インド、3種の探査機で初の月着陸ミッションに挑む

ISRO

火星探査機が火星の周回軌道に乗ったことを喜ぶインド宇宙研究機関(ISRO)の科学者とエンジニア。2014年9月24日、バンガロール。

REUTERS/Abhishek N. Chinnappa

  • インドは2018年、月に探査ローバーを送り込む予定。
  • 月に最後に探査ローバーが着陸したのは2013年、中国の月面探査ローバー「玉兎(ぎょくと」が1カ月にわたって稼働した。
  • アメリカは現時点でも唯一、人を月に送り込んだ国。最後に「月面に降り立った人」は、NASAの宇宙飛行士ジーン・サーナン(Gene Cernan)、1972年のことだ。

最後に人が月面に足跡(あるいは小さな金属製の足跡)を残したのは2013年。中国の月面探査ローバー「玉兎(ぎょくと)」だ。それ以前の月面探査は、1970年代にまで遡る。

そして2018年、インドは月面着陸を成功させた国の1つとなる見込み。インド宇宙研究機関(ISRO)は「チャンドラヤーン-2(Chandrayaan-2)」計画の一環として、同国初の月面探査ローバーを2018年3月末までに月に送り込む。

「チャンド(Chaand)」はヒンディー語で月を意味する。チャンドラヤーン(Chandrayaan)は「月の車」、あるいは「月の旅」という意味になる。

月の表面

チャンドラヤーン-1から切り離された月面衝突プローブ(Moon Impact Probe:MIP)が撮影した月の表面。2008年11月14日。

REUTERS/Indian Space Research Organisation/Handout

チャンドラヤーン-2は、ISROによる初めての月探査というわけではない。だが、同国は威信をかけてこの計画に取り組んでいる。

2008年、インドは推定8300万ドル(約94億円)を費やした「チャンドラヤーン-1」をインド東岸のシュリーハリコータ島から打ち上げた。1辺5フィート(約1.5メートル)の四角いISROの探査衛星は月周回軌道に乗り、月のクレーターに「マグマ活動に由来する水」を発見した。そして2008年11月14日、月面に衝突し、2016年にその「残骸」をNASAが発見するまで行方不明となっていた。

今回のミッションは、ISROによる初めての詳細かつ精密な月面探査となる。

ISROは、3種の探査機を月に送り込む予定。月を周回するオービター(探査機)、ローバー(月面探査車)、そしてローバーを月面に降ろすランダー(着陸機)だ。

3つの探査機

ISRO

ISROによると、オービターは「月面の3次元マップ」の製作が目的、一方、ランダーは月の岩石やマントルの詳細な画像を撮影する。NASAは、これらは「数十メートルの距離」まで月に接近して観測を行うと述べた。

ランダーに搭載されたローバーは、ランダーが月面に着陸するとランダーから離れ、自走して月の岩石と土を調査する。今回のミッションの予算は「わずか」9300万ドル(約105億円)とネイチャーは伝えた。

チャンドラヤーン-2は、ISROが数年内に予定しているミッションの一つにすぎない。同国は「アジチヤ(Aditya)」と呼ばれる太陽観測衛星や、5年計画で宇宙放射線を調査する「XPoSat」にも取り組んでいる。

計画が上手く進めば、今回のミッションは地球時間14日間で完了する。これは、月が地球を1周するのに十分な期間。

月のより詳細な理解は、今後、多くの人が宇宙へと向かうための重要な鍵となるだろう。月は火星に向かうための、中継地点として期待されている。アメリカは2033年までに人を火星へ送ると明言している。

[原文:India is preparing to land on the moon for the first time in the country's history

(翻訳:塚本直樹/編集:増田隆幸)

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