バフェット氏はバブルが生まれる理由についても極めて分かりやすく説明している。
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ウォーレン・バフェット氏は2010年、金融危機調査委員会(FCIC)が行ったインタビューの中で、2007年の住宅バブルとそれに続く金融危機の原因について答えている。
また、バブルが生まれる理由についても極めて分かりやすく説明している。
インタビューは最近、アメリカ国立公文書記録管理局(National Archives)が公開したFCICの聞き取り調査資料や会議資料、機密保持契約書などの文書の中に含まれていた。FCICは金融危機の原因を解明するために連邦議会が立ち上げた組織。
バフェット氏の見解は明快で、投資や行動経済学に関心がある人にとって、面白い内容となっている。
バフェット氏の発言を紹介しよう。
私の元上司ベン・グラハム(Ben Graham)氏は、50年くらい前にある見解を話してくれた。以来、彼の言葉がずっと頭に引っかかっていたが、今、それが証明された。
彼は『投資では、虚偽の前提よりも、健全な前提を信じている時にこそ、大きな問題が生まれる』と言っていた。
もし、月は緑色のチーズでできているという前提があれば、それが馬鹿げているとすぐに分かる。だが、株式は債権より儲かるという前提はどうだろう。実はこれが(1929年の)バブルの原因だ。人々は株は上がり続けると考え、その前提に限界があることを忘れてしまった。(中略)そしてしばらくすると、バブルを生み出した元々の前提は忘れられ、値動きに支配された。
そして現代の住宅市場でも同じことが起きた。ドルの価値が下落することで、住宅価格が上昇することは、極めて健全な前提だ。(中略)
66か67%の人が自分の家を持ちたいと考えている状況で、購入資金を借りることができれば、持ち家を夢見る人は、住宅価格が上がると信じることができれば、すぐにでも家を買う。これは極めて健全な前提だ。もちろん、買い替え価格で販売されていたり、インフレ率から大きく乖離していないなどの要素も絡んでくる。
だが来年には値上がりするのだから今年のうちに買う方が良いし、融資も受けられるという健全な前提は、住宅価格が1年で10%上昇し、インフレ率は1桁台という状況が続けば、いつしか曲解されてしまう。そしてすぐに、あるいはいつしか、値動きに支配され、家を3軒、5軒と、必要もないのに買いたくなり、できもしない支払いでも何でも契約したいと考えるようになる。なぜなら、同じことだから。来年には家は値上がりするのだから。
お金を貸す方もまた、同じことを考えている。たとえデタラメなローンだろうと、なんだろうと同じことだ。(中略)なぜなら、たとえ問題が起きても、来年には値上がりするのだから。こうして一度勢いがつくと、値動きがそれをさらに加速し、元の前提は忘れ去られてしまう。1929年と同じだ。
インターネットも同じ。インターネットは我々の生活を変えた。だが、すべての会社が目論見通りに500億ドル規模に成長するわけではない。
そして、値動きが人々にとって重要なものになる。値動きが人々を支配してしまう。住宅は、50兆、あるいは60兆ドルという家計資産こそ超えないが、約22兆ドルという最大の単一資産。とても巨大な資産だ。それに一般市民にも理解しやすい。株式や、チューリップの球根のことは分からなくても、住宅のことは分かる。何とかして家が欲しいし、お金を借りたかった。そして、いくらでもお金を借りることができる状況になった。こうして、今までに見たこともないようなバブルが生まれた。
ウォーレン・バフェット氏のインタビューの全文は、アメリカ国立公文書記録管理局にて閲覧可能。
[原文:Warren Buffett brilliantly explains how bubbles are formed]
(翻訳:忍足 亜輝/編集:増田隆幸)