アイスランドにあるBitmainのマイニング工場に設置されたマイニング用コンピューター。2016年6月4日撮影。
- ビットコインはコンピューターが複雑な暗号を解読することによって作成される。このプロセスは「マイニング(発掘)」と呼ばれる。
- PowerCompare.co.ukによると、今年、ビットコインのマイニングに使用された電力は、すでにアイルランドやアフリカのほとんどの国の年間使用量を上回った。
- ビットコインが使用する電力は新たな問題となりつつある。
最新の調査によると、ビットコインのマイニングを行うコンピューターが今年に入ってから使用した電力は、すでに159カ国が1年間に使用する電力量を上回っている。
電気料金比較サービスPowerCompare.co.ukは、今年、ビットコインのマイニングに使用された電力は、すでにアイルランドやアフリカのほとんどの国の年間使用量を上回ったと発表した。
PowerCompare.co.ukは、ビットコインと仮想通貨のデータを提供しているDigiconomistの統計を使用、今年すでに、29.05TWh(テラワットアワー)の電力がビットコインのマイニングに使用されたと推定した。ちなみにアイルランドの年間使用量は約25TWh。
ビットコインのマイニングよりも年間使用量が少ない159カ国のリストはこちらから、もしくは下記の地図で確認できる(オレンジの国がそれだ)。
ビットコインは2009年に誕生した仮想通貨。特定のグループによる管理体制が存在せず、ブロックチェーンと呼ばれる取り引きを記録するシステムによって成り立っている。
取り引きが正しいこと、または所有者の変更を証明するために、ビットコインネットワークの参加者はデータの塊である"ブロック"(ブロックチェーンという名称はこれに由来する)に書き込まれた取り引きを承認する必要がある。それには複雑な暗号を解読しなければならない。
この作業を行う報酬として、ブロックの承認を行った人には新しいビットコインが付与される。これがビットコインの「マイニング」と呼ばれるプロセスだ。
ビットコインの設計者たちは、マイニング可能なビットコインの数が有限(最大2100万枚)となるようにシステムを設計した。そして、システムの寿命を長くするため、暗号解読は時間の経過とともに難易度が上がる仕組みになっている。つまり、マイニングにより時間がかかるようになっている。
マイナーと呼ばれる発掘者は、よりパワフルなコンピューターを使ってマイニングを行い、ビットコインを手に入れようとしている。その結果、マイニング(およびビットコインによる取り引き)に必要な電力はますます増える一方だ。ビットコインの取り引きは今や大量の電力が必要となり、ドイツの銀行INGによると、1回の取り引きに使用される電力は、1世帯のほぼ1カ月分に相当する。
ビットコインの「マイニング」の多くは、中国で行われている。電気料金がイギリスやアメリカなどよりも安いからだ。
「AntpoolからBTCCまで、世界トップ6のマイニングプール(マイニングを協力して行うグループ)は全て中国を主要拠点としている」と取り引きプラットフォームeToroのアナリスト、マティ・グリーンスパン(Mati Greenspan)氏は11月、メールに記した。
「大まかに計算して、中国でのマイニング作業は全体の80%以上を占めている」
だが、マイニングに使われる電力が環境に与える影響を懸念する声が高まっている。中国の電力のほとんどがCO2(二酸化炭素)を排出する化石燃料によるものだ。
「電気がどのように作られているのかを、我々は意識しなければならない」とグリーンスパン氏は付け加えた。
現在稼働中のマイニングプールのデータは、Blockchain.infoで見ることができる。
[原文:The electricity used to mine bitcoin this year is bigger than the annual usage of 159 countries]
(翻訳:まいるす・ゑびす)