ニューヨークも例外ではない。通勤時間帯の駅構内で爆弾テロ

ニューヨーク・マンハッタン中心部にある地下鉄駅「タイムズ・スクエア」構内で、12月11日午前7時19分、男性が身につけたパイプ爆弾のようなものを爆破させ、自傷し、通勤客3人が軽傷を負う事件が起きた。容疑者は、アカイド・ウラー(27)で、バングラデシュからの移民だ。

ニューヨークのビル・デブラシオ市長は記者会見し、「テロ攻撃の試みだ。しかし、今後、喫緊の恐れはない」として、テロ攻撃であったことを認めたが、単独犯であるとの考えを示した。 中東諸国で発生している「自爆犯」のように、体にくくりつけた爆発物を使ったテロは、アメリカ本土では初めてとなる。

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ポートオーソリティの近くの通りをふさぐ警察と消防。

REUTERS/Reuters Staff

同駅は地下鉄11路線が乗り入れ、ニューヨークで最も混み合う。地上のタイムズ・スクエアは、1日に約36万人が訪れるため、過去からテロの標的になりやすいとされていた。

事件が起きたのは、地下鉄駅とニューヨーク最大のバスターミナル「ポートオーソリティ」を結ぶ地下通路で、300メートル弱にわたり、非常出口はない。公開された監視カメラ映像によると、白いジーンズのウラー容疑者が、ポートオーソリティ寄りの通路内で人混みの中を歩いているところ、突然白い煙が上がり、人々が一目散に逃げ出した。白い煙が晴れると、床にウラー容疑者が、床に大の字に倒れているのが、映っている。

ニューヨーク市警によると、ウラー容疑者は、駆けつけた警官に手錠をかけられたが、体に2つの「ローテク」の爆弾をプラスチックの留め具でくくりつけていて、1つが爆発、もう1つは不発だった。同容疑者は、腹部に火傷を負い、病院に運ばれた。

ほかに3人の通勤客が耳鳴り、頭痛などで、治療を受けている。

ニューヨーク市警は、タイムズ・スクエア駅とポートオーソリティを閉鎖し、中にいた市民や観光客を避難させたほか、付近の道路も閉鎖した。いつもは観光客で混み合う付近が、ニューヨーク市警、港湾警察、連邦捜査局(FBI)の捜査員や車両で溢れかえる異様な光景となった。

米メディアによると、ウラー容疑者は、「イスラム国」(ISIS)に心酔しているが、直接のつながりはない。ツイッターでは、同容疑者がパトカーに入れられる直前に「アラー・アクバール(神は最も偉大である)」というアラビア語を何度も叫んでいたビデオがアップされている。

同容疑者は2011年、アメリカに移民として移り住んだ。ニューヨーク市ブルックリン区に住み、過去にリムジンの運転手をしていた。

ニューヨークの警察当局は、2001年9月11日の同時多発テロ以来、市民の通報などの協力を得て、テロ攻撃を未然に防ぎ続けてきた。2010年には、タイムズ・スクエアのど真ん中に爆破物とみられる装置を大量に積んだバンが駐車されていたが、お土産売りの黒人男性が警察に通報し、惨事を免れた。

しかし、2017年10月末、マンハッタン南部で、車両が自転車道を暴走して8人が死亡するテロ事件が起きた。同時多発テロ以来、これほどの死者が出たのは初めて。さらに今回の自爆未遂で、ニューヨークもパリやロンドンと同様テロの標的になっていることが浮き彫りになった。

今回の犯人がバングラデシュからの移民だったことで、イスラム教徒が多い国からの移民に対する差別やヘイト・クライムが増す可能性が指摘されている。中東などからの移民コミュニティーは、礼拝所や学校などの警備を強化する対策を取り始めた。

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ポートオーソリティのターミナルの前で警備をする警察官。

REUTERS/Lucas Jackson

現場で午前9時過ぎ、記者会見をしたクオモ・ニューヨーク州知事は、こう述べた。

「ニューヨークは、世界にとって民主主義の中心だ。港には、自由の女神が立っている。だから、常に標的になり続けている」

同時に、デブラシオ市長は、「何かを見たら、通報しよう(You see something, say something)」という同時多発テロ以降の市民への呼びかけを再度確認した。

「コードがはみ出している荷物を持っていたり、長いこと置き去りにされているバッグなどを見たら、警察にすぐに通報しよう」

(文・津山恵子)

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