「メルカリNOW」対「CASH」の激突、熱気帯びる“ノールック買取り”サービス

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スマホで写真を撮るだけで不用品を現金化するサービスに、メルカリが11月27日「メルカリNOW」として参入した。売りにしている一瞬で算出するスピード査定については、26日の記事「スマホ撮影で即現金化「メルカリNOW」で実際に売ってみたら驚いた」でお伝えした通りだ。

同種のサービスで先鞭をつけたのは、先ごろDMMが70億円で買収したベンチャー、BANK社のサービス「CASH」だった。BANK社は27日、メルカリ参入に対抗して即座に“最小買取り価格を1000円にする”と発表。実際に編集部で査定させてみると、試した全ての商品に1000円以上の値がつくことを確認している。

CASHのアプリ

CASHアプリは現在のところiOS版のみだ。

この種のサービスは、サービス事業者が実物を確認することなく査定・現金化できるため、ネット上では「ノールック買取り」なる言葉も生まれている。

SNSなどでBusiness Insider Japanの前出の記事に対するコメントを見ると、目に留まるのは「なぜこのスピードで査定できるのか、どんな技術を使っているのか」というコメントだ。

詳細は明らかになっていない部分もあるが、特にメルカリNOWに関しては、現時点ではどうやらテクノロジーによる査定「ではない」というのが取材から見えて来た姿だ。

メルカリNOWの記者発表で登壇した開発責任者の石川佑樹氏は、Business Insider Japanの取材に対し、現時点では画像認識の情報も使っていないわけではないが、写真にどんなものを使っても同じ査定金額になってしまうケースがある、と語っている。

実際、試した範囲ではNIKEのスニーカーを査定した後に、同じ入力項目で編集部の「壁」の写真にした場合でも、査定金額が全く同じになった。

スピード査定の仕組み、メルカリの狙い

メルカリNOWの査定フロー

メルカリNOWの査定フロー。最終的にはメルカリNOWを通じてメルカリ上で流通する。

メルカリNOWでは現在、買取り商品を服飾品に限定し、取り扱うブランドをあらかじめ決めている。

査定商品のブランド入力画面

メルカリNOWの査定商品のブランド入力画面。リストからブランドを選択する方式。NIKEのスニーカーの場合では、個々のブランド名(AirForceなど)まで指定する。

ここから推定できるのは、おそらくは「ブランド」と「商品ジャンル」、「商品の程度」によって買取り価格テーブルを作っていて、基本的にはそのテーブルに照合して査定をしているのではないかということだ。

画像認識を全く使わない、あるいは補助的にしか使わないのであれば、確かに査定は「一瞬」で済むわけだ。

この方式だと商品によって「想定される査定額より程度が悪かった」、逆に「査定額より程度が良かった」ということは当然発生する。全体として収支があっていれば良い、ひとまずは話題性とサービスが立ち上がれば十分という考え方なのかもしれない。

メルカリの狙いは何なのか? これは発表会の場でのプロダクト担当執行役員の伊豫健夫氏の言葉からよくわかる。

「(メルカリの既存サービスでは)CASHのような(即現金化する)ニーズに応えられていないと思った。“買取り”がどうイノベーションされるか(社内で)議論し、具体化してきたのは最近。買取り市場は今後伸びていくと思う。結局、どこで売るか、どこで流通するか。売りさばき先が肝になる。私たちにはメルカリがある、各社、売りさばき先が取り合いになる」

大量に買い取った商品を大量にさばける「出口」を持っているのは、たしかにメルカリの大きな強みだ。

ただし、CASHが「最低買取り額1000円」を掲げて来たことで、メルカリNOWのサービス満足度のハードルは大きく上がったのも事実だ。

例えば前出のメルカリNOW体験記事で、買取り査定が100円だったビルケンシュトックのサンダルは、CASHで査定させてみると1000円。差額900円は決して小さくない。こういった不用品が10個あれば、CASHでは1万円が手に入るが、メルカリNOWでは1000円。数字だけを考えるなら、ユーザーがどちらに興味を惹かれるかは明らかだ。

メルカリNOWとCASHで査定

CASHとメルカリNOWで査定してみたところ。同じサンダルでも最低価格1000円の違いは大きい。

この後、CASHとメルカリNOWは文字通り札束勝負になっていくのか、それともプラットフォーマーとしての別のユーザー体験を魅力に打ち出すのか?

ノールック買取り市場が俄然、熱を帯びて来た。

(文、写真・伊藤有)

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