ペンシルべニア大学ウォートンスクールのトッド・サイナイ教授
The Wharton School
賃貸住まいを続けるべきか、それともマイホームを購入するか?
ほとんどのアメリカ人がいつかは直面する、長年のジレンマだ。
「価値が上がり、利益が見込めるマイホームへの投資が可能なら、消えてなくなるだけの家賃に一生懸命稼いだお金を費やしたい者などいない」
もし、このような考え方をしているなら、すぐにやめるべきだとペンシルべニア大学ウォートンスクールのトッド・サイナイ(Todd Sinai)教授は指摘する。
「賃貸」対「購入」の比較には多数の重要な要素が関わっており、無数の算出方法がある。しかし、住宅投資で得られる見込み利益をあてにすべきではない。サイナイ教授によれば、それは投資にはならない。
「『家を買うのは投資なのだから、いつ購入してもよい』という概念に囚われた人がいるが、それは間違いだ」とサイナイ教授はBusiness Insiderに語る。
住宅購入は消費の決断であって、投資の決断ではないと教授は言う。物件に対して支払う金額は、住宅市場の動向や値上がり利益の見込みではなく、購入者自身のニーズや目的や予算に見合ったものであるべきだ。
もしも、月々の住宅ローンの支払いがそれまでの家賃よりも跳ね上がっているなら、それはファイナンスの観点で見れば、必ずしも賢明な行動ではない。マイホームの広さや設備に対する出費は、後に得られる「かもしれない」の理論上の利益に対してではなく、現在の価値に見合った納得のいく支出でなければならない。
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「2倍の金額を支払ったからといって2倍の投資をしたわけではない。それはただ物件に2倍の支払いをしたにすぎない。間違った考え方をしてはいけない」と教授は言う。
物件購入後に価格が上昇したとしよう。もし、物件を売却するとしても、また賃貸に戻らない限り、同じ市場で高価な住まいを探さなければならなくなる。さらに、住宅売買には費用がかかる。税金、諸経費、契約手数料が、家の売却利益を減らしてしまう。
「家を安く買い、価格が上がった時に売却するのは高くつく投資だ。売値の10%もの費用がかかり、大きな支出が課される」
住宅投資なら、不動産投資信託(REIT)や上場投資信託(ETF)を購入する方がよい。
マイホーム購入は、物件がこれから長年にわたって購入者自身のニーズに見合っているかどうかで判断すべきだ。
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[原文:A Wharton professor explains why you shouldn't consider buying a home an investment](翻訳: バーミンガム昌子 )