ブルーボトルの次はここ! 約85億円を調達した人気コーヒーショップとは

フィルズ・コーヒー

Melia Robinson/Business Insider

日本でも人気のコーヒーチェーン「ブルーボトルコーヒー(Blue Bottle Coffee)」が9月、4億2500万ドルでネスレに買収された直後から、次に来るコーヒーブランド探しが始まった

その候補の1つが、サンフランシスコにある、テック界に愛される家族経営のコーヒーチェーン「フィルズ・コーヒー(Philz Coffee)」だ。父親のフィル・ジャバー(Phil Jabar)氏が息子のジェイコブ(Jacob)氏に会社を譲ったのが2005年、サンフランシスコのミッション・ディストリクトの1つのカフェから始まった同社は、今やカリフォルニアからワシントンD.C.まで40店舗を展開する。これまでに7500万ドル(約85億円)をテック企業が出資している。

フィルズ・コーヒーには、その事業を拡大する資金に加え、次のブルーボトルコーヒーになるのに必要な個性もある。どこにでもあるようなコーヒーチェーンではない。フィルズ・コーヒーでは、個性あふれる客がさまざまなデザインの椅子に座り、1杯1杯入れたてのコーヒーを飲むことができる。従業員も顧客とのやりとりを通じて、その個性を表現することを奨励されている。

Business Insiderでは、フィル、ジェイコブ親子に話を聞き、その魅力に迫った。


フィルズ・コーヒーは、シリコンバレーの非公式飲料だ。

店内の様子

Melia Robinson/Business Insider

フィル氏によると、グーグル、ツイッター、アップル、リンクトイン(LinkedIn)の従業員が、オフィス用のコーヒー豆をここで購入していると言う。フェイスブック(Facebook)の本社には、店舗が入っている。

壁に貼られた新聞の切り抜き

Melia Robinson/Business Insider

同社の従業員は、フィルズ・コーヒーの本部にあるエンジニア・チームが開発した事前注文アプリのベータ版のテストを行っている。

アプリ画面

Philz Coffee

このアプリは、2018年中にアメリカ全土で利用開始となる予定。

フィルズ・コーヒーの始まりは、つつましいものだった。パレスチナ生まれのフィル氏は、ベイエリアで育ち、小さな雑貨店を開いた。

フィル氏

Melia Robinson/Business Insider

コーヒーにビジネスチャンスを見出したフィル氏は、さまざまなコーヒー豆とその入れ方を研究。2002年、フィル氏は自宅のダイニングテーブルを持ち込み、店の中にカフェを開いた。

コーヒーを入れる様子

Melia Robinson/Business Insider

この店舗は今日、誰かのおばあちゃんの家のような雰囲気を漂わせている。

たくさんの客であふれる店内

Melia Robinson/Business Insider

ソファは昔からこの場所にずっとあったかのように溶け込み、床から天井にかけての壁には、想像力が光っている。

木が描かれた壁

Melia Robinson/Business Insider

フィルズ・コーヒーの経営は、常に家族によって支えられてきた。息子のジェイコブ氏は、10歳のときから牛乳箱の上に乗って、レジを担当。18歳で大学を中退し、CEOに就任した。

ジェイコブ氏は、コーヒーテーブルをソーシャルネットワークになぞらえる。「コーヒーは日々の、人々をつなぐ強力な媒体だ」30歳になったジェイコブ氏は、Business Insiderに語った。

店の入り口

Melia Robinson/Business Insider

Source:Inc.

ライト、ミディアム、ダークローストしか提供しないコーヒーチェーンとは異なり、フィルズでは「Canopy of Heaven(天国の天蓋)」や「Philharmonic(交響楽団)」「Sooo Good(本当にいい感じ)」といった20種類以上のブレンドが楽しめる。

カウンター

Melia Robinson/Business Insider

スターバックスにあるような、ラテや派手なブレンド・ドリンクのメニューはない。その代わり、「カルダモン、メープル、アース」「トースト、ベリー、バニラ」といった味の説明書きが、顧客にメニュー選びの楽しみを与えてくれる。

コーヒー

Melia Robinson/Business Insider

バリスタは1杯ごとに、「ポアオーバー」という手法でコーヒーを入れていく。そうすることで、顧客の好みにあった1杯を作ることができる(ブルーボトルも同じ手法を使っている)。

ポアオーバー

Melia Robinson/Business Insider

バリスタは2、3分後に顧客を名前で呼び、コーヒーを引き渡す。100%満足するまで、何度でも作り直すと彼らは言う。


フィル氏が開発に7年を要したブレンド「Tesora」は、ナッツ、バター、キャラメル風味のフルボディーローストだ。クリームと砂糖を入れるのが「フィル流」だとバリスタは言う。

フィルズ・コーヒー

Melia Robinson/Business Insider

カウンターにはミントが一束置かれている。ブレンド「Philharmonic」には、バリスタがここから3枚、その葉をちぎって入れる。その香りが、カルダモンの風味をより一層引き立てる。

カウンターに置かれたミント

Melia Robinson/Business Insider

フィル氏が息子の名前を取ったダークローストブレンド「Jacob's Wonderbar」は、驚くような高さから入れられる。コーヒーに蒸気を多く含ませることで、チョコレートの風味が広がる。

コーヒーを入れる様子

Melia Robinson/Business Insider

フィルズの従業員によると、コーヒーの隠し味は「愛」だと言う。

「フィルズ・ユニバーシティ」では、従業員がコーヒーの入れ方に加え、オプションでリーダーシップやビジネス、デザインのトレーニングを受けることもできる。多くのバリスタがここでフィルズの経営を学ぶ。

同社は2018年前半までに、4つの主要都市で50以上の店舗を展開する計画だ。ボストンやワシントンD.C.も含まれている。

店内の様子

Melia Robinson/Business Insider

フィルズは卸売業も手がけており、そのコーヒーはホールフーズで購入することもできる。

事業の拡大は、親近感のあふれる店舗というブランドの魅力を失わせかねない。ジェイコブ氏は「何か違うことをしなければ」と語っている。

Mark your calendars and tune in to @jacobjaber on @producthuntlive, Tuesday the 21st at 10am.

Philz Coffeeさん(@philzcoffee)がシェアした投稿 -

「全てにおいて大成功を収めることはできない」ジェイコブ氏は言う。しかし規模を拡大しても、ビジネスよりも人 —— 従業員と顧客の両方 —— を上に置く、同社のミッションは守り続けると語った。

メニュー表

Melia Robinson/Business Insider

[原文:A popular San Francisco coffee shop that raised $75 million could be the next Blue Bottle]

(翻訳/編集:山口佳美)

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中