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大企業とベンチャーが手を組めない「ある理由」—— ANAはどう克服したのか

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入場料、約15万円。招待制で良質なベンチャー経営者が集まることで有名な「Infinity Ventures Summit」で新たな取組みが行われた。誰もが知る大企業「ANA」に対する、ベンチャーからの提案型ピッチバトル。この取組みを通じて、大企業とベンチャーを阻む壁と、その乗り越え方が見えてきたという。

IVS

12月金沢で開かれていたIVS。初の試みとして、大企業ANAに対する提案型ピッチバトルが行われた。

「私たちが提案するこのサービス、大企業の中からは生まれませんよね?」

伝統工芸の町・金沢にある音楽堂。巨大なパイプオルガンがそびえる荘厳な空間で響いたのは、あるベンチャー企業の一言だ。主にネット業界の経営幹部や有識者が集まるイベント「Infinity Ventures Summit」(以下、IVS)。そのプログラムのひとつとして、ANAに対するベンチャーからのプレゼンが行われた。

歴史・規模ともに国内最大級のインターネット業界経営者が集まる「Infinity Ventures Summit」(以下、IVS)での1コマ。年2回、インターネット業界のトップレベルの経営者・経営幹部が一堂に集まり、業界の展望や経営について語る場だ。今年で10年を迎えるが、今回の初めての取り組みが披露された。大企業の課題をベンチャーが解決する「IVS Connect」。第1号スポンサーANAに対してベンチャーがプレゼンをした。

ネット産業が“ムラ産業”になるかもしれない

なぜ、大企業はベンチャーと手を組めないのか。組むためにはどうしたらいい のか。

この場は3社の問題意識から生まれた。

まずANA。資産のひとつである「マイレージプログラム」をより進化させたいが、自社のアイディアや技術だけでは不十分という危機感があった。

「ともにANAエコシステムを進化させてくれる、パートナー企業との出会いはないだろうか?」(マイレージプログラムの企画組織であるANA X顧客戦略部部長・山本昇さん)

ANA X顧客戦略部部長

ANA X顧客戦略部部長・山本昇さんは自社のエコシステムを活かせるようなパートナーとの出会いを求めていた。


次に、イベントの運営元であるインフィニティ・ベンチャーズ(以下、IV社)。本業はベンチャーキャピタルで、優良ベンチャーを大企業に紹介することもあるが、両者が手を組んだ事例は実はあまりない。共同代表パートナーの小野裕史さんは、ベンチャーを中心に形成されるインターネット業界が他業界から孤立するリスクを懸念していた。

「このままお互いが歩み寄らないと、ネット産業は“ムラ産業”になるかもしれない」(小野さん)

最後の1社は企業向けにさまざまなソリューションを提供するトランスコスモス。大企業ながら、元々ベンチャー企業で働いていた幹部も多い。取締役でシリアルアントレプレナーの経歴をもつ佐藤俊介さんは、常日頃こう感じていた。

「大企業とベンチャー企業は、風土も考え方も違いすぎる」

多くの大企業が、自社内ではなかなかイノベーションの“タネ”が生まれないジレンマを抱えている。この問題をなんとか解決できないか。3社が作ったのはこんなプランだ。

IV社の小野裕史さん

IV社の小野裕史さんには、このままではネット産業が“ムラ社会”になる、という危機感があった。


まずANAがテーマ提供者となり手を組みたいベンチャーを募集する。IV社は自社のネットワークを使い、多くのベンチャーに周知する。その上で、大企業とベンチャーの違いを知るトランスコスモスが翻訳者となり、ベンチャーのメンタリングにあたる。その過程で選ばれた数社がIVSに登壇し、ANAにプレゼンする —— 。

いわゆる「アクセラレータープログラム」(大企業とベンチャーの協業プログラム)の一種だが、大きく違うのは両者の媒介役がいる点。媒介役になった佐藤さんはプログラムをこう振り返る。

「両者のスタンスには大きくズレがある。間をつなぐ役割が必要だった」

根拠を積み重ねるか、根拠のない自信に委ねるか

例えば、「不確実性」に対する姿勢。

今回、最終選考まで進んで登壇したベンチャーは4社で、どの企業も独自の協業方法をプレゼンした。

IVS

最終プレゼンに残ったベンチャーは4社。マイレージ会員の家族の絆を強化するサービス、会員の味覚データを蓄積する技術など、通常の航空会社のビジネスでは知り合えないベンチャー企業ばかりだ。

