ブラックフライデーにテレビを購入する男性。
AP/Josh Reynolds
- 1日限定のショッピング・イベント「ブラックフライデー(Black Friday)」というアイデアは死んだ。
- その背景にあるのは、モバイル・ショッピングの台頭と、ユニークな値引きセールの減少だ。
- あるアナリストは、ブラックフライデーは「ブラックノベンバー(Black November)」に取って代わられたと見ている。
ブラックフライデーがその存在感を失いつつある中、アナリストや消費者は、ホリデーシーズンを前に人々が楽しめる大型セールに新しい名前が必要だと考えている。
その有力候補が上がってきた。
「もはやブラックフライデーではない」NPDグループのリテール・アナリストのトップ、マーシャル・コーエン(Marshal Cohen)氏はボストン・グローブ紙に述べた。「ブラックノベンバーだ」
小売業者がそのセールや値引き期間を拡大するにつれ、11月はショッピングの祭典になった。
アドビ・アナリティクス(Adobe Analytics)によると、今年11月1日~22日のオンラインでの売り上げは、総額およそ304億ドル(約3兆3800億円)で、昨年の同時期に比べ18%近く増えた。事実、11月に入ってから1日あたりのオンラインでの売り上げは10億ドルを超えていて、買い物客と小売業者にとって新しいパラダイムができ始めている。
ブラックフライデーは今も、年間最大のショッピングの日の1つだ。しかし、その注目度はサンクスギビング(勤労感謝の日)やサイバーマンデー、その間の2週間とさほど変わらない。セールスフォース(Salesforce)によると、サンクスギビングは今やブラックフライデー、サイバーマンデーに次ぐ3番目に大きなショッピングの日だ。
同社のデータによると、今年のサンクスギビングのオンライン・ショッピングは、昨年に比べ29%増えたといい、2015年から2016年の伸び率が17%だったことを考えると、ショッピングイベントとして急速に認知され始めたと言えよう。
ブラックフライデーのセール開始時期は、小売業者間の競争の結果、年々早まっている。今や「ブラックフライデー・ウィーク」や「ブラックフライデー・ウィークエンド」というアイデアは広く普及している。
米小売大手ターゲット(Target)は今年、同社のクレジットカード会員向けのブラックフライデーのオンラインセールを、本来より2日早い11月22日から始めた。アマゾンは11月1日からブラックフライデーの特集ページを開設、シアーズ(Sears)も店頭の全てのアイテムを値引きした。
インスティネット(Instinet)のアナリストによると、ブラックフライデーの売り上げは11月前半に比べ、飛び抜けて好調というわけではないという。
ブラックフライデーの死のもう1つの背景には、消費者がいつでもどこでもオンラインで調べて、購入できるスマートフォンを使ったショッピングの普及がある。
アドビ・アナリティクスによると、サンクスギビングのオンラインショッピングの46%がスマートフォンによるもので、昨年に比べ15%以上増加した。一方でタブレットやデスクトップからの購入は減少しており、サンクスギビングのショッピングの手段としてスマートフォンが初めて、最も一般的な購入手段となった。
同社は、スマートフォンを使った購入やアップルペイ(Apple Pay)のような決済サービスの普及により、サイバーマンデーがアメリカのオンラインショッピング最大の日になるだろうと話している。
ブラックフライデーはもはや1日限りではない。シーズン全体だ。
[原文:Black Friday is dead — and it's being replaced by an even bigger shopping event]
(翻訳/編集:山口佳美)