「サンド・モーター」は砂を使って自然に海岸砂丘を作るテクノロジー。「サンド・エンジン」とも呼ばれる。
Rijkswaterstaat/Jurriaan Brobbel
- オランダ政府が試みる「サンド・モーター」とは、何百万立方フィートもの浚渫(しゅんせつ)した砂を使い、海岸線を海面上昇と浸食から守る技術。
- 20年という期間を使って、波が砂を運び、海岸線に沿って砂の防波堤を作る。
- 多くの国民が海抜0メートル以下の土地に住むオランダ。気候変動への対応が真剣に講じられている。
もし世界がこのまま、温室効果ガスを大量に排出し続ければ、海面は今世紀末までに6フィート(約1.8m)以上、上昇すると学者は予測している。海面上昇はすでに海岸線を浸食し、アメリカのフロリダ州マイアミからイギリスのサセックスまで、嵐が起きると街は水に浸かる。
オランダは長年、こうした脅威に対する手本となっている。何年もの間、海岸砂丘と防波堤がオランダの海岸線を守ってきた。
しかし今、環境エンジニアと科学者は、このやり方では不十分と継承を鳴らし、オランダ政府は、サンド・モーターに取り組み始めた。浚渫(しゅんせつ)した砂を使って自然に海岸砂丘を作るテクノロジーだ。
オランダ政府は2011年、南西部の海岸線沿いに初のサンド・モーターを作るために8100万ドル(約92億円)を投じた。20年をかけて、波が砂を運び、海岸線に沿って少なくとも6マイル(約9.7キロメートル)の砂の防波堤が作られていく。北海から浚渫した7億5600万立方フィート(約2200万立方メートル)の砂が、1万エーカー(約40平方キロメートル)以上の土地を生み出すことになる。
以下は現在までの様子をまとめた写真。
サンド・モーターが防波堤を作っていく様子。
Rijkswaterstaat/Jurriaan Brobbel
Yale Environment 360は、この手法はオランダのデルフト工科大学のチーフ海岸エンジニア、マーセル・スティーブ(Marcel Stive)氏が生み出したと伝えた。海岸線を広げることで、浸食と海面上昇から国土を守ることがその目的だ。人口の21%が海抜0メートル以下の土地に暮らしており、危機に直面している。
スティーブ氏のチームはサンド・モーターを観察し、オランダの他の地域(そして世界中の他の地域)でもこの技術が使えるかどうかを判断していく。
「海岸線の保護に限らず、我々がここで獲得していく知識は非常に重要なものだ。あらゆるデータを活用して、我々はこの実験から、より多くの知識を獲得しいきたい。そして、我々の知識を他国に伝えていきたい」とプロジェクト・マネージャーのカロラ・ヴァン・ゲルダー-マース(Carola van Gelder-Maas)氏はビデオで展望を語った。
[原文:The Netherlands is protecting its coast with an $81 million 'sand motor']
(翻訳:忍足 亜輝/編集:増田隆幸)