ついに220万円超え「ビットコイン暴落で損するのは日本人」警鐘鳴らす元日銀マン

ビットコインの写真

撮影:今村拓馬

Bitcoin(ビットコイン)価格の急上昇が続いている。大手取引所bitFlyerによれば、日本円建てのビットコインの購入価格は2017年12月8日午前10時現在で、220万台後半にまで急騰している。

しかし、価格が上がれば上がるほど、暴落への懸念もつきまとう。国内外のメディアでは連日、「バブル」の文字が踊る。『アフター・ビットコイン』の著者である中島真志・麗澤大学教授はこう話す。

「1600年代にオランダで起きたチューリップ・バブルは3年で崩壊した。特別な理由なく、突然に価格の暴落は始まる。2017年はビットコインバブルの元年かもしれない」

日本銀行(日銀)出身の中島氏は、日銀国際局や国際決済銀行(BIS)での勤務を経て、2006年に大学教授に転じた。決済の専門家で、国際送金や電子マネーにも詳しい。中島氏が指摘する、ビットコインを買う前に知っておくべき事柄とは?

ビットコインの値動き

ビットコインの値動き

出所:coindesk

あまりにも上昇ピッチが速すぎる

仮想通貨の情報を配信しているcoindeskは、ビットコインの値動きのチャートを公開している。coindeskによれば、2010年6月の時点で、ビットコインの取引価格は、0.06米ドルだった。当時のレートで日本円に換算すると、5.4円余りになる。そして、2017年12月5日の価格1万1696.06米ドルを、2010年6月の価格で割ると、約19万4934倍になった。

ビットコインの価格は誕生以来、一本調子で上昇を続けてきた。特にこの1年ほどの上昇は、熱狂的と言っていいだろう。2017年1月1日の価格と12月5日の価格を比べると、約11.7倍に値上がりしている。coindeskのチャートの角度はこのところ、90度に近づいている。

中島氏は「バブルかどうかは弾けてみないとわからないとも言うが、あまりにも上昇のピッチが速すぎる」と話す。

価格上昇への期待感の背景には、マイニング(採掘)の仕組みがあると、中島氏はみている。マイニングは取引の記録・承認に必要な計算に貢献した人に対して報酬が支払われる。このため、世界中の採掘事業者が、大量の大型コンピューターを使い、計算作業を担っている。日本でも大手企業が相次いで、マイニングへの参入を表明した。

値上がりしやすい仕組み

ビットコインは、発行上限が定められている。2140年までに2100万ビットコインが発行され、それ以降、新規の発行はしないとされている。新規に発行されたビットコインを受け取るのは、マイニングに貢献した人や事業者だが、報酬には半減期が定められている。50ビットコインだった報酬は、2012年11月に25ビットコインに半減し、2016年7月に12.5ビットコインになった。

「発行上限があり、供給量が絞られていく仕組みである以上、理屈のうえでは値上がりしやすい」と中島氏は説明する。

一方で、マイニングの報酬が半減していくため、いずれマイニングに参加する事業者は減る未来がやってくる。

「いまは、マイニングをすれば儲かるので、多くの事業者が参加している。しかし、報酬の半減が続けば、いずれ事業者にとっては損益分岐点を下回るときは必ずやってくる。そうなったときに、だれが仕組みを維持するのですか」(中島氏)

通貨としての需要は広がらない

中島真志・麗澤大学教授

中島真志・麗澤大学教授

撮影:小島寛明

日本ではビットコインで決済ができる店頭のPOS(Point of Sale、販売時点情報管理)システムが登場した。中国では仮想通貨の取引所が閉鎖されるなど、仮想通貨に対する規制が強まっている。このため、日本国内でも、中国人旅行客らを中心にビットコインでの決済を希望する声があるという。POSシステムは、こうした需要に応えるものだ。

一方で、買い物を目的にビットコインを購入する日本人は、ほとんどいないだろう。値上がりへの期待が続く限り、投資のために購入して保有しておくほうが賢明だ。中島氏は通貨としてのビットコインの広がりには懐疑的だ。

「いまは、仮想通貨というより仮想資産になっている。価格が安定しない限り、通貨としての需要は広がらないだろう」

ビットコインは、匿名性の高さに特徴があり、マネーロンダリング(資金洗浄)などに使いやすいとされる。違法薬物などを売買する闇サイト「シルクロード」で、ビットコインが決済に使われ、アメリカでは2013年に運営者が逮捕された。

日本でも2014年3月、タブレットの中に隠した覚せい剤をメキシコから輸入したとして有罪判決を受けた被告が、ビットコインを決済に使った事件が起きている。同年10月9日付の東京地裁判決は、「被告人は、ビットコイン等の匿名性の高い決済手段や通信方法を用いた」と指摘している。

ビットコイン(イメージ)

撮影:今村拓馬

損をするのは日本人かもしれない

金融庁は、仮想通貨の取引所などを「仮想通貨交換業者」として登録する制度を導入。仮想通貨の売買を始める際には、本人確認を義務付け、マネーロンダリング対策に力を入れている。しかし、中島氏は日本だけでの対策では限界があるとみている。

「こうした規制が導入されていない国の取引所を経由したり、個人間で取引所を回避して仮想通貨を交換するなど抜け道はたくさんある」

ビットコインはこれまで中国での取引が活発だったが、2016年ごろから円建ての取引が増え、2017年後半に入って、取引の5割超が円建てになっている。中島氏は、購入を考えている人たちに注意を促す。

「日本では、価格が上昇してからビットコインを買い始めた人が多いだろう。とすれば、価格の暴落が起きた時に一番損をするのも日本人だ」

(文・小島寛明)

*ビットコインの価格については12月8日午前10時情報を更新しました。

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