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- チューリップバブルは、1600年代のオランダでチューリップの球根の価格が高騰したことを表す言葉。
- ビットコインはしばしばチューリップバブルと比較される。
- チューリップバブルが崩壊しても、オランダの経済はほとんど影響を受けなかった。ビットコインが暴落した際も同様のケースが想定されると経済調査会社キャピタル・エコノミクス(Capital Economics)は考えている。
- ビットコインの現在の価格はこちら。
チューリップバブルとは、1600年代のオランダでチューリップの球根の大人気となって価格が高騰し、その後急落した有名な期間のことを指す。最近、価格が急騰している仮想通貨ビットコインは、チューリップバブルと比較されることが多い。2つは我々が思っている以上に共通点が多い。
JPモルガンのCEOジェームズ・ダイモン(Jamie Dimon)氏はビットコインのことを「チューリップの球根よりも悪い」と語り、さらに最終的には崩落する詐欺だと述べた。9月中旬のこの発言のあともビットコインの価格は268%上昇した。チューリップの球根は、そのバブル絶頂期に1カ月で1100%上昇した。2つの類似点は分かりやすい。
だが類似点はこれだけではない。
「ビットコインと同じように、チューリップはその『奇妙さと珍しさ』、つまりオスマン帝国から16世紀の終わり頃に持ち込まれたばかりで、目新しかったことがその人気の理由だった」とキャピタル・エコノミクスのチーフグローバルエコノミスト、アンドリュー・ケニンガム(Andrew Kenningham)氏はクライアント向けメモに記した。
両者の目新しさに加え、チューリップバブルもビットコインも熱狂しているのはほんの一部の人のみ。チューリップはオランダ中で話題になったが、取り引きを行っていたのはエリート層や貴族など、高騰した価格に手が出せる人に限られていた。ビットコインはアーリーアダプターや愛好家によって、かなり有名になったが、値動きの激しさと高騰し続ける価格により多くの人は参加できないでいる。
最近のメディアの報道もあって、ビットコインの取り引きを行う人は以前より増えている。多くの取引所のトラフィックが過去最高を記録したことがその証拠だ。だが人口と比較するとまだまだ少数であり、ビットコインの状況は2007年の住宅バブルや2000年のITバブルよりもチューリップバブルにより似ている。
万一、ビットコイン“バブル”がはじけても、株価に置き換えると0.6%下落した程度の影響しかないとケニンガム氏は語る。CoinMakretCap.comによると、ビットコインはまだ小規模な資産であり、総額は2400億ドル(約27兆円)ほど。一方、ブルームバーグによると、S&P500種の企業の時価総額は24兆8000億ドル(約2816兆円)を超える。
株価の暴落は壊滅的な影響を与えるが、ビットコインが暴落した場合の影響は限定的なものだろう。個人で仮想通貨に投資している人は痛手を被るが、金融機関や確定拠出年金(401k)はビットコインがどんなに下落してもほとんど影響はないだろうとケニンガム氏は述べた。
チューリップの球根の価格が下落した後、混乱を解決するために専門委員会が設置されたが、取り引きの舞台であったオランダは繁栄を続けた。チューリップ取り引きの仕組みは閉鎖されたが、オランダの金融システムに混乱が生じることはなかった。
「ビットコインの価格と他のリスク資産は連動していない。ビットコインの価格が下落しても経済状況に広く影響を与えることはないだろう」とケニンガム氏は述べた。
Markets Insider
[原文:Bitcoin and tulipmania have a lot more in common than you might think]
(翻訳:まいるす・ゑびす/編集:増田隆幸)