マシンラーニングって何? —— 今さら聞けない「機械学習」クイックガイド

ロボットをいじる男性

Sergei Karpukhin/Reuters

あなたが日頃からテック関連のニュースに触れているなら、ありとあらゆる場所で「マシンラーニング(機械学習)」という言葉を目にしているはずだ。それにはもちろん理由がある。マシンラーニングは、今や、コンピューターが情報を処理するうえで欠かせない要素だからだ。

マシンラーニングは私たちの周りの至るところに存在し、私たちの日常生活を形づくっている。グーグルマップで道を調べることから、メールの受信ボックスを確認することまで。

だが、マシンラーニングとは一体何なのだろう? そして、いつからこれほど重要なものになったのだろう?

マシンラーニングとは何か? クイックガイドをお届けしよう。

マシンラーニングの歴史を語るうえで欠かせない重要なことが2つある。1つ目は、AI(人工知能)のパイオニアであるアーサー・サミュエル氏が1959年に「マシンラーニング」という言葉を生み出したこと。

アーサー・サミュエル(Arthur Samuel)氏

自身が開発したチェッカーマシンの前に座るアーサー・サミュエル氏。

IBM

1959年、MIT出身のエンジニア、アーサー・サミュエル(Arthur Samuel)氏は、マシンラーニングを「明示的にプログラムしなくても学習できる能力をコンピューターに与える研究分野」と定義した。同氏はチェッカー(西洋碁)というボードゲームをプレイするコンピューターの開発に取り組み、いつの日か世界チャンピオンを打ち負かすことを思い描いていた。

もう1つは、インターネット。

ニューロンモデル

Wikimedia Commons

インターネットの出現は、蓄積されたデータの宝庫が生まれたことを意味した。大量の情報に簡単にアクセスできるようになった状況で、やるべきことは明確だった。それは、膨大な情報を意味のある形に整理すること。マシンラーニングに強く求められている役割だ。

ビッグデータはマシンラーニングの基礎。

コンピュータールーム

Thomson Reuters

ビッグデータは、まさにその名の通り、膨大なデータ。ソーシャルメディア、検索エンジン、そしてマイクやカメラなど、常時情報を収集しているものによって集められたあらゆる情報を指す。

アルゴリズムが膨大なデータを整理し、人々の次の行動を予測する。

画面に映るコード

ShutterStock / spaxiax

膨大なデータがマシンラーニングのアルゴリズムに送られ、未来を予測する手法を身につけていく。これらのアルゴリズムを利用することで、未来の行動や次に起こりうる問題を予測することが可能になる。

最も身近な例は、アマゾンが提示するおすすめ商品だ。あなたの好みや他のユーザーの購買習慣を読み取り、あなたが興味を持ちそうな商品をおすすめしてくれる。

膨大な情報を整理することで、これまでのパターンを認識し、新たなパターンを予測する。マシンラーニングとは、まさにこれだ。

指揮者ロボット

REUTERS/Remo Casilli

マシンラーニングと人間の学習の違いは、機械は人間が伝えたことしか認知しないということ。コンピューターは、好奇心を持つことや察することはできない。

例えば、あなたがネットフリックスでSF映画をたくさん観ているなら、SFドラマの『ストレンジャー・シングス』がおすすめ欄に表示されるだろう。だがそれはネットフリックスのデータだけに基づいた、単なる計算の結果に過ぎない。

あなたがドキュメンタリーも好きだということをネットフリックスに伝えていなければ、もしくはドキュメンタリー作品を高評価したことがなければ、ネットフリックスがドキュメンタリー作品をあなたにおすすめすることはない。

マシンラーニングは私たちの周りにあふれ、日常を形づくっている。

画面を見つめる女性

Francois Mori/AP

マシンラーニングは私たちの周りの至るところにある。Facebookのニュースフィードから、グーグルマップのおすすめルート迷惑メールの自動フィルタリング口座情報のセキュリティーまで、全てマシンラーニングを利用している。

現在、マシンラーニングは急激な進化を遂げている。もはや人間の最低限の介入で学習できる。

ヘッドセットを付けて画面に向き合う男性たち

Reuters/ Kai Pfaffenbach

技術者たちは、ニューラルネットワークと呼ばれる高度なシステムを開発し、人間の脳の仕組みを真似た。そして、ニューラルネットワークはディープラーニングを可能にした。ディープラーニングは、コンピューターが人間の知能に取って代わるものだ。

マシンラーニングはAI開発において重要な役割を担う。

ロボットのソフィア

Denis Balibouse/Reuters

人工知能(AI)とマシンラーニングは同一視されがち。だが、同じものではない。AIは、情報処理を実行するコンピューターの能力を指す。一方、マシンラーニングは、コンピューターがデータの中から意味のあるパターンを抽出する自動的なプロセスを指す。マシンラーニングという技術なしには、今日、私たちの知るAIは実現できない。

マシンラーニングには大きな未来が待ち受けている。マシンラーニングは、VR(仮想現実)、自動運転、そしてAIの発展を実現していくだろう。

VRに興じる男性

Randy Shropshire/Getty

多くの面でマシンラーニングは最も強力な技術と言える。マシンラーニングの発展は、AI自動運転といった産業の最先端を切り開いている。

[原文:So, what is machine learning anyways? Here's a quick breakdown

(翻訳:Yuta Machida/編集:増田隆幸)

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