11月29日〜12月2日まで東京ビックサイトで開かれている「2017国際ロボット展(iREX 2017)」は、過去最大規模の産業ロボットを展示している。約600の企業や団体が出展するが、その中でも、産業用ロボットの展示は、2年前の前回よりも684小間多い、2012小間が並んだ。ロボットがビールを注いでくれるデモや超大型のロボット、世界初公開の製品が登場した。

ファナックが展示した超大型ロボット。会場での迫力は群を抜いていた。
日本のロボット産業の市場規模は、2020年までに2.9兆円、2025年までに5.3兆円、そして2035年には9.7兆円にまで拡大すると、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は予測している。特に、世界の産業用ロボット市場は今後5年で、年間平均約10%のペースで拡大すると言われる。
iREX 2017でも、この業界の動向を反映し、参加企業・団体数、産業用ロボットの小間数ともに、過去最大になった。日本の安川電機やファナック、ドイツのクーカ(Kuka:2016年に中国・美的集団に買収された)、スイスのABBといった世界トップメーカーの展示ブースでは、新商品などに注目が集まった。
クーカが展示する“ロボットバー”。ロボットがビールの栓を抜き、グラスにビールを注いでくれる。液体と泡の割合が絶妙。
ファナックは、27種類のロボットを展示。うち、14種類は新商品。大型で迫力あるブースが多かった。
ファナックの洗浄ロボット。洗浄液が飛ぶような環境でも機能する。表面がさびない加工、内部の電子部品も液体が浸入しないような構造になっている。
ファナックの袋物のパレタイジング(積み上げ)ロボット。腕の動きは素早く、的確に荷物の前で止まり、60キロの荷物を2200個運べる。
ABBが初めて公開したYuMiシリーズの単腕ロボット。大きな人の腕ほどの大きさで、コンパクトな点が特徴。既存の組み立てラインに簡単に導入できる。可搬重量は500グラム。2018年に発売する。
人と並ぶと、ロボットの小ささがわかりやすい。ABBのYuMiは小部品の組み立てを念頭に開発され、2015年に市場に投入。ルービックキューブを解いたり、寿司を握ったり、プレゼント包装やオーケストラの指揮と用途が広がった。新型ロボットもこれまれのYuMi同様に市場に歓迎されるか。
ABBのYuMiと川崎重工のデュアロ(duAro)による共同作業。小さな部品を型にはめていく作業をしている。両社は11月27日に人と協働するロボットについて提携することで合意した。この展示は、別メーカーのロボット同士も協働で作業できるイメージを紹介した。
ロボットに人が近づくと、作業速度が遅くなり、安全性を確保したABBの「SafeMove2」。
ロボットの操作をVRで体験できる「RobotStudio」も登場した。
安川電機は、ロボットの稼働データなどを活用し、生産性向上を支援する事業「アイキューブ メカトロニクス」を10月に発表。展示ブースでは、ミニカーの組み立てラインを使って、事業のコンセプトを披露した。