ゲストに登壇した後藤真希さんは「スマートホームは子育て世代に便利そう」と興味津々だった。
11月21日、KDDIは東京都内で発表会を開催。同社が提供しているホームIoTサービス「au HOME」の内容拡充を発表した。auひかりユーザー意外にも、対象ユーザーを全てのau契約ユーザーに広げる。
au HOMEは、誰でも手軽に始められるホームIoTとして2017年7月31日にスタート。ネットワークカメラやドアの開閉などを検知する「au HOME デバイス」をIoTゲートウェイとなる無線通信アダプタを経由して、スマートフォンの「au HOME アプリ」からコントロールできる。さらにセコムと提携して、au HOMEアプリで異常を検知し、セコムの隊員が自宅へ駆けつけるサービスも先行して展開していた。
「静かにスタート」していたau HOME
発表会に登壇したKDDIの執行役員、商品・CS統括本部長の山本泰英氏は、au HOMEはサービスインから3カ月が経ってはいるものの、auひかりユーザー専用ということもあり、あまり浸透していない点を「静かにスタートした」と自虐的に反省。auひかりユーザー以外の回線契約者にも対象者を拡大すると発表した。サービスの利用にはau IDが必要なため、auの契約回線は必須なものの、自宅にインターネット接続が可能なWi-Fi環境があれば、誰でも利用できる。
発表会に登壇したKDDIの執行役員 商品・CS統括本部長 山本泰英氏。
あわせて新たに「赤外線リモコン」と「スマートプラグ」、2つの「au HOME デバイス」をラインアップに追加。「赤外線リモコン」は手のひらサイズの四角い本体で、スペック上は水平方向180度、垂直方向120度に向けて赤外線信号を送信できるアイテム。赤外線リモコンはWi-Fiで無線通信アダプタと連携しており、au HOME アプリからエアコン、テレビ、照明の3種類の対応家電をコントロールできるようになる。
新発売となるスマートプラグ。価格は5500円。
「スマートプラグ」はコンセントとプラグの間に挟むことで、電気の使用量がau HOME アプリからわかるアイテム。電力使用量を把握することで、電気の使いすぎが分かるだけでなく、家電の使用状況をチェックして家族の動向を把握するといった使い方もできる。
各種家電をコントロールする赤外線リモコン。価格は7800円。
無線通信アダプタ(A)を自宅のWi-Fiに接続することで、各種機器と連携する。
山本氏は、通信事業者であるKDDIがIoT事業を進める背景として、「これまでスマートフォンでは人と人をつないだコミュニケーションを提供してきたが、au HOMEで人と家とのコミュニケーションを提供したい」と説明。スマートフォンから一方向で家庭内の各機器をコントロールするのではなく、各種センサーからの信号で、人と家との双方向のコミュニケーションを実現を目指している。
例えば、スマートフォンで目覚ましをセットすると、その時間に合わせた自動でカーテンの開け閉めや、ステレオの再生も設定したり、センサーで子どもが帰ってきたことをスマートフォンで通知して、鍵の開閉などをチェックするといった具合だ。こういった使い方を山本氏は「IoTで、“ちょっと心地いい”暮らしへ」というキャッチコピーで表現してる。
注目の「OK, グーグル」対応は2018年初頭まで持ち越し
発表会場に展示されていたau HOME デバイスの一覧。
一方でau HOMEのウリの1つであるスマートスピーカーのGoogle Homeとの連携機能は、2018年初頭から提供予定であることが判明。残念ながら「OK, Google」と声をかけるのは来年に持ち越しになった。
Google Home連携を使った赤外線リモコンの動作イメージ。
Google Home連携については、auブランドで提供している音楽配信サービスの「うたパス」や動画配信サービスの「ビデオパス」がGoogle Homeから再生できるほか、「赤外線リモコン」もGoogle Homeと連携できる。Google Homeに対応していないエアコンやテレビ、照明も「赤外線リモコン」を経由して、Google Homeから音声コントロールで操作できるようになるという。
発表会後のタッチ・アンド・トライコーナーでは、実際に今回発表された「赤外線リモコン」や「スマートプラグ」を使ったデモが披露された。キッチンを模したブースでは、親子が料理をする際に、Google Homeからうたパスに登録した曲を再生したり、離れた場所にある扇風機を音声コントロールでオンにするといったデモを行なった。
キッチンで料理をしているシナリオでGoogle Homeを使い、タイマーや曲をセットしたり、遠くの家電をコントロールしていた。
またひとり暮らしの部屋を模したブースでは、外出先から自宅のペットの様子をチェック。室内の温度を確認して遠隔操作でエアコンのスイッチを入れたり、自動えさやり機をオンにしたりといった具合だ。さらに自宅に戻ると、自動でライトが点灯し、カーテンが閉まるといった「ちょっと心地良い」デモが行なわれた。
もういっぽうのデモでは、ひとり暮らしの部屋をイメージ。音声コントロールだけで、視聴中のビデオの続きを再生したりしていた。
こういったデモからもわかるように、IoTやホーム家電は「ちょっと心地いい」が、現状では限界とも言える。この環境を実現するために、現状では「かなりめんどう」な設定や手間がまだ必要だ。またたとえば、カーテンの自動開閉などは、設置すると逆に手動では開閉できなくなったりするなど、発展途上な一面も見える。
鍵はユーザーに月額490円の「価値」を感じさせられるか?
発表会の中で記者陣から飛んだ質問の中には、基本的には音声で家電をコントロールするのはGoogle Homeでも対応機器を使えば可能なため差別化がわかりにくい、au HOMEにかかる月額490円というサービス料は何のために必要なのかという質問もあがっていた。
これに対して山本氏は「ホーム家電やIoT機器を導入したり設定するのはわかりにくく手間がかかる。そういったサポートをしっかりと提供したい。さらに家電の説明書が閲覧できたり、電球などの消耗品の購入といったサービスも専用アプリからまとめて管理できる」とau HOMEの利点をあげている。
KDDIとしては、今回のGoogle Home対応を皮切りに、Amazon Echoなど、そのほかのスマートスピーカープラットフォームへの対応も今後計画しているという。
au HOMEのキャッチコピーとして「IoTで“ちょっと心地いい”暮らしへ」を提案。
auひかりユーザー以外にも対象を拡大するとともに、対応デバイスも新たに追加。
スマートプラグから接続している電気製品の電力使用量を専用アプリでチェック。
使用している説明書や消耗品も公式アプリからアクセスできる。
with HOMEとしてサードパーティ企業も参加し、対応サービスや機器の拡充を目指す。
(文、写真・中山智)