砂のプールや紙の懐中電灯、今年も“変な才能”が集結した異能vationプログラム

総務省が独創的な人材の発掘を狙いとする支援プログラム「異能vationプログラム」の授賞式と展示会が22日、都内で開催。奇想天外なアイデアが集結した。

空気を含んで砂が流体になる「砂のプール」や、合成紙が光る「折りたたみ式懐中電灯」、野球球団ファン向けのウェアラブル端末などが並んだ。

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この砂場が、あることをすると、プクプクと泡を立てて、プールみたいになります。

最も注目を集めたのは、的場やすしさん(54)が出展した「粉流体を液状化する『流動床』現象を用いたインターフェース」。約300〜400キロの砂を入れた容器に、送風機で下から空気を投入すると、砂が流体のようなプールになる。

まずは砂を触ってみる。普通の砂場のように表面は硬い。的場さんが送風機のスイッチを入れると、途端にボコボコと泡を立てて、水が沸騰しているみたいな見た目になった。手触りもさらさらと滑らかそうだ。

見た目の変化と同時に、砂場に乗っていた的場さんの足場が崩れ、沈んでいく。そして、砂場の中からは人型の置物が中から現われる。周囲の人たちからは「ファンタスティック」「異次元」などと驚く声が挙がっていた。

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「的場ラボ」(個人事業主)の的場やすしさん。Youtubeでは、砂のプールの動画は190万回の再生されたという。

実は、このプール、的場さんが8月にゲーム開発者向けの催しで紹介したところ、来場者がYouTubeに動画をアップ。海外などから注目を集め、190万回再生を記録したという

的場さんは、大学で生物学を専攻、ホンダに入社し、その後、グループホームに10年以上勤務した。ものつくり大学の大学院に入った後、電気通信大学大学院の博士課程に入学し、現在休学中。

インターフェースの研究をし、お風呂の湯面をディスプレイにしたり、ディスプレイの表面が爆発したりするようなシステムのデモを試作した。デモの様子は、YouTubeのチャンネル「Mato Mato-」で配信し、人気を集めている。

爆発するディスプレイ。

霧で浮かび上がるディスプレイ。

今回の砂のプールに用いた“流体化”の技術は、焼却炉などですでに使われており、的場さんはYouTubeでその技術を見て、「これは絶対面白い」と応用した。

的場さんは「東京五輪でロボットが砂から出てきたり、鳥取砂丘と連携したりしたい」と実用化に期待している様子。砂のプールの表面はスクリーンにもなるため、「水中ウォーキングで行うリハビリを、流動床で行えば、動画を見たり、テレビ電話をしながら、リハビリができる」と話していた。

このほか、プログラムの展示会場には、情報通信や農業などの製品が登場した。

(文、撮影・木許はるみ)

ターゲットがとってもコアな「野球ライフが楽しめるウェアラブル端末『funband』」。価格は1万円〜1万2500円。球団の地元の家電量販店やネットで買うことができる。

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SHARPの研究所が開発した。 なぜ、あえてプロ野球に特化したのか?担当者は、「研究所が広島にあり、社員が(カープの)赤い色に染まった。(端末の開発のきっかけに)バイアスがかかっていることは認める」とのこと。

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広島カープに続き、福岡ソフトバンクホークス、横浜DeNAベイスターズのモデルを発売。専用のスマホアプリと連動し、好きな球団の試合やキャンプ、ドラフト会議の情報などがリアルタイムで届く。

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端末は腕につけて、ガッツポーズやメガホンなどで腕を振ることで、応援している選手にポイントが溜まる。何ともアナログだ。

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野球球団に特化した端末から一転。こちらは屋内で野菜を育てるスマート菜園「foop」。アドトロンテクノロジーが販売している。LEDのライトで野菜を照らし、6つのセンサーにより、温度や水分量などを計測。

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計測したデータはアプリから見られる。15種類の野菜の育て方がクラウド上に集約され、アドバイスを受けられる。葉物の野菜なら1カ月で収穫できる。2016年4月に販売、価格は4万8500円。

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紙の商社の「TAKEO」と東大ベンチャーなどが共同で作った紙の懐中電灯「PAPER TORCH」。合成紙に電子回路を印刷し、LEDと電池をつけた。紙を巻くことで電池と回路が接触し、灯がつく。

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巻いていない状態の懐中電灯。3月に50個を限定販売した。価格は約8000円。水や汗に弱いなどの課題があり、量産化は検討中。紙に電子回路を印刷する事例は珍しいという。

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