アップルの未来は明るい? ウォーレン・バフェット氏のシンプルな予言

クックCEOとバフェット氏

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  • 2011年にその偉大な創業者スティーブ・ジョブズ氏が亡くなって以来、一部ではアップルの緩やかな死がささやかれ続けている。
  • しかし、ウォーレン・バフェット氏は最近になってアップルを支持し、同社の未来に大きく投資した。
  • アップルの「経済的な堀(economic moats)」、言い換えれば他社に対する競争優位性は、同社を守り、利益の拡大へとつながる可能性がある。
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アップルの偉大な前CEOスティーブ・ジョブズ氏が亡くなって以来、同社の緩やかな死について言及することは、ある種のファッションとなった。同社はiPhoneからイヤホンジャックを取り除いたことで顧客を怒らせ、最新のラップトップから標準的なポート類を削ることでプロユーザーを遠ざけ、ボイスアシスタントの「Siri」は他社製品に対して優位性を示せずにいる。

しかしUBS証券のアナリスト、スティーブン・ミルノビッチ(Steven Milunovich)氏は、もう1人のレジェンド、ウォーレン・バフェット氏を見れば、アップルの将来についていくらかの洞察を得ることができると言う。

「ウォーレン・バフェットは、フランチャイズとビジネスを区別している。フランチャイズは、顧客が必要とし、他にまず代替品がないと考えているものを提供することがベースで、価格規制の対象ではない」ミルノビッチ氏は顧客向けのメモに綴った。「フランチャイズは間違った運営のもとでも生き延びられるような力強い経済を享受する。これが本当なら、同社がポスト・ジョブズで魔法を失っているとの懸念は正しく、アップルの経営がうまくいっているとの我々の認識は誤りなのかもしれない」

バフェット氏は最近、アップルの株式の2.6%を取得したことを明かした。これにより、同氏が率いるバークシャー・ハサウェイは、アップルの5番目の大株主となった。これは、テック業界とは距離を置くという同氏の有名な投資傾向に反するものだ。

バフェット氏がこれほどまでに、アップルには競合他社をしのぐ能力があると確信している背景には、同氏の「経済的な堀」というシンプルな理論がある。幅広い競争優位性を持つ企業には、自身のビジネス周りに「堀」があり、他社の攻撃を交わしつつ、更なる策を練る余裕があるというものだ。

最近のハードウエア製品の不調にもかかわらず、アップルが経済的な堀を維持、拡大していることについては、議論の分かれるところだろう。ミルノビッチ氏は、同社の顧客が他の小売店ではそうでなくても、アップルストアでは価値の高い顧客のように出費をする傾向があると指摘する。アップルの顧客は極めて忠誠心が高く、その財布の紐を緩めることで同社への愛を示す。

同社は1000ドル(約11万円)のiPhone Xで明らかにこのセオリーの限界を試しており、例え一部アナリストが期待していたような「スーパーサイクル」が巻き起こっていなくても、発売以来その需要は強い。またアップルはその経済的な堀によって、新規あるいはアップデートされたハードウエア製品には見込めないであろう、次の大きなレベニュードライバーを活性化させようとしている。

「アップルは、iPhoneユーザーの大多数は同社のサービスを購入しないが、一度購入すればその出費は増加すると言う。同社の課題は、ユーザーをエコシステムに引き入れることから、その財布の中身を空にすることへと移行している」ミルノビッチ氏はそう指摘する。

もしアップルが既存の顧客に対し、Apple MusicやiCloudの容量の追加、Apple Careのプランといったサービスへの出費を促すことができれば、同社は忠実な顧客からより効率的にマネタイズし、毎月、より多くの売り上げを得ることができるだろう。

こうした経済的な堀と忠実な顧客の存在から、ミルノビッチ氏はバフェット氏のアップルに対する強気な見通しに同調する。同氏はアップル株を買いと判断し、その目標価格を現在の価格から約12.7%高い190ドルに設定している。

アップルの株価は今年に入ってから46.15%上昇した。

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Markets Insider

[原文:Warren Buffett has a simple prediction for the future of Apple (AAPL)

(翻訳:塚本直樹/編集:山口佳美)

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