Slackが日本法人を設立、カルCTO「メールはゴキブリのようなもの」

ビジネス向けのチャットサービスとしてIT企業を中心に根強い人気を持つ「Slack(スラック)」がいよいよ日本市場に本格展開を始める。

同社が日本法人を設立したのは2017年9月。現在は少人数の規模で、2018年の早い段階で正式にオフィスをオープンし、経営の体制を整える。

Slackのカル・ヘンダーソンCTOはBusiness Insider Japanの取材に対し、「Slackの日本国内でのユーザーは週に約45万人。17日から日本語版のサービスも始まった。日本は、(アメリカとイギリスに続き)世界第3位の市場規模があり、日本のユーザーからの収益は過去1年間で2倍のペースで成長している」と日本におけるビジネスが、英語版の段階から順調なことをアピールする。

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Slackのカル・ヘンダーソンCTO兼共同創立者。Slackは、日本進出を本格化させる。

Slackがサービスを公開したのは2014年2月。そこから3年9カ月の間に、世界の1日のアクティブユーザーは600万人以上、Slackの従業員は当初の8人から現在は900人強まで増えた。現在はサンフランシスコ市内に本社を構え、世界7カ所にオフィスを持つ。これまでに8億4100万ドル(約951億円)を調達し、評価額は51億ドル(5800億円)とされる。国内では、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが9月に投資を決定したことでも話題になった。

11月17日に始まった日本向けサービスは、製品の日本語対応のほか、日本語によるカスタマーサポートとマニュアルも用意する。有料版では、日本円建てでの請求書も発行できるようになる。

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日本語版への切り替え方は、Slackのヘルプセンターから見られる。

カル・ヘンダーソンCTO兼共同創立者は11月17日、都内で「Tech Crunch Tokyo 2017」に登壇し、「1年以上かけて、日本語へのローカリゼーションを用意していた。日本で使われるメッセージングアプリを研究し、日本にあった使い方にした。日本は、英語圏ではない(地域では)もっとも大きな市場。(我々は)仕事の仕方そのものを変えるツールを開発した」と話した。

「SlackがEメールを潰すか」と司会者から問われると、カルCTOは、「Eメールはインターネットのゴキブリのようなもの。みんな嫌いだが消えるものではない」と語る一方、「コミュニケーションの媒体としては、チャットツールが主要なツールになると思う」と持論を展開した。

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「Eメールはゴキブリのようなもの」と話すカルCTO(右)。ゲームが好きで、特に任天堂の「どうぶつの森」が好きだそう。英語対応の前の日本語バージョンのときから愛用していた。

Slackの強みを「メールと同じことも得られるが、それ以上に透明性が確保されている。。一番最初に読むべきメッセージも抽出して読むことができる」と説明した。

日本ではスタンプが非常に人気」と話し、Eメールに比べて、簡単に意思表示ができる利点を紹介した。自身の好きなスタンプは、「泣き笑いの顔」だと言う。

働き方改革と連動、営業部隊も用意

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Slackの日本国内の市場規模は、世界の中で3番目に位置する。スタンプが大人気という。日本国内で1週間に使う人は44万6000人。

カルCTOはBusiness Insider Japanのインタビューに対し、日本進出の背景には、「メッセージングアプリがコンシューマー分野で台頭している。LINEが優勢だが、職場には普及していない。日本では働き方改革があり、成功する道筋をつくってくれた」と話した。

日本展開にあたっては、「大企業に採用されるのが一番(売上高への)インパクトが高い」(カルCTO)ととらえ、営業部隊を強化する方針という。

具体的には日本法人の営業体制として、「日本を拠点に独自のもの(営業チーム)を持つ」。さらに、営業部門には、日本オラクル出身の熊谷喜直氏をシニアアカウントエグゼクティブとして迎えた。熊谷氏は取材に対し、「(今後)営業は(外部の力も借りた)パートナービジネスを展開する必要があると思っている」と話した。

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Slackは1000を超えるアプリをSlackのプラットフォーム上で利用できる。

Slackによると、日本国内では、ディー・エヌ・エー、日経新聞、名刺管理サービスの「Sansan」、クックパッドなどが企業もしくは企業の一部でSlackを導入している。

Slackは、ビジネスシーンで利用するツールを提供する各社と提携し、Slackのプラットフォームでアプリを使うことができる。使えるアプリの数は1000以上あり、日本国内でも経費精算の「freee」や「RECEPTIONIST」「NIKKEI」などがパートナーになっている。

日本の市場では、このような強みやサービス開始から約4年間で培ったノウハウを生かし、LINE WORKSやChatWorkなどの競合他社と差別化する。

「ソフトバンクとの協業体制をとりたい」

ビジョンファンドを通して投資を受けるソフトバンクとの関係については、「 ソフトバンクは、とてもすばらしいパートナー。日本の市場にどう参入するか、ソフトウエアとしてどう成功するか、大変多くのことを学んでいる」(カルCTO)と話した。

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ソフトバンクとの協業に期待をするカルCTO。

ソフトバンクからの投資と日本進出の関係は、「偶然と言えば偶然。ただ、日本で大きく成長するためには、ソフトバンクからの出資は大きく助けてもらえるもの」と話した。

ソフトバンクなどから出資を受ける前に、すでに600億円を調達しており、「大事なのは、協業体制をとるということ」と話したが、その内容については「具体的な協業の方法は検討する」と表現するにとどめた。

(文、撮影:木許はるみ)

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