北朝鮮、より危険な太平洋上での核実験は不可避か

北朝鮮のICBM

北朝鮮は以前から、ICBM発射実験よりも危険な核実験を示唆している。

KCNA

  • 北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)は、アメリカ本土への到達能力を獲得したようだ。さらに同国は、広範な影響を及ぼしかねない危険な実験の可能性にも言及している。
  • 同国はこれまでにも、太平洋上での核実験に言及してきた。
  • 大気圏内での核実験は、周辺海域に壊滅的な打撃を与える挑発的な行為。だが複数の理由から、北朝鮮が実行に踏み切る可能性がある。

北朝鮮は11月29日早朝、これまでで最も高い能力を持つミサイルを発射した。ほぼアメリカ全土に到達する射程距離を持つとみられる。そして同国は以前から、さらに危険な実験の可能性を示唆している。

北朝鮮は国営メディアを通じて、ミサイルの発射試験を行い、アメリカへの核攻撃を可能にするミサイルプログラムを完成させると繰り返し述べてきた。だがトランプ大統領が9月の国連総会演説で同国を「完全に破壊する」と発言したことを受け、北朝鮮はもう1つ、新たな目標を定めた。

北朝鮮の李容浩(Ri Yong Ho)外相は、金正恩委員長は「太平洋上での水爆実験をかつてない規模で実施」し、アメリカに対応するだろうと発言した。

10月、CNNはアメリカはこうした脅しを「文字通り」受け止めるべきだとする北朝鮮高官の話を伝えた。これはICBMの開発完了後に水爆実験が行われる可能性があることを示唆する発言だ。実際、北朝鮮はミサイル発射の翌日の11月30日、核開発プログラムの完成を宣言した。

ミサイル発射実験より危険な核実験

北朝鮮のICBM

軍事パレードに登場した北朝鮮のミサイル。4月15日。

Reuters/Sue-Lin Wong

北朝鮮のICBM発射実験は、世界各国首脳の非難の的となった。アメリカのニッキー・ヘイリー(Nikki Haley)国連大使は、「世界を戦争に近づけるもの」と糾弾した。だが実際のところ、こうした非難は北朝鮮に何のダメージも与えない。

もし北朝鮮が太平洋上で核実験を行うという脅しを実行に移せば、多数の人命に関わる事態となる。

「北朝鮮が大気圏内での実験を行えば、事態は完全に変わる」と北朝鮮情勢分析サイト、38ノース(38 North)の編集長ジェニー・タウン(Jenny Town)氏は以前、Business Insiderに語っている。

「大量の汚染物質が大気と海に影響を及ぼし、その影響は長期間続くだろう」

周辺海域では多くの海上交易が行われ、多くの人々が食料や生計を海に頼っている。太平洋上での核実験は、直接的、間接的に人命を脅かすことになる。

また、大気圏内での核実験には電磁パルスのリスクもある。電磁パルスは送電網やインフラに壊滅的な被害をもたらす。

太平洋上での核実験は不可避か

金正恩氏

北朝鮮の金正恩委員長(中央)。

KCNA via REUTERS

北朝鮮は9月、少なくとも広島型原爆の10倍の威力を持つとされる地下核実験を行った。実験後には岩盤が不安定になり、崩落や土砂崩れ、小規模な自然地震などの発生が報じられた。

情報筋によると、北朝鮮はまだこの地下核実験場を使っているものの、新たな実験、特により強力な核実験を行えば、実験場は完全に吹き飛んでしまいかねない。こうした理由からも、同国が太平洋上で核実験を行う可能性は高くなっている。

またもし、北朝鮮が地下核実験の影響を地下に留めておくことができなくなれば、放射性物質は地下から漏れ出し、国境を越えて中国にまで広がる。そうなれば中国はこれを「自国への攻撃」と見なすだろうと38ノースのタウン氏は述べた。

ギリギリの瀬戸際政策

北朝鮮のICBM発射実験の様子

KCNA

北朝鮮がICBMと核兵器を保有していることは、アメリカも認識している。だが北朝鮮はこの2つを組み合わせた実験をまだ行ってはいない。

たとえロケットを高く打ち上げ、射程距離の長さを印象づけたとしても、ロケットに核弾頭を搭載し、さらに大気圏に音速の数倍の速さで再突入する際の高温や高圧に耐え、所定のタイミングで爆発させられるかどうかは別問題だ。

北朝鮮にとって太平洋上の核実験は、信頼性の高い核戦力のために必要な、より複雑な技術を習得したことを示す格好の機会となる。

もしも今回のICBM発射実験が、アメリカを北朝鮮との開戦の瀬戸際まで動かしているのであれば、太平洋上での核実験は事態を大きく動かすことになるだろう。

[原文:North Korea has already hinted at another test much more dangerous than an ICBM

(翻訳:長谷睦/ガリレオ/編集:増田隆幸)

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