Sarah Jacobs/Business Insider
- 毎年、感謝祭が終わると、クリスマスツリーを売る人たちがニューヨークに突然、大勢現れる。
- アラスカ州のジルマーティンス(Gilmartins)一家は、クリスマスシーズンをマンハッタンで過ごし、ツリーを売っている。21年間も。
- 寝どころはキャンピングカー。近くのホステルでシャワーを浴び、12時間シフトで24時間、ツリーを売っている。
クリスマスシーズンになると、ニューヨークには小さな森が2〜3ブロックごとに出現する。クリスマスツリーを売る人たちがやってくるのだ。
ツリーに使う針葉樹は減少傾向にあるにもかかわらず、彼らは北米各地から集まり、人混みや寒さに負けずにツリーを売る。このビジネスは実質的には誰にでもできるとニュースデイは伝えた。路上でクリスマスツリーを売るのにライセンスはいらない。
Business Insiderは、22ndストリートと9thアベニューの角でツリーを売っているアラスカ州のジルマーティンス一家に話を聞いた。
彼らは1シーズンに500本を販売する。時給にすると約14ドル(約1580円)になる。2015年にAPが伝えた。
トムとミシェル夫妻は21年間、マンハッタンでツリーを売り続けており、息子のローリーも赤ん坊の頃から連れてきていた。
「ものすごい冒険だろう?」とトム。「この街の一部になったように感じている」。
ニューヨークの路上でクリスマスツリーを売る一家に密着した。
一家はアラスカ州ニキスキー(Nikiski)からやってくる。トムとミシェルはいつもは漁業関連の会社で働いている。トムのクリスマスツリー好きは姉ゆずり。姉も30年間、マンハッタンでクリスマスツリーを売っていた。
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トムによると、当時漁業ビジネスは不振に陥っていた。「やることがなかった」。1年目は厳しかったが、それでもやり続け、次第にこの仕事に慣れてきた。
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息子のローリーがまだ小さかった頃、妻のミシェルは彼をおんぶするか、屋台に取り付けた揺りかごに寝かせていた。ローリーは大量に積まれた木に登ったり、木の間をはいはいしながら育った。
一家の屋台でツリー用の木に寄りかかる息子のローリー。
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今や、一家にとってクリスマスツリーを売ることは、この季節の恒例イベントのようなもの。一家はまず飛行機でアラスカからフィラデルフィアに向かう。そこから、屋根に巨大なサンタクロースを乗せたキャンピングカーが置いてあるニュージャージー州南部の家に向かう。
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そして、トヨタのピックアップトラックに乗り、ニューヨークへ。ブルックリンにある会社が彼らの屋台を組み上げ、毎日、新しい木を運んでくる。
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一家の住まいはキャンピングカー、屋台でツリーを24時間、11月末から約32日間販売する。彼らは8時間、ツリーの販売と手入れを行い、4時間、眠る。バスルームや日用品は薬局チェーンのライトエイド(Rite Aid)や近隣のホステルで。「ホステルにはツリーを無料で提供している。彼らは何の見返りも求めずにシャワーを貸してくれている」とトムは語った。
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ミシェルは夜が特に楽しいと語った。「静かで光も消える夜はとても美しい」。あまり忙しくない時は、木をトリミングしたり、折れた枝でトナカイを作ったりする。
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木はすべて、ノースカロライナ州のスモーキーマウンテンやカナダのノバスコシア州から送られてくる。一家は木を1フィート(約30cm)あたり20ドル(約2300円)で販売。トムによると木が不足し、値段が高騰している。
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それでも、そのエリアに新しく建ったマンションのおかげで、客はこれまで以上に増えていると語る。「引っ越してきた最初の年は、皆、クリスマスツリーを欲しがる」とトム。顧客の数は毎年5%ずつ増えているという。
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ミシェルは今年、人々の冬休みの過ごし方が明らかに変わったと感じている。「今年は皆、機嫌がいい」とミシェル。「皆、選挙に戸惑った。まだ呆然としている。街にもまだその雰囲気が残っていた。変な感じ。でも間違いなくリバウンドがあって、皆、『ああ、どうにかこの1年を乗り切った』と感じているみたい」
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トムとミシェルは、この仕事の一番の楽しみは地元の人たちとの交流だと口を揃えた。「皆と話すことができる」とトム。
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大忙しのクリスマスシーズンが終わると、一家はニュージャージー州のコテージに戻る。クリスマスをそこで祝い、1月にはアラスカに帰る。
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(敬称略)
(翻訳:conyac/編集:増田隆幸)