「俺離れ」男子の心は?「僕」は謙虚「自分」は中立?一人称に迷う若者

ある男友達(30)は親しくなって食事に行っても、一人称は「僕」のまま。男性と仲良くなって、職場で聞く「僕」から「俺」になる瞬間に、いつも嬉しさを感じていたのに。「なぜ俺って言わないの?」と尋ねると、「今『俺』て言う奴いるの?」と。

もしかして、若者は「俺離れ」が進んでいる?

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「俺」の存在意義は、これからどこに行くのか。「俺」「僕」「自分」、皆さんは何派ですか。

Business Insider Japanが「あなたがプライベートで使う頻度が高い一人称は?」とネット上でアンケートをした結果、10〜60代の約500人から回答が集まった。

10〜30代はいずれも「俺」が最多。勝手に仮説を立てた「俺離れ神話」は、早速崩れたか?

落胆し、データを眺めていると、「俺」以外の「僕」「自分」「私」「その他」の回答を合わせると、10〜30代のいずれの世代も「俺」の回答を上回っていた。ちなみに、40〜60代は「私」が多く、「その他」の最多は「わし」。

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知らないところで「なし」が怖い

PR会社勤務の男性(27)は、中学、高校は「俺」だったが、大学の途中から「僕」「自分」に変わった。

「『俺』というと、自己主張が強いとがった感じ。『僕』は万人受けする」と思っている。Facebookの友達が増え、自分の知らないところで、「『なし』にされるのが怖くて」と自己分析する。

自身より上の世代は、「Men's egg」や「MEN'S KNUCKLE」といったギャル系、お兄系の雑誌がはやり、「『俺』世代が多いのでは」とみている。しかし、自身は「POPEYE」や「MEN'S NON-NO」というマイルドなイメージの雑誌で育ってきた。

男性と同じ会社に勤務する女性も、「28歳の弟も、『僕』と言っている気がする」と共感する。

「I」は「楽でいいな」

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「俺」「僕」「私」「自分」。男性たちはシーンによって使い分ける器用な生き物?

マスコミに勤務する男性(31)も、“脱オレ組”。小学生くらいのころ、「周りが俺になってて、かっこいいかな」と一旦は「俺」と名乗ったものの、「偉そう」「自分を主張する感じ」が気になり、「僕」に戻った。

英語の授業で「I(アイ)」を知ったとき、一人称に惑わされず、「楽でいいな」と思った記憶があるという。

実は男性の方が、呼び名にアイデンティティーを投影させ、迷っているのだろうか。

「みんな一度は『俺』になっていると思う

でも今この男性が周りを見渡すと、「俺」派もいれば、「私」派もいた。周囲には先輩の前では「私」、友人には「俺」、家族には「僕」と使い分ける強者もいる。ある知人に「私」と言われたことで、「僕は先輩扱なんだ」と受け止めた。

この男性の知人には、「『俺』は、思春期に使う人が多かったけど、周りに合わせるのがいやで使っていなかった」という人も。彼は「一人称はあまり使わない。使わざるを得ないときは、僕(イントネーションは『く』)」という謎のこだわりも持っている。

ようやく「僕」に時代が追いついた

俺の文字

「俺のイタリアン」などを展開する「俺の株式会社」。俺離れが続くと、ちょっと高級な「僕シリーズ」を展開する?

そんな中、根っからの「僕」派もいる。塾業界で働く男性(33)は、「俺とは言いません」ときっぱり。俺と名乗った経験もなく、「ようやく僕に時代が追いついた」と冗談交じりに歓迎する。

「(俺は)なんかカッコつけてる感じがいやで。人と一緒というのもいやだった」と明確に「僕」を意識する。周囲から「なんで僕なの?」と聞かれたこともある。

「俺」「僕」に続き、若者世代に大きな勢力の「自分」派は、どう思っているのか。

メディア会社勤務の男性(28)は、学生時代は「俺」、社会人になってから「自分」に変化した。「周りには『僕』という人も結構いるが、謙虚アピールがちょっと強いかな。気を遣って『僕』と言っている気がして」と苦笑い。

対して、「『俺』はちょっと自己アピールが入っているんじゃないですか。『自分』は、中立的に自分を言っている、感情が入っていない気がしています」とみている。仕事、プライベートともに「自分」だが、家族の前では「俺」かもしれないという。

男女の関係でのこだわりは?

若者

取材していると、会社や社会の中での自分の立ち位置と一人称が深く関わっていることがわかる。となると、冒頭で告白した、私が親しくなると「俺」への改称を期待している潜在欲求として、男性には「俺」的=ちょっと自分よりも偉そうでいてほしい、と思っているということ?

実際、「『僕』と言っていると、彼女から『リードしてほしい』と『俺』への改称を求められた」という男性もいた。

俺離れはもしかしたら、男性側の社会や会社の中でより目立たず、男女関係でもフラットでいたいという潜在意識の反映かもしれない。

(文:木許はるみ、撮影:今村拓馬)

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