンゼルスのダウンタウンの西側に位置する海辺の都市サンタモニカから毎日午後11時に出発する。夜遅くに出発するので、街で1日中、過ごすことができる。
キャビンの共同創業者、トム・カリアー氏とガエターノ・クルーピ氏。
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ロサンゼルスからの帰りに予約したときは、出発まで1週間を切っていた。
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手続きを進めて、予約を完了するまで10分くらい。料金は115ドル(約1万3000円)、ロサンゼルスに来た時の航空チケット代の150ドル(約1万7000円)よりも安かった。
キャビンの運賃は出発日によって変わる。平日の夜は片道わずか85ドル(約9500円)。飛行機とは異なり、「スリープポッド」と呼ばれるベッドの指定はできない。
出発の数日前に、詳細な乗車場所と降車場所、そして持ち物リストがメールで送られてきた。快適なパジャマは必要、食べ物とアルコールの持ち込みはNG。
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乗客は出発の20~30分前には出発場所に集合するように言われる。私は一番良いベッドを確保して美容のために早く眠れるよう、1時間前に向かった。
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私の願いは打ち砕かれた。集合場所のパラセイズ公園に行くと、数人が待っていたがバスはまだ来ていなかった。バスは出発のほぼ30分前に到着した。
キャビンのロゴが付いたアスレジャースタイルの陽気な乗務員がチェックイン手続きを行った。そして、出発!
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1階のラウンジは、木目調の床にキャラメル色の革張りのベンチ。遅くまで起きている乗客の社交場や仕事場になっている。私は2階に上がった。
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バスの前方、階段から離れた場所にある、上段の「スリープポッド」を確保した。
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スリープポッドは、私がこれまでに泊まったホテルよりも清潔そうだった。きちんとアイロン掛けされたシーツがマットレスにかけられていた。枕が端に置かれ、反対側には掛布団があった。
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スリープポッドにはアメニティが用意されていた。アイマスク、顔拭きシート、耳栓、メラトニン配合の睡眠サプリ「ドリームウォーター」のミニボトルなど。
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すぐにドリームウォーターを飲み干した。出発直後に効果が出るはずだ。
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スリープポッドを汚さないよう、備え付けの布製の袋に靴を入れた。
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スリープポッドに入るのは難しい。足を横から持ち上げ、ジャズダンスのように肩を揺らしながら入り込む。体幹が強くないと大変。
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スリープポッドは平均的なバスの座席よりも豪華だろう。だが、大きくはない。私の身長は163センチだが、座る姿勢は取れなかった。頭が天井にぶつかる。
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だが横になると、驚くほど快適。足を伸ばしても壁につかなかった。 天井までは十分な高さがあり、狭苦しくはなかった。
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カーテンを閉めたところ。
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通気口も閉めた。バスの中は少し肌寒かった。
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内装が少し壊れていた。サービス開始からまだ2、3カ月なのだが。眠るだけなので、それほど気にならなかった。
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バスが出発して2、3分後に灯りが消え、私は眠りに落ちた。他の乗客は静かだった。ラッキーだった。
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突然、「お客様、お客様」という声で目が覚めた。私はサンフランシスコに着いた時もぐっすり眠っていたようだ。結局、乗務員が7時に私を起こした。バスにはもう誰もいなかった。
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サンフランシスコに何時に着いたのかは分からないが、7時までは車内にいられる。
熟睡した証拠。落ちかけた化粧、ぼさぼさの髪、ぱっちりした目。
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コーヒーを断って、ベイブリッジを眺めるためにバスを降りた。
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キャビンはほぼすべての面で、期待を上回った。
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バスは時間通りだった。内部は清潔で快適。一番良かったのは、一晩中眠れたこと。これは、今まで使ってきた飛行機の夜行便をしのぐ経験だ。
路線を拡大し、価格が下がることを期待している。なぜなら、絶対にまたキャビンに乗るから。
(翻訳:仲田文子/編集:山口玲子)