2018年もアメリカのM&A市場の好調が続くであろう3つの理由

証券取引所

Reuters / Paulo Whitaker

  • アメリカにおける企業の合併・買収(M&A)は、このままのペースでいくと、4年連続で1兆ドル(約113兆円)を超える見込みだ。
  • 資産管理会社ロバート・W・ベアードは、プライベートエクイティ(PE)の支援を受ける企業が増えていること、中国によるアウトバウンド投資が依然好調であることから、2018年も着実にM&Aが続くだろうと見ている。

2017年は、M&Aの当たり年だった。

半導体メーカーのブロードコム(Broadcom)は、クアルコム(Qualcomm)を1000億ドル以上で買収しようと試みており、これが実現すれば、テック企業の買収では史上最大規模となる。9月には、米航空機エンジン・機械大手ユナイテッド・テクノロジーズ(United Technologies)が、 米航空機電子部品メーカーのロックウェル・コリンズ(Rockwell Collins)を300億ドル超で買収することで合意。11月下旬には、ファストフードチェーン「アービーズ(Arby's)」を所有するローク・キャピタル(Roark Capital)が、バッファロー・ワイルド・ウィングス(Buffalo Wild Wings)を約29億ドルで買収すると発表した

資産管理会社ロバート・W・ベアードがまとめたデータによれば、アメリカの2017年のM&A市場は活況で、その規模は金額ベースで1兆ドルに届きそうな勢いだ。6年にわたる低調が続いた後、1兆ドルの大台に乗るのはこれで4年連続となる。

これだけでも素晴らしいと思うだろうが、同社の投資銀行チームは、2018年はさらに伸びる可能性があると言う。その主な理由は次の3つだ。

1)PEから支援を受ける企業が増加し続けている

ベアードのデータによると、PEの支援を受けているアメリカの企業の数は、2011年から2017年で30%以上も増えた。その数は年々増加しており、現在では7000件を超える。

PEの支援を受ける企業は自然とM&Aに関わることが多いため、この動向には意味があるとベアードは言う。こうした企業は、流動資産の状況や、PEが同社のビジネスをどう成長させたいかによって、買い手にも売り手にもなり得る。

PEは金融緩和から多大なる恩恵を受けてきた。連邦準備制度理事会(FRB)はようやく財布のひもを締め始めたが、PEはこれまで大規模な資金を調達しては、それをM&Aに注ぎ込んできた。FRBが引き締めに入り、大きく膨らんだバランスシートを縮小しようとしているとはいえ、そのプロセスは時間をかけて進むため、すぐに資金調達の妨げになることはないだろう。

2)特定の業界における、力のある中国の買い手の存在

中国政府は、国内企業による海外M&Aの規制を強化しているが、2018年のアウトバウンド案件は再び増えるとベアードは見ている。同社は、セルサイドのプロセスで経験した独自のエピソードを挙げ、中国の買い手は依然として強い関心を持っていると述べた。特定のセクターが好まれているようだ。

「中国の複数の買い手が規模の大きな交渉に本格的に参加し、ストラテジック・バイヤーやPEが消費財や教育、旅行関連セクターでM&Aを成立させているのを我々は見てきた」ベアードの投資銀行チームは述べている。

加えて、同社は中国政府が先ごろ公表したガイドラインに触れ、「ファンダメンタルズが健全で、戦略的論理にかなう」ならば、アウトバウンドのM&Aであっても奨励する旨が示唆されていたと述べた。

3)買い手間の激しい競争

先に述べたように、FRBによる金融緩和の副次的な影響として、さまざまな企業やPEが潤沢な手元資金を持つようになった結果、M&Aの競争が激化し、買収価格を押し上げている。

もう1つ考慮すべきは、市場サイクルの現段階では、一部の企業が避けては通れない難局から自らを守ろうとしている可能性があることだ。

ベアードは言う。「成長率の高い中堅企業と、次の不況に備えて守りを固めたビジネスモデルを持つ企業をめぐり、ストラテジック・バイヤーとPEが競い合うことで、(バリュエーションの高い企業が絡むM&Aは)2018年も続くだろう」

[原文:3 reasons the trillion-dollar M&A market will keep exploding in 2018]

(翻訳:遠藤康子/ガリレオ/編集:山口佳美)

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