ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を展開するスタートトゥデイが子会社化を視野に入れるストレッチ・センス(StretchSense Ltd.)が、自社のホームページやFacebookで、「ZOZOSUIT」やスタートトゥデイとの協業、センサーの技術で衣類を変える構想についての考えを明らかにした。
動画には、最高経営責任者(CEO)のベン・オブライエン(Ben O’Brien)氏(左)と最高技術責任者(CTO)のトッド・ギスビー(Todd Gisby)氏(右)が登場した。
ZOZOSUITは、スマートフォンとBluetooth通信を接続することで、瞬時に寸法を計測できるボディスーツ。オブライエン氏は、「ZOZOSUITは次世代のウェアラブルツール。 フィットする服を見つけるために人の身体を測る。とてもシンプルなプロダクトだけど、とても美しいセンサーの使い方」と話した。スタートトゥデイとの契約については、「自分たちが成功するために描いてきたプランに近づいている」と喜びをあらわにした。
ギスビー氏は「日常生活の道具にテクノロジーが組み込まれるように、ウェアラブル・テクノロジーが快適に人の身体全体にわたるのは、未来の生活のあり方だ」と胸を膨らませた。
自社のホームページでは、ZOZOSUITには、150種類以上のストレッチセンサーが内蔵され、着用者の身体の形状とサイズの正確なデータを収集できる。ZOZOSUITの目標は、このようなシステムを使って、オンラインで衣類を買う顧客に寸法を確実に合わせ、「顧客満足度を大幅に向上させ、小売業者が処理する返品数を減らすこと」と明記した。
自社の使命は「ウェアラブルなものを超え、『消えるもの(DISAPPEARABLE)』に向かうこと」と位置付けた。マーケティング・ディレクターであるシン・ジョン・パーク(Shin Jeong Park)氏は、「サイズを測定する機能は、アプリケーションの1つに過ぎない。ストレッチセンサーは、人々が世界でどのように動くかについての情報を収集するための素晴らしいツール。その情報から、動き、姿勢、健康に関する結論を導くことができる」とコメントしている。
StrethSenseとスタートトゥデイの新しい挑戦は、衣類だけでなく、人の動き、暮らしも変えるかもしれない。
出典:StretchSenseのホームページ
ストレッチ・センスは、ニュージランドのオークランド大学・Biomimetrics Labから生まれたスタートアップで、28カ国のテック企業に対して、静電容量を利用した伸縮型ソフトセンサーの開発及び製造を受託している。成長率の高いテック企業のランキング「2017 Deloitte Fast 50」で、ニュージーランド国内の企業の中で、7位にランクインした。収益成長率は554%。130人以上の従業員を抱え、ニュージーランドに2カ所の拠点を持つ。
スタートトゥデイは2016年にストレッチ・センスに出資し、2017年11月22日から無料配布している「ZOZOSUIT」を共同開発した。 またスタートトゥデイは同日、ストレッチ・センスの100%子会社化を視野に、コールオプション契約を締結することも発表している。子会社化が実現すれば、追加出資金額は約7200万ドル(約80億円)となる見込み。 スタートトゥデイがプライベートブランド「ZOZO」を展開する上で、ZOZOSUITを起爆剤にしようとしている。
「僕たちがニュージーランドでここまでやってこられたことを誇りに思う。大学やコミュニティなど、僕たちを取り巻くエコシステムからの支援を受けてここまで成長することができた。ニュージーランドでもグローバルに挑戦することができることを証明できたのではないだろうか」とギズビー氏は語った。
(文:木許はるみ、佐藤茂)