計画を重んじる「プロセスファースト」な進め方の大企業とは違い、次々と現れる課題をクリアしながらゴールを目指す「アクションファースト」なベンチャー企業。「アクションファースト」なベンチャー企業にとって、計画を重んじる「プロセスファースト」な進め方には意味が見出せないのだ。

「ベンチャーには“根拠のない自信”があるが、大企業は根拠を欲しがる。同じゴールを目指していても、ベクトルが真逆なんです」(佐藤さん)

考えの違いを「翻訳」し、両者に伝えた。

プレゼンテーション方法もしかり。

ベンチャーは夢や将来性を語ることで、仲間や資金を募り、大きなビジネスの立ち上げを狙う。ある意味「風呂敷を広げる」プレゼンをするが、組織で動き、堅実性を重んじる大企業にとっては不安のもとだ。プレゼンを指導したトランスコスモスのメンター陣は、根拠となるデータを集める、法務面のチェックをするなど、「風呂敷を広げつつも精度は高める」ことを意識したという。

今回、ANAが求めるレベルも高かった。

IVS

「マイレージプログラムの価値を高めるサービスになっている」「大企業とベンチャーのコラボレーションをもっと見たい」。審査員のコメントは総じて前向きだった。


お題になったマイレージプログラムは、いわゆるマイルを特典に交換する「おトクなサービス」から、会員の人生を豊かにするサービスを提供するライフサポート型にシフトしつつあり、大きな方向転換の最中だ。

「点のサービスの提案ではなく、当社のエコシステム全体を共に進化させてくれる、パートナーを探したいのです」(山本さん)

近年 、オープンイノベーションへの注目が集まり、自社でアクセラレータプログラムを実施する大企業が増えてきている。しかし、自社で運営すると、ベンチャーが提案した案を判断するのは自社社員のため、結局ありきたりなサービスに落ち着いてしまう。これまで、大企業とベンチャーが手を取り合えなかった理由のひとつも、ここにあるのかもしれない。

夢はあるが、地に足のついた「実現可能性」

再びIVSの会場。ひとつの提案が響いた。

マイルを即現金化できるサービス「キャンセルマイル」だ。宿泊予約の売買サービスを行うcansell社が考えたプラン。

IVS

宿泊予約を売買するcansell社。マイルを即現金化できるサービスを提案した。

昨今、不要なものを「すぐに現金化」できるネットサービスが人気だ。高値で売ろうとするオークションとは異なり、「レートが悪くても即現金化したい」というニーズに応えるもの。代表的なサービス「CASH」は2017年11月に70億円でDMMに買収され、同月にはメルカリも買取サービスを開始した、いわば「旬」なサービスだ。これを大企業にぶつけた。

プレゼンも「風呂敷を広げながらも確実性を意識する」方向で作った。cansell社は事前に「キャンセルマイル」の利用意向を調べ、「78%が利用したい」というデータをプレゼンで提示。単なるアイディアベースでの提案ではないことを示した。

さらにプレゼン前に提携先を見つけて説得し、10億円分の現金化ができる準備も整えたという。その上で、こう添えた。

「マイルを現金にするなんて、大企業ではやりづらいですよね? ベンチャーとなら一緒に挑戦していただけます」

旬なサービスで、将来性もニーズもある。さらに、プランは地に足がついている。媒介役となった佐藤さんはいう。

トランスコスモスの佐藤さん

トランスコスモスの佐藤俊介さんは大企業とベンチャー企業が融合してビジネスを進めるのは“媒介役”が必要、という考えから今回の仕組みを考えた。


「大企業も旬なビジネスには興味があるが、堅実さゆえ、先行事例がないとやりづらい。ですが、媒介役がいたことで安心感を与えることができたのではないでしょうか」

イベントの運営元であるIV社の小野さんは以前、大企業が掲げる「オープンイノベーション」に少し懐疑的だったという。だが今回の実績で、新たな目標ができた。

「次回のIVSは海外(台湾)で行う予定ですが、その場でもぜひ同じことをしたい。そして今度は、海外のベンチャーが日本の大企業にプレゼンして欲しいです」

ANA Xの山本さんも、その効果を長い目線で考えている。

「ANAは設立以来、最初の30年を国内線、次の30年を国際線とサービスを広げてきた。これからはデジタルの世界で、人と人、人とモノ・コトをつないでいきたい。そんな世界に向けて、ともに歩んでくれる方々との出会いがあって良かったと思っています」

両者の媒介役になったトランスコスモスはこのプログラムを「DEC Studio」と名付け、今後も続けていくと言う。


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