メガネチェーン店「JINS」を展開するジンズが12月1日、千代田区の飯田橋グラン・ブルーム29階に、社寺仏閣を意識したコワーキングスペース「Think Lab」をオープンした。
Think Labは空間内の光や音、香りも調整し、二酸化炭素濃度や湿度などの情報もアプリで表示する。高野山や社寺仏閣を意識した作りで、利用者は静寂な入り口から入場し、集中力を高めていく。ジンズは、利用者に、目の動きを計測するウェアラブル端末「JINS MEME」を配り、集中力に関するビックデータを収集する。
スペースは、まるで集中力に関する実験場、または利用者がアスリート級の集中力を発揮する場のようだ。かつての先人たちがどんな環境でも素晴らしい発明をしてきたことを思うと、現代のコワーキングスペースはすごいお膳立てだ。
高野杉の香りが漂う静寂な通路は、コワーキングスペースへの入り口。“アスリート級”の利用者たちが、集中力を高めるためにアップする。
ジンズは、家具や食品、化粧品やIoT機器メーカーなど18社のパートナー企業とThink Labを作り上げた。
スペースの照明は、利用者の体内時計を調整するため、自然光に合わせる。21カ所にセンサーを置き、湿度と温度、二酸化炭素濃度と騒音を計測し、アプリで表示する。騒音をノイズカットするように、川や鳥のさえずりの音が流れる。畳の多目的スペースもある。
11月30日のプレス向けの内覧会で、こだわりの数々を聞き、「ここまでして、人間の集中力を高める時代なのか」と微笑してしまった。
会議室や個室、カフェなどを除く、全席が東京の見事な夜景に向かっている。しかも、窓際の席はリクライニングができ、寝そべって夜景を眺めているようだ。ここはバー?クリエイティブな方々は、この場でどんな発想を生むのだろう。
寝そべることができそうなリクライニングのイス。見事な夜景が見渡せる。
まるでコワーキングスペースのブームを象徴するようで圧倒される中、JINS MEMEを使って、集中力のデータを収集する試みは興味深い。18社が自社の“集中力グッズ”をスペースに組み込んでいる。内覧会は、各社の商品のショールームのようだったが、それらのどのサービスが、より利用者を集中させたか、JINS MEMEを使ってデータを集めていく。いわば、スペースは人の集中力に関する実験場のようだ。
席数はオープンスペースが162席。このほか、オフィスルーム、個室、ミーティングルームがある。料金相場は、会員費がオープンデスクメンバーの月に5回利用のチケットで3万5000円。Think Labのホームページから受け付けている。
ジンズと協力して、Think Labの環境を整えている各社。
内覧会に登壇した田中仁社長や監修の予防医学の専門家石川善樹氏らは、同じビルの30階に入るジンズのオフィスについて、新聞社の賞を受賞するほど、「イケてるオフィス」だが、「 (JINS MEMEで)仕事の質が高まっているかを調べると、実はそうでないとわかった 」「イケてるオフィスは意外とdeep thinkできないと田中社長から今回の話をもらった」「オフィスでは全然仕事に集中していなかった」などと明かした。石川氏は「(集中力を高めるには)30階のオフィスはクール過ぎた」と分析を口にした。
では、29階の十分クールなThink Labの詳細を見ていこう。