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- ウォルマートの株価は11月16日(現地時間)、好決算を受けて急伸、最高値を記録した。
- これは、ハイエンドとローエンドの顧客に注力するという同社の戦略が、投資家からの信頼を獲得しつつあることの現れだ。
AP
ウォルマートの株価は16日、好決算を受けて10%以上上昇した。最大の稼ぎ時であるホリデーシーズンを前に、アメリカ国内店舗の売り上げは2.7%上昇した。アナリストは同社の好調ぶりを讃え、Gordon Haskettのアナリスト、チャック・グロム(Chuck Grom)氏は「素晴らしい四半期」にウォルマートは「勢いを取り戻した」と述べた。
株価上昇は好調な売り上げと利益の伸び、それ以上のものを反映しているように見える。
だが、これは顧客を収入面で捉えた時に、ハイエンドとローエンドに注力するという同社の戦略が、投資家からの信頼を獲得しつつあることの現れだ。小売コンサルタントのダグ・ステファンズ(Doug Stephens)氏は、そう考えている。
「ウォルマートが取り得る戦略は2つある。今のまま拡大を続けるか、ハイエンドマーケットにシフトするか。前者は不確実で、上手く行ったとしても利益率が低い。後者はうまく行けば、より良い選択だ」
投資家は、ウォルマートは上手くやることができると考えているようだ。
ウォルマートは、ボノボス(Bonobos)、モドクロス(Modcloth)、シューバイ(Shoebuy)といったブランドを買収し、高所得者層に狙いを定めている。最近では、Walmart.com.にロード&テイラー(Lord & Taylor)が加わると発表した。
ウォルマートUS eコマースのファッション責任者、デニス・インカンデラ(Denise Incandela)氏によると、ウォルマートはウェブサイトを「プレミアムファッション」にシフトさせる計画だ。
同時にウォルマートは、ローエンドの顧客のロイヤルティを維持し続けているようだ。低価格を維持し、新しくライバル、特にアマゾンを打ち負かすために店内ディスカウントコーナーを設けた。
「ウォルマートは堅調なアメリカの消費者環境の中で、シェア獲得のための攻撃的な施策と、品揃えと価格設定による防衛的な施策を組み合わせて、良い成果をあげ続けている」とCowen&Coのアナリスト、オリバー・チェン(Oliver Chen)氏はクライアント向けノートに記した。
ミドルクラスを捨てたウォルマートの戦略
冒頭のステファン氏によると、ウォルマートの戦略は、かつて同社が重要ターゲットとしていた層をもはや重視していない。そう、ミドルクラスだ。
「1960年代、当時の小売業者たちはミドルクラスの成長に追随できなかった」と同氏。
「給料が上がり、家族が成長し、人々は郊外へと移り住んだ。その動きに、ウォルマートの戦略は当たった」
今やミドルクラスは縮小している。そしてかつてミドルクラスに支持されていた大規模な小売業者やデパートは戦略の変更を強いられているか、あるいは倒産している。
「より多くの人がミドルクラスから転落し、より低所得なクラスとなっている。1ドルストアの成長がそれを物語っている」とステファン氏は述べた。
「ウォルマートが成功を続けたいなら、高所得者層を引き付ける必要がある」
[原文:Walmart is betting against the middle class — and it's a brilliant strategy]
(翻訳/編集:増田隆幸